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私の英国物語 Broadhurst Gardens NW6 (15) Remembrance Day

“In Flanders Fields” by Lieutenant-Colonel John McCrae
 In Flanders Fields the poppies blow
 Between the crosses row on row.
 That mark our place; and in the sky
 The larks, still bravely singing, fly
 Scarce heard amid the guns below.
 We are the Dead.

10月の後半頃になると、テレビのアナウンサーやスポーツ選手、街中でも多くの人たちが胸に赤いポピーの花のブローチをつけているのを見かける。
これは、1921年に Royal British Legion(英国在郷軍人会)が、戦没者への募金を集めるために赤いポピーを売ったのが始まり。
街のスーパーや多くの店舗の店頭、オフィスの受付などにポピーの募金箱が設置される。ポピーに定価はなく、募金箱にいくらでも入れると、ポピーをモチーフにした紙製のブローチがもらえる。

第一次世界大戦、最も戦闘が苛烈を極めた西部戦線(フランドル戦線)では、夥しい数の兵士が命を落とした。後年、その激戦地には、たくさんのポピーの花が咲いている。その赤い色は兵士が流した血、ポピーの花は、戦争で命を亡くした戦没者の象徴なのである。

11月11日は、Remembrance Day (戦没者追悼記念日)。
1918年11月11日、第一次世界大戦終結を記念して国王 George V によって ”Armistice Day” が定められた。
1946年、Armistice Day は、第二次世界大戦を含めて ”Remembrance Day” と改称される。

毎年11月11日に最も近い日曜日 (Remembrance Sunday) には、戦没者追悼記念式典が行われる。
ロンドンの Whitehall、首相官邸 10 Downing Street からも近い The Cenotaph (慰霊碑) で国王をはじめ、王室関係者や政府要人によって行われる式典では、国王が献花し、午前11時の Big Ben の鐘を合図に2分間の黙祷が捧げられる。
これは、フランス北部 Compiegne で第一次世界大戦の停戦協定に署名がなされたのが、11月11日の午前5時、そして休戦協定 (Armistice) がその6時間後の午前11時に発効されたことによる。
式典の後、現役及び退役軍人たちのパレードが行われる。
国内各地の慰霊碑周辺でも、また、海外の連邦国においても同じような追悼式が行われる。

“Remembrance Sunday” の前日、South Kensington にある Royal Albert Hall では、王室関係者や政府要人を迎えて、”Festival of Remembrance” が Royal British Legion によって開催される。
これは、軍事に携わる人々の功績に敬意を払い、戦没者を追悼するために行われるもの。
一般市民も観覧でき、BBCで放映されるので自宅でテレビでも観ることができる。
式典に続いて、軍楽隊の演奏や現役陸・海・空軍による日頃の鍛錬のデモンストレーションなどが披露される。
閉会の辞。
ホールいっぱいに、花吹雪のようにたくさんのポピーの花が舞い落ちるなか、フェスティバルは静かに終わる。

“For the Fallen” by Laurence Binyon
 They shall grow not old, as we that are left grow old.
 Age shall not weary them, nor the years condemn.
 At the going down of the sun and in the morning
 We will remember them.”



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