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【横断 #9】セルフヘルプグループのインフラをつくる


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下村 真代さん


 「同じ立場の人、おったんかい。って感じでした」


 母親が入院を続けていた病院のエントランス。その頃もう大人になっていた下村さんは、置かれたラックの広報誌の中に、精神障害のある人の家族の集まりの存在を見つける。「最初はどういうものかわからなかった」から、すぐには足が向かなかった。

 それでも、何か月か経った後に行ってみると、歓迎してくれ、何より「自分の話をして、同じ立場の人の話を聞くだけで、救われた」。たとえ行けないことがあっても、「連絡をくれ、いつでも歓迎してくれた」。

 その頃を振り返った下村さんから漏れたのが、冒頭の一言だった。


 下村さんが中学1年生の頃、お母様が精神科病院に入院した。お父様、お兄様、下村さん、3人での暮らしが始まる。「父は仕事も家事も育児もがんばってくれていた」が、中学2年になると、「父方の祖母の介護が必要になった」。

 誰が直面しても、しんどい状況だろう。そして、下村さんが中学3年生のとき、お父様も入院することになる。そこから下村さんは、周囲の人に支えられながらも、自ら学業に加えて家事をこなす日々を送ることになる。


 ヤングケアラーの定義は「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」であるが、大人になっても入院が続くお母様を気遣うことに終わりはなかった。

 下村さんは、社会に出た後に大学院で福祉系の授業を受ける中で『当事者主権』という本に出会う。「私のことは私が決める」といった内容が書かれていた。

 「母は自分で自分の人生を決められたか?入院させずに家族が頑張って自宅で面倒を見れたらよかったんじゃないか?」

 自分が大人になった後も、引き続き“子供”の立場から母親に「なんてことをしてしまったんだろう」と思い悩み続けた。


 そんな話も精神障害のある人の家族の集まりで吐露すると、「精神障害のある人の子供にももっと目が向けられるといいですね」と声をかけてもらえた。

 「ほんまそれ。(気遣い続けた母だけじゃなく)自分自身もしんどかったんだと気付くことができた」。

 昔を振り返って、こんな集まりに「もっと早く出会いたかった」。


 精神障害に限らず、「共通の悩みをもった当事者の集まり」は『セルフヘルプグループ』と呼ばれる。


 実は、国内には4,000近くものセルフヘルプグループがあると言われる。しかし、下村さんが色々な方と話をしてみると、「参加したくても、どこにあるのかわからない」「開催しているけれど、他の参加希望者を見つけられない」といった課題の声が上がった。

 一方で、海外では、セルフヘルプグループの情報を提供する機関があり、一般的な社会インフラとして機能している。

 そうして下村さんが取り組んだのが、「“参加したい”と“開催したい”がつながれる、セルフヘルプグループのプラットフォーム」づくり。クラウドファンディングで多くの方から資金を募り、24年4月にβ版をリリースした。現在、ご利用いただいた方にインタビューをさせてもらいながら改善を重ね、リリースに向けた準備中だ。



 最後に、下村さんが優しい目で話してくれた。

 「人生を生きていると、色んなことありますよね。生きづらさや話しづらいこと。私にとっては、それを話せたのがセルフヘルプグループだった」。
誤解を恐れずに言えば、大げさな会を開く必要もない。「グループを作るって勇気のいることだと思う。だから少人数からでも多様なグループがたくさんある社会になればと思う」。

 さらに、こういったプラットフォームがあることで、「誰もが気付けていない悩みや、想像も及ばないしんどさもある」ことに気付けることもあるだろう。下村さん自身、色んなグループを知る中で、「これまでのグループとは共通点がないグループにさえつながったことがある」。


 下村さんは、自分がかつて感じた「同じ立場の人、おったんかい。」という安心を広げようとしている。それも、病気や障害に留まらない。依存症、暴力被害、マイノリティ、逆境や不利な立場、不登校やひきこもり、死別経験、専門職など、、、もう社会インフラそのものだ。

 下村さんのクラウドファンディングの最後は、こう締め括られている。「私の力だけではとても実現できません。どうか、皆様のご協力をお願いできますと大変ありがたく思います」。私も、同じ言葉で締め括りたい。社会全体でつくるインフラ整備へのご協力をよろしくお願いします。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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