見出し画像

私の英国物語 Broadhurst Gardens NW6 (53) Summer School, London Guildhall University

The Further and Higher Education Act 1992によって “Polytechnic” から “University” になった London Guildhall University。
London Guildhall University は、英国の金融経済の中心地として世界にその名を知られる The City にある。

まだ会社の有給休暇を使って英国旅行をしていた頃、当時は、ヨーロッパの航空会社を使い、トランジットで寄る色々な空港の様子を楽しんでいた。
Air France で Paris 経由 London へ向かっていた時のこと。
シャルルドゴール空港で空港職員のストライキのため、ロンドン便へ乗り換えられなくなった。。
どうすることもできず、他の人々と同じように、ただひたすら待っていたが、5時間位経った頃にようやくカスタマーサービスのカウンターが設けられた。
ずっと座って待っているわけにはいかないと、問い合わせをする人々でごった返す中に入っていき、「今日中にロンドンに行かないといけないんだ!」とか何んとか言って、ロンドン行のチケットを獲得した。
団体旅行なら添乗員が交渉してくれるのだろうが、一人旅でのトラブルは、自分で解決していくしかないのだ。

そうして、ゲートを通っていくと、見えてきたのは British Airways の小型機。乗客は10人位で、日本人乗客は私だけだった。
離陸して暫くすると、リフレッシュメントが用意された。テーブルは、両方のアームレストに嵌め込む方式。
トレイを運ぶCAが通り過ぎ、前方の扉を開けると、そこにコックピットが見えた。
とにかく、ロンドンへ飛べることができて安堵した。
そうして、夕闇迫る中、眼下にテムズ川を眺めながら、小型機は無事に着陸。
でも、馴染みのある Heathrow Airport ではない。空港のビルに "London City Airport" のサインが見えた。

入国審査を終えてスーツケースをピックアップし、ブラック・カブで予約しているホテルへと向かうが、どこを走っているのか把握できない。
暫くして、大きな建物に "City Poly" という大きなサインが見えてきた。
当時、London Guildhall University は Polytechnic で、"City Poly" と呼ばれていた。短期の英語コースを探していた時に、この学校も候補にしていたので、学校名だけは既に知っていた。
そこで、ようやく、タクシーは、ロンドン東部 the City を通って西へと走っていることが分かったのだった。
後に、London Guildhall University で学ぶことは、ロンドン長期滞在の主な目的となっていく。

1848年、the Bishop of London (ロンドン司教) Charles Blomfield は、聖職者たちに若者の道徳、知性、精神の向上を図るための夜間学校をつくるよう要請した。 これを受けて、Charles Mackenzie 司教は、Bishopsgate の Crosby Hall に「1セッションにつき1シリング」の ”the Metropolitan Evening Classes for Young Men” を創立。 
科目は、ギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語、英語、数学、歴史、自然哲学、描画で独自のカリキュラムを用いた。

1851年、創立間もないこの夜間学校は、 Prince Albert の授業視察を受け、その後、王室の支援を受けることとなる。
1860年、学校は Leadenhall Street の Sussex Hall へ移ったが、この頃には毎年800人の学生が入学してくるようになっていた。
1861年、the Metropolitan Evening Classes は、”the City of London College” と名称を変え、積極的に商業と工業に関する科目を取り入れていく。
1881年、コレッジは、 Queen Victoria と Prince of Wales から支援を受け、White Street に新校舎を建設。

第二次世界大戦最中の1940年12月、ドイツ軍の空襲によってコレッジの建物は破壊された。
1944年、コレッジは Moorgate へ移転。 
1948年、the City of London College は、St.Paul Cathedral で the Archbishop of Canterbury (カンタベリー大司教)によって感謝の祈りが捧げられ、創立100年を祝った。
1970年、the City of London College は、Sir John Cass's College of Arts and Science と合併し the City of London Polytechnic となる。
1990年、the London College of Furniture を併合。
1992年、the Further and Higher Education Act 1992 によって、the London Guildhall University となった。

London Guildhall University は、The City の中に、8つのキャンパスをもっている。 Calcutta House、Central House、Commercial Road、Goulston Street、Jewry Street、Moorgate、Tower Hill、Whitechapel High Street

London Guildhall University でのコースは秋から始まる。その前に大学の様子を知りたいと思い、イースター後に、Old Castle Street の Calcutta House (E1) にある English Language Centre に、サマー・スクールの要綱と申込書をもらいに行った。
Calcutta House は、1900年初頭、 Brooke Bond & Co. がオフィス兼倉庫として使用していた建物で、インドの紅茶の輸出港 Calcutta の地名に由来する。
1975年にポリテクニックの校舎となり、1992年、改築されて、政治学、社会学、心理学、言語学の教育センターとなった。
West Hampstead から Calcutta House へは、地下鉄を Finchley Road でJubilee Line から Metropolitan Line へ乗り換え、Barbican で Hammersmith & City Line に乗り換えて Aldgate East で下車する。
駅を出て、Whitechapel High Street から Old Castle Street へ入るとすぐに建物が見えてくる。

London Guildhall University のサマー・スクールでは、7つのコースが行われる。 Banking and Finance、Company Accounting、International Business、International Shipping、English and International Law、English Cultural Studies、English Language Studies
これらのコースの中から “English Language Studies” を選択し、オプショナルで “English Language” と “English with Business Studies” を組み合わせて、6週間のコースを申し込んだ。

English Cultural Studies と English Language Studies は、最低1週間のコースから選択可能で、“Afternoon Lecture” や “Cultural and Social Activities” も充実している。
サマー・スクール期間中の宿泊先は、大学の3つの学生寮 (Alexander Fleming Hall、Sundial Court、Walter Sickert Hall) やホームステイのアレンジをサマー・スクール・オフィスが行っている。
サマー・スクールの期間中、図書館やコンピューター室などの施設も使用できる。

サマー・スクールの全コースは、Moorgate Campus (EC2)で行なわれる。
また、サマー・スクールの事務局もここに置かれていて、全てここで管理されている。
通常、このキャンパスでは、ビジネス・スタディーズ、金融学、会計学、経済学など、「シティー」ならではの教育とキャリア・トレーニングが行なわれている。
キャンパスの建物は、Finsbury Circus の入り口にあり、私にとっては、既に馴染みの地であった。

サマー・スクールの開講式とレセプションは、地下鉄の駅 Tower Hill 近くの  Tower Hill Campus のレセプション・ホールで行なわれた。
コースの日程上、参加できない学生もいるため、開講式とレセプションへの参加は任意となっているが、やはり、参加して良かった。
レセプション・ホールの窓からは、the Tower of London が真近に見える圧巻の眺め。そして、その景色を背景に、サマー・スクールの講師やスタッフ、世界中からやってきた現役の学生や社会人たちとドリンクを片手に話をし、大いに刺激を受けたのだった。

※2002年8月、London Guildhall University は、University of North London と合併して London Metropolitan University となった。
それぞれ、London City Campus、London North Campus として、シティとロンドン北部と東部において教育とキャリア・トレーニングが継続されており、London City Campus には、the Women's Library と Shoreditch Campus が新たに創設されている。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?