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無意識的な反射、知覚-運動カップリング

動作と意志の実験

アメリカの生理学者が行った意志と動作に関する実験は、人間の行動に関する過去100年の研究の中で最も重要なものの一つです。
この実験によって、人間がある動作を行う際、その動作を行おうという意志を認識するのは動作を行った後であり、動作が先に起こるという事実が示されました。これはスポーツでも同じことが言えます。

知覚-運動カップリングの新しい考え方

従来の運動制御モデルでは、認知行動心理学に基づき「認知→判断→実行」とされてきました。
最近の考え方では「知覚-運動カップリング」が真の運動の姿であり、運動は一方向の流れではなく「知覚→運動」「運動→知覚」という双方向の流れが絶え間なく続くと考えられています。

例えば、サッカーではボールに近いゾーンにおいて、認識や意識はほとんど存在しません。このゾーンでのプレーは、主に認知と反射によって行われています。モダンサッカーでは、時間とスペースが圧縮され、プレーのリズムとスピードが非常に速くなっています。そのため、ほとんど全てのボール周辺でのプレーは無意識的な反射によって行われています。

その様な、「知覚-運動カップリング」が運動の真の姿とされています。その知覚に基づいて動作し、動作によって再び環境を知覚するというサイクルを繰り返しているのです。

この現象は、他の全てのスポーツにも当てはまります。スポーツで成功するためには、瞬時の判断と反射的な動作が重要です。選手が意識的に考える時間はなく、反射的に正しい動作を取ることが求められます。これを実現するためには、日々のトレーニングで無意識的な反射を鍛える必要があります。

実戦に近いトレーニングが重要

無意識的な反射をトレーニングする方法として、実戦に近いゲーム形式の練習を取り入れることで、実戦に近い状況での反射的な動作を鍛えることができます。これにより、選手は試合中のプレッシャーやスピードに対応できるようになります。

逆に言えば、無意識的な反射が生まれないトレーニング環境での反復練習は望ましくないということかもしれません。
選手が意識的に考えすぎる状況では、動作が遅れてしまいます。
日々の練習で、反射的な動作を促進する環境を整えることが重要ですね。

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