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冷静な衝撃的感動

2021年4月から畑をはじめて今月で2年と2か月が過ぎようとしています。ドシロウトながらも気が付けば30品目をゆうに超え、面積も収量も集落のアマチュア族の中ではけっこう上位の存在となってしまいました。

このような僕ですが、やっぱり集落内でも変人扱いされてしまい少々戸惑っている今日この頃なのです。

というのも僕は目立つのだそうです。だってめっちゃ畑にいるから。

しかも1ヵ所じゃない。自分が栽培している畑はだいたい3,4ヶ所。お手伝いを入れると常に5,6ヵ所。このどこかでトラクターを運転したり、管理したり、後片付けしたりしてます。

自分がお世話になるニシダ師匠は集落内では最もタフな男のひとりとして有名です。いつもどこかで仕事してる。なんだったら自分と関係のないところの草刈りや耕起してることもある。後で聞けば、頼まれてアルバイトでやっているとのことですがどこまで本当かよくわかりません。とにかく、よほどの悪天候でない限り、少々の雨でもニシダ師匠はどこかで何かをしています。

そんな師匠譲りといえばそうかもしれませんが、実際には僕はニシダ師匠の足元にも及びません。謙遜じゃなく本当に。

ニシダ師匠がお世話をしている人は他にも何人かいて、40歳前後の連中は僕のことを「どうやって食っているのか?ちゃんと仕事してるのか?」とささやいており、それ以外の方々からも「河村はいったい何の仕事をしている人なのか?」、全然関係のない人からは「くそ暑いのに昨日も昼間っからバイクがあったぞ!」などと冷やかしてくるのです。

いえいえ、それは僕ではありません。だって昨日は来てないから(笑)
僕のバイクは白色のホンダ・リードというスクーターで、これとよく似たスクーターに乗る人が他に何人もいてるんですよ。実際には週に1,2回行ければいい方なのですが、その辺で白いスクーターを見たら「あ、またあいつ」となってしまうようで。それくらい目立っているということですね。

僕にしてみれば、ここまで通うだけでも一仕事なんです。片道50分の道のり。混んでいたら1時間以上かかることもざら。往復2時間を消費しているわけですから。

でも、ド根性や苦労でやっているわけじゃない。流行や食費削減が目的でもない。理由は一言。ただただ、おもろい、ひたすら感動しかないのです。それだけ。

何がおもろいのかというと、まずはそのおいしさです。よく言いますよね。自分で丹精込めて育てるとおいしく感じるとか。そうことじゃない。熱い思いは横に置いておいて、冷静に味比べ的においしいのです。それも衝撃的に、観念破壊的においしい。ま、うまく栽培できた時の話ですが。

冷静な衝撃的感動は、最もありふれた知った気でいる野菜に対して起こることが多いです。

代表格はニンジン。自然栽培こそが最上とかそう言うことではなく、オーガニックのニンジンのおいしさは衝撃的にもほどがあります。最初は品種の違いと思っていました。でも、どうやらそうとは限らない。どんな種でもそれなりに激しくおいしい。

これ説明がちと難しいのですが、ニンジンてそもそもは薬や化成肥料に頼らずともできちゃう野菜らしいのです。一言で言うと元々がタフなのだと。

そういう野菜は完全でなくても、できるだけオーガニックに近い状況で育てやすいし、そうすることでよりその種の個性も発揮されるのだと、プロアマ問わず諸先輩農家たちは口を揃えて言います。

ほか豆類も半端じゃない。特にグリーンピースなんて元々苦手だったのに今じゃ大好物の逆転ホームラン。ニシダ師匠曰く、現状の圃場では強い肥料と弱くてもいいから病害虫対策の投薬は不可欠とのことで、今回の僕は薬+有機肥料でチャレンジ。圃場内の位置の問題だった可能性もありますが、6、7人シェアの中で僕の畝が最も健康で長生きしました。エンドウマメ栽培はすごく大変なのですが今後も絶対に続けたいです。

調子に乗って今年はスイカ、マクワウリにも挑戦しようと思っています。双方ともタフな種とのことですが、特に前者は獣害がひどくて生き残りゲームみたいになってしまうのだとか。鳥、猿、鹿、アライグマ、あらゆる獣が大好物なのだと。その防備の意味も含めて管理が超大変だと言います。だから地域の殆どの方は大好きなんだけどやりたがらない。(これが結局まさかの大豊作、無害、の大成功でした!2023年12月加筆)

イチゴもトライしましたがこちらは撃沈。大好きなトウモロコシは現在栽培中で今回で3回目となりますが、今まで害虫や害獣にやられて殆ど食べることができていません。なんとかオーガニックでやりたいのですが。

あとジャガイモもたまりません。僕は元々ジャガイモ大好き男で、カトマンズに住むチベット人のアーユルヴェーダ系医師から「ジャガイモの食べ過ぎで腎臓に不調をきたしつつあるから控えるように」と注意を受けるほど。

先日、お世話になっている編集者がジャガイモ収穫の手伝いに来てくれまして、そこでキタアカリ、メークイーン、男爵、を食べ比べてみたいというので、畑で3種のアルジーラ(ジャガイモのクミン炒め)を作りました。脇に咲いているコリアンダーリーフを適当にもぎって入れて。あまりのおいしさにその日のランチはひたすらジャガイモとなりました。

そして昨日、お腹が空いたので常備している湖池屋のポテチを食べようとしたら、あ、そうだ、俺にはとれたての新ジャガがあるやんか、と思いだし、今度は4種のカリカリポテトをこしらえました。結局今日も昼ご飯はイモオンリー。内臓やばいかな~。

ほんま、おいしくてやめられないとまらない。

畑のおもしろさは他にもあります。それが発見の宝庫であるということ。これについてはまたの機会に。とにかく畑が面白くてたまらないのです。

紫色のイモはシャドークイーン。畑仲間から種をいただきました。スパイスはイエローマスタードと黒胡椒、ローズマリー。

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町の灯り

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