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ピンチをアドリブで乗り越える技 59/100(Change)

自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。


少し前後してしまいますが、『Objective』(願望)『Obstacle』(障害)『思考回路マッピング』『Beats』(区切り)『Super Objective』(野望)と一連をご紹介して来ましたが、

最後に『Change』(ターニングポイント)についてお話ししておく必要があると思います。

物語において、ターニングポイントが非常に重要なのは、今更言うまでもないことかと思います。

近年、ハリウッド映画でほぼ必ず用いられている、ヒットする物語の方程式にも、このターニングポイントの重要性が説かれています。

ちなみに、名著はさまざまあるとは思いますが、私はこの本から学びました。

物語の執筆にご興味があれば、ぜひお勧めします。

今日の投稿に関連する部分を要約すると、まずは即興術でご案内した5Stepsの3番目『Conflict』、つまり登場人物たちの『Objective』と『Objective』のズレが重要だと説いています。

これが一つ目のターニングポイントですね。

物語の中で出会わなければ、何も衝突することのなかった願望同士が出会い、そこに摩擦が生まれる。

物語が立ち上がる瞬間です。

逆に、これが生じないと、物語は成り立ちません。

それぞれが願望のままに、各々生きてる社会。それはどこか味気ないような、怖いような、不思議な世界だと思いませんか?

ピンチも、この願望同士の衝突から生まれることが多いでしょう。

ピンチに陥ってしまったと感じたとき、それは必然、というかこの衝突の連続が社会を形成していると捉えて、

「この摩擦はちょっと激しいな」

程度に捉えてみてはどうでしょうか。

同時に、ヘリコプター理論も是非使ってみてください。(8/100参照)

超、一大事だと思う事件も、高い位置から俯瞰してみれば、そうでもないように映るかもしれません。

前述の本によると、次に起きる重要なターニングポイントは、絶望の先にあります。

主人公は、往往にして一度は幸福を味わうのですが、そこからどんどんと状況が悪くなって来ます。

外敵要素などに翻弄され、どんどんと困窮していき、しまいには、どん底まで落ちます。

ためしに、何か一つメジャーなハリウッド映画を思い出してみてください。
ほぼ100%の確率で、このどん底の状態を見つけられる筈です。

幸せは永遠には続かない、必ずどこかに落とし穴がある、成功者ほど転落しやすい、などパターンは色々とあると思いますが、物語の結末に向けて、大きく盛り上がっていく為にも、一度は落ちるとこまで落ちます。

でもこれって、ハリウッド映画のシナリオに限ったことではないのではないでしょうか?

物語は、現実社会を鏡に映して、それを誇張したものです。

上手くいっていると思った時ほど、困難に直面することも多いでしょうし、その落差により苦しめられるものです。

まさに、ピンチですね。

ここでよくある展開が、ひらめき、ユーリカです。

他にも、たとえば外部からの救いの手など、などさまざまなパターンがあると思いますが、一度落ちたものは、必ずまた上がるものです。

これが、二つ目のターニングポイントです。

困難を克服する系のヒーロー像が、もてはやされ過ぎていると、この本とかでは言われていますが、

(邦題が絶望的にトキメキませんが、内容は素晴らしいです!)

ピンチは誰にでも常に起きるものであり、問題はそれとどう向き合い、克服、もしくは回避していくか、そこにドラマがあるのだと思います。

事実は小説よりも奇なり。

人生はドラマチックです。

役者が物語を演じるときは、この登場人物に訪れる二つのターニングポイントこそ、重要な局面であり、そこをしっかりと捉え、どう表現していくかが非常に重要です。

意外と、稽古の渦中にいると見落としがちだったりします。

ちなみに、このハリウッド式の物語の方程式に当てはまらないのに、メジャーな映画シリーズをご存知でしょうか?

すばらしき、ジブリの作品たちです。



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