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おいしいありか #1キュウリがおばけになるまで

ニシダ師匠!

僕が念願の畑を始めたのは2021年4月のこと。場所は大阪北部の高槻という町です。北部は山林地帯となっていて京都・亀岡と隣接しています。その山麓に位置する原地区に畑があります。
 
最初はわずか30㎡くらいに7,8種類を少しずつやってみたら、これが思っていた以上に面白くて&忙しくて。その中でキュウリは2株トライ。1株はすぐに枯死してしまったので実質1株でした。で、これがなんと120本も収穫できて超面白い。農薬・化成肥料を使わなかったからか初めての自家栽培の感動からか、これほどに香りも味も濃いキュウリを食べたのは生れてはじめてでした。
 

ニシダ師匠

そして2年目2022年は、縁あって同集落内に住むベテラン農家ニシダさんと出会い、200㎡ほどのスペースを借りることができました。ニシダ師匠のホームグランド一反(約1000㎡)弱の一角です。今回は、トマト4種、キュウリ(北進)、ナス3種、ショウガ、シシトウ類3種に挑戦。
 

初めてのトラクター(クボタGL中古。メーターがレトロ)


ここからは日を追いながら書きすすめたいと思います。

 まずは土づくり

●4月22日

トラクターデビュー!いかにもファーマーって感じで楽しいです。ニシダさんがあれこれ指導してくださいました。
 
まずは土づくり。固まった土をざっくりとおこしていきます。「前作から2か月ほど経っとるからいっぺん空気を入れて呼び起こす感覚や。枯れた雑草も全部鋤き込んでしまえ」とニシダ師匠。
 
土おこしを2回繰り返した後、今度は50メートルほど離れたところにある堆肥置き場から牛ふん8パック(約120キロ)を運び入れ、まんべんなくばらまいていきます。そして苦土石灰を手に掴み取り2,3メートル向こうに放り投げるようにして撒きます。そして最後は浅めに軽くもう一度耕運機でガガガ~ン。これで約2週間放置します。

奥が僕のスペース。左側と手前側はニシダ師匠、他の面々のスペース

 
ここで堆肥とはなにか。
「牛、馬など家畜の糞尿、落ち葉、生ごみでもええ、そういった有機質のものを完全醗酵(完熟)させたもの。これを土に鋤き込むことで微生物が土全体を活性化させて、健康にするというかいいバランスにしてくれる。ま、土壌改良剤ってところや。昔は人糞だけか何も入れないかで十分できた。今ではなにかしら入れたらんとあかん。土が弱くなっとるからのぅ」(ニシダ師匠)

5月2日はこんな感じ

 ●5月4日
 
手動式小型耕運機デビュー。もう一度土をおこします。そして畝たてオプションを装着しざっくりと畝上げ。

仕上げは鍬でやります 

仕上げはアナログ。鍬で奇麗に整地します。実はこの鍬使いが案外難しくて。最初は力みから筋肉痛になったりして「なっとらん」と笑われていたのですが、今では何とか使えるようになりました。力を入れずに鍬の重みとリズムでもって、土を鍬の面の上で滑らせるようにして自分の背後へ投げていく、という感じです。最終的にはやっぱり人の力なんですね。
 
昨年はマルチシートをしたのですが、今年はニシダ師匠の指導によりマルチなしのそのままです。「マルチをすると土寄せや追肥がしづらいから」と言うのがニシダ論。
 

種か苗か

●5月8日
 
定植。「キュウリは種からでも簡単にできる」そうですが、今回はトマトやナスなど殆どを苗から育てる計画だったので、ついでにキュウリもそうした次第。苗はホームセンターで買うのかと思ったら、京都のとある種苗専門店へ。プロ農家、または広い自家菜園を持っているような方が買いにいく場所らしいです。
 
種苗店の奥さんが「草勢がよくて暑さにも強いから初心者にも育てやすい」と言って北進という品種を勧めてくれました。この苗を10本購入。
 
植え方は畝の両端を交互に植えていく千鳥植えがこのあたりでは常識的らしいですが、今回の僕はまっすぐ一列の一条植えに。7,8センチの深さに穴をあけて、苗をはめこみ、周囲の土をぎゅっと抑えます。これを50センチ間隔で入れる。最後にたっぷりと水をやって後は活着を待ちます。
 
活着とは苗の根が土にしっかりと根付くことだそうです。
 
「その後は活着するまで毎日水をやるように」というのですが、家から畑まで125㏄スクーターで片道約50分、往復で100分はなかなかのもの。結局、頑張ってみたのですが週3回というペースで水をやりに行きました。ニシダ師匠の下で畑をやっているのが7,8人いて、そのうち一人が30代の女性。彼女へのサポートは小まめにしてはるんやけどね~(^_-)-☆
 
●5月15日
 
ビニールの行灯をたてます。「これは風や害虫から守るため」とニシダ師匠がやって見せてくれました。キュウリの真上に、長さ1メートルほどのハンガーのよう太さの針金を十字に突き刺し、そこに専用のビニールをかぶせ、下を風で飛ばされないように土で押さえます。
  

右から二列目がキュウリ

緑のキュウリは黄色い花だった


●5月29日
 
黄色い美しい花が一気に開花。畝に沿って高さ2メートルほどの支柱を組み、その中段に紐を括りつけキュウリを誘引します。昨年はキュウリネットという専用のネットをつけました。「通常はキュウリネットでやけど、このあたりでは昔からこのやり方。安上がりやろ」(ニシダ師匠)。

その後、見るたびに背が伸びているので誘引紐を小まめに短くしていきます。やがて支柱上段にも紐を括り付け、さらに高いところから誘引しなおします。
 
 
●6月5日
 
初収穫。パリッとした硬い歯応え、濃いうまみ、瑞々しさがたまりません。2本すべてを薄切りにして何もつけずに食べていくうち、小皿の中に濃緑色の水がたまっていきました。その後、週3回ペースで通い、水やりと収穫、整枝をしていきます。

花が咲いたところから実がなっていく

肥料と水


 ●6月12日

「勢いはあるけど葉の色が少しだけもの足らん」とニシダ師匠の見立てにより追肥。
 
40g/㎡(肥料の三要素=窒素N:リン酸P:カリウムK=5:5:5)追肥。
NとPは卵殻や鶏糞、魚粉、カニ殻、醗酵アミノ酸などで作られた肥料「ぼかし一番」(西日本興産株式会社)。Kはパームアッシュ。これは昨年畑デビューをさせてくれた「オーガニックファームhara」の末延君から勧めてもらった肥料です。その際は5:4:7の割でした。
 
●6月19日
 
「その肥料、有機やからかちょっと薄いのぅ。もっとやったほうがええ」(ニシダ師匠)。
60g/㎡の追肥。その後も畑へ行たび数本ずつ収穫。
 
●6月23日
 
今日は一気に16本収穫。取り遅れ防止のため、15~20センチほどのやや小ぶりなサイズも収穫しました。「肥料もっとや」。へいっ。
40g/㎡追肥。
 
ここから仕事で3日間行くことが不可能に!

ボッコ~ンとおばけになったキュウリ(30センチ越え)

30センチ越えがぶらんぶらん


●6月27日

3日開けただけで、はちきれんばかりのキュウリがぶらんぶらん。30センチ以上はあるでしょう。ええ感じや!と見惚れていたら、ニシダ師匠がやってきてこう言いました。
 
「おいおい、そこまで行ったら完全におばけキュウリや。キュウリはちょっと目を離したすきにどんどんデカなるから早よとらんとあかんぞ。それに土の栄養分が全部そっち持っていかれてまうから悪循環や」
 
え、そうなんですか。デカいのはあかんのですか。
 
「売れるんはだいたい20センチくらい、デカくても25センチまでや。スーパーやらで並んでるのは全部それくらいのサイズやろう。味は15センチくらいがベスト」
 
おばけキュウリってどんな味なんですか。
 
「おばけはうまない。一つ食べてみ。なんちゅうか皮がかとうなって味も薄いというかそっけないというか。売りもんにはならんので昔からこの辺では古漬けにするか、もっと大きいして次の種をとるかやな。これ放って置いたら40センチくらいのヘチマみたいになって、それを通り越したら黄色うなる」
 
手に取り齧ってみると確かに皮が固くて分厚い。そして味はキュウリだけど締りがないというかぼやけた感じです。ただ、うま味だけはしっかりとあります。まったく食べられない、というわけではなさそうな。
 
「今ならまだ大丈夫かもな。どや、なんかええ料理法はあるか?」

30センチ越えのおばけキュウリが5,6本

キュウリのトムヤムスープ


 その後、Qちゃん、炒めもの、レモン煮、佃煮などいろいろやってみました。歯応えがしっかりとあってどれもとてもおいしかったです。そしてカミさんが傑作と太鼓判を押したのが「キュウリのトムヤムスープ」でした。タイ料理です。
 
レシピはインスタグラムに載せていますので、ぜひこちらをご参照ください。

キュウリのトムヤムスープ

いやぁそれにしてもキュウリは忙しい。一人で往復100分の場合、10株で限界な感じ。最終的な成果としては、正確な数字はつけていませんでしたが、おそらく一株から4,50本程度だったように思います。
 
途中でうどんこ病やらべと病、褐斑病というのにかかり、その後ウリハムシの巣窟に。と思ったら見る見るうちに枯れて死んでしまいました。
 
ニシダ師匠が「こだわらずすぐに潰して種を播いたら今夏中にもう一回収穫できるかもしれん」というのでその通りに。7,8株を目指して播種します。
 
しかし、発芽してから高さ30センチくらいまでは草勢が良かったのですが、その後すぐに病気が再発。10本も収獲できないうちに枯死してしまいました。
 
「いよいよ土が限界か。これまでアブラナ科、ナス科、マメ科なんかをあれこれやってきたからのぅ。来シーズンはたぶん水田にする。稲をやるとリセットできるからな」
 
昨年の一株120本収穫とはかなり違う結果でしたが、それでも十分に楽しめました。とにかくおいしいのが嬉しいです。どんなに忙しくてもおいしければ気持がパーッと晴れる!
 
ま、一つ言うならば、つくづく農園は家の近くがいいですね。実は2021年の冬、家からバイクで80分の京都・亀岡でやろうと思っていたのですよ。それはそれで有難いご縁だったんです。地主さんに菓子までもっていってて本当やる気満々でした。でも、なんだかんだあって急きょこちらの原地区でお世話になることに。
 
畑はご縁。そして実際に栽培するには人間関係がモノを言うなぁ、というのがつくづく実感です。
 

キュウリ栽培レシピ

 
堆肥・・・牛ふん1.5㎏、苦土石灰約60g/㎡ 残肥を推定して元肥なし
品種・・・北進
追肥・・・合計200g/㎡ ぼかし一番・パームアッシュ(N:P:K=5:5:5)

キュウリのトムヤムスープレシピ
●カワムラケンジのインスタ kenji_spice(応援よろしくおねがいします!)

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