読書感想文『ブランディングの科学 だれもしらないマーケティングの法則11』

きっかけ

ブランディングのことを勉強したいと思い、amazon で探していたら遭遇した本である。

”科学” と銘打たれている部分が、再現性を担保する書籍なのではないか、という期待を自分に抱かせた。

と同時に、ブランディングの文脈において、科学というワードが出てくることも多くないと感じていて、やや堅そうな本だなぁという気乗りのしなさも感じながら、読んでおくと後々役に立つかも、という思いで購入した。


気づき

ブランドの成功に導くための戦略は、市場浸透率を伸ばすことだった。

市場占有率(金額ベース)=市場浸透率(人口、数)x購買頻度(回数)
で表すことができる。

ここで市場浸透率とは、簡単にいうと、特定の期間にブランドを購入した消費者の割合を言う。

つまり、何がいいたいかと言うと、市場シェア≒売上を伸ばしたければ、購買頻度を増やすよりも、顧客数・売れている製品数を多くすることが必要である、ということである。

この背景には以下のようなことが関係している。
統計的に売上頻度は、シェアの高いブランドであっても低いブランドであっても、大きな差はない。

その中で、売上を増やすためには顧客数を伸ばす必要がある、という至極シンプルな話である。

これがわざわざ書かれている理由は、必ずしもロイヤリティの高い顧客との関係を作ることだけがブランドの成功には繋がらない、ということがある。

ロイヤリティ=購入頻度は、ブランドによって大きな差分がない、ということはそこだけに注力しても、効率的な成長には繋がりにくい、ということである。

意外と見逃されがちな、顧客数を伸ばす、という考え方について統計情報を元に説明されたものである。

平均的購入者が必ずしも典型的な購入者ではない。

コカ・コーラの例をみると、ヘビーユーザーはかなり購入回数が高いが、非ヘビーユーザーは測定期間中ゼロ、ということもあり得、最も多い。

これらを平均すると何らかの数値が得られるが、中央値を取るともっと低い数値となることが想定される。

平均的ユーザーなど存在しないことを考慮すると、中央値を典型的例として捉えるなどの工夫も必要だろうと思う。

典型的な購入者はそれほど頻繁には購買行動を起こさない消費者である、ということを頭に入れておくと、どのような戦略を取ればいいか、というアウトラインの一つになるのであろう。



買わない理由を取り除く

意外と気づかれにくい盲点的な発想だと思う。

商品を企画する際、如何にそれが魅力的であり、買う理由に匹敵するか、を説明することが一般的に常套手段とされている。

それはおそらく、いままでの商品がいいものである、という前提に立ったうえで、新しい商品を売り込みたい、でなければ、今までを否定することになる、という心理的動きが元になっているのでは、と考察する。

この心理故に他社製品が優位な部分に関して、素直に認められず、他の購入理由を提供することに焦点が当てられるケースがあると思うが、顧客、特に典型的な顧客からすると、すべてをフラットに見ているため、他社に優れている部分があれば、それが他社購買理由になることは全然あり得ると思う。

そういう意味でも、顧客の気持ちに共感、顧客の立場に立って市場を眺めて、場合によっては他社の模倣もすれば、他社の改善verをリリースする、ということもシンプルに顧客のためになる動きだとも思われる。


やること


売上を伸ばす、という目標に達成することを考える際、まず市場浸透率の式を書いてみて、認識を再確認する。

差別化の話題になった際、以下の2つをチームに視点として提供する。

・むしろ同一化することで、自社製品を買わない理由を取り除く必要性はないだろうか。
・差別化の差分が分からないケースもあるので、識別しやすくするという考え方もある。つまり、ブランドの認知/認識/想起を意識する。

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