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紆余曲折と試行錯誤がありこの様な考えを経て織田作之助の創りましたよ|谷口賢志note

二〇二二年一月七日。

映画『文豪ストレイドッグス BEAST』が公開された。遂にだ。そして満員の映画館で舞台挨拶。とてもありきたりな表現になってしまうが感無量だ。

作品についてや、想いなどは、様々な場所で話しているので記事をみつけて読んでいただくとして、今日はひとつ役作りの裏話をしたいと思う。

それは、「髭」についてだ。

これは、舞台『文豪ストレイドッグス 黒の時代』のときにも悩み、試行錯誤したことだが、文ストの織田作之助の髭をそのまま実写で表現するのは難しい。あの様に剃り残すことは現実にはほぼ有り得ないし、かなり気持ち悪いことになるだろう。しかも絵によっては髭を描いていない場合もあり、制作陣とメイクチームとかなり相談した。

結果、舞台黒の時代のヴィジュアル撮影のときには、アニメに一番近い剃り残し系で撮影してみた。鼻下、頬、顎などにぴょんぴょん残す感じだ。が、あまりにも細かい剃り残しなのでほとんど写真には写らなかった。

そこで、舞台本番のときに再びミーティングをし、髭無しでやるか、見えなくてもぴょんぴょんでやるか、違う生やし方で髭有りのイメージを届けるかの三つの意見から、髭有りのイメージは必ず残したいということになり、色々な部分を少しづつ剃り、短くしを繰り返し、無精髭だけど清潔感のある、鼻下に薄く残す形に落ち着いた。長さは2ミリ。二、三日剃ってない感じのイメージだ。

今回、映画ヴィジュアル撮影のときにももちろん話し合い、舞台黒の時代のifでもあるわけだから、舞台本番とまったく同じ髭の形にすることになった。アップの映像で観ると結構生えているように感じる人もいるかもしれないが、舞台と全く同じく2ミリだ。撮影前に必ず整えた。整える無精髭。不思議な言葉に聞こえるが、これは一般的で当たり前なことだったりする。

織田作之助のは毎朝綺麗に髭を剃るタイプの人間ではないが、不潔に見える人間ではない。ボサボサに生えている人間ではないが、髭が生えている印象はある。というのが二次元を三次元で自然に表現する際の最終判断だった。

気に入っていただけていれば幸いであるし、個人的には最善のひとつであったと思っている。

映画公開中は、できる限り映画文ストについて話すつもりなので、何か思いついたらでまた書きますね。

では、また。


映画『文豪ストレイドッグス BEAST』

『BANANA FISH』The Stage -後編-

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