『小旅行の思い出』

割引あり

 眉間に皺を寄せながらキーボードを叩いていた。今度こそ最高傑作が出来上がるような予感がしていた。だがそんなときオレはまったく悪くないのだが安物のポートワインがキーボードの上にこぼれやがった。画面はまっくらになりキーボードを叩いてもピチャピチャといやらしい音がするだけだ。オレはコンピューターを思い切りドアに投げつけてやった。するとドアがノックの音を返してきた。文学の神がノーベル賞をオレに届けにきたのかと思った。ドアを開けると神ではなく醜い二人の警官がいた。
「いっしょに来てもらう。マトモな服を着ろ」
 おそらく酒を飲みながら書いてた罰か、酒を飲んだコンピューターに対する懲罰としての罰だなとオレは思った。床に転がったコンピューターに目をやった。画面は割れキーボードからは赤い液体が流れ落ちていた。

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730字

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