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読書記録 星の子(今村夏子)

 Amazon primeに、かねてより観たかった映画「星の子」が追加されていた。以前に原作は読み終えていたのだが、映画を鑑賞したので再読。



星の子 (今村夏子、2019)


 この、夜空の表紙がとっても綺麗で、ハードカバーで欲しかったのだが、行った古本屋で文庫本しか売って無かったので。



あらすじは以下のとおり。


中学生のちひろ。病弱だった幼少期から、ちひろを治したい一心で親が宗教にのめり込んでいく。無事に健康に育った現在もちひろの日常には「魔法の水」が。高額な出資で貧乏になり、姉は家出し、親戚からは距離をおかれたり、段々と歪んでいく家族。
 そんな中、ちひろの中学に爽やかでイケメンの南先生が赴任してきて、ちひろは初めての恋をするがーーー。



 新興宗教ってこんな感じなんだろうなと思った。親がそういったものにはまっていると、子供はそれが当たり前になり、やがて成長していく過程で周りとの違いに気づく。ちひろはおかしさに気づいていながらも、親を信じた。

 子供は、親を選べない。最近、「親ガチャ」という言葉を聞く。確かに、普通の家庭とは違うが、大切に大切に育てられ、愛されているちひろは「親ガチャ」ではずれくじを引いたと言えるのか。

 最後の星を観るシーンは、バッドエンドにもハッピーエンドにも思えた。原作だと、このまま宗教に取り込まれそうな不穏な感じを若干醸し出していたが、映画だと、高校に進学し親元を離れてしまう娘との時間を噛み締めているようにみえた。

 文庫版の最後に、作者の対談が載せられているが、それもまた面白かったので読んでみてほしい。ラストの星を観るシーンの終わり方について語られている。

 ちなみに、映画の再現度は凄まじかった。ちひろを助けたい一心でのめり込む両親。薄っぺらい熱血教師。何より幹部候補(?)の海路さんと昇子さんを演じた、高良健吾さんと黒木華さんが良かった。黒木さん、どの映画に出ていてもその役が憑依しているように思う。

 最近読んだ本、どれも面白くて嬉しい。 


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