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長野県「旧大岡村」の魅力

先日、住民自治協議会主催の「移住希望者の気持ちを知る」という講演&パネルディスカッションがあったので、行ってきました。会場に来ていたのは殆どが移住者でした。それ以上書くのはやめておきます。

旧大岡村は、人口減少の勢いが止まらない限界集落であることは間違いありません。そのようにしてしまったのは地元住民の意思によるものだと言っていいと思います。望む望まないに関わらず、何が起きているかを知りながら「動かなかった」というのはそれぞれの意思で決断した結果だからです。

でも、それに何かを言っても仕方がありません。今後に向けて、やる気のある人が、やれることを楽しく気楽にやっていけばいいだけだと思っています。実際にそのように暮らして移住者の方々が多々おられるわけですが、一旦問題部分も含め、私が感じている魅力を書いてみたいと思います。

色々な所に住んで来た私としては、どんな場所に住んでも問題がないわけではないと思っています。
そんな色々な問題以上に、私はここの北アルプスの景色が好きだし、美味しい空気や水、貴重な自然環境も残っているし、「農ある暮らし」が実践できる場であることも大きな魅力です。
そして、ここの人達が、嫌な事も含めてですが、言いたいことを言う人達であることは、私の性に合っているのです。ヘタってしまう人もいるかも知れませんが、自分の生きていく道をしっかり見据えていればきっと越えられるでしょう。支えて下さる地元の方々も移住者先輩も沢山いてくれます。

意地悪な人が小さなお子様のいる移住者家族を追い出してしまうなんて事もありました。その方が出て行く事を知ってから私は意地悪な人に文句を言ったけれど遅かったのです。そんなこともあったりしますが、意地悪な人が問題なことは他の人達も知っています。きっと徐々に解決していくのではないかと感じています。そう思える緩い繋がりがあるのも、私にとっては魅力の一つです。

人口が減少する事で自分達にどういう影響が出るかずっと実感が無かったのでしょう。保育園が無くなり、バスが無くなり(ハッピー号という地域乗用車はありますが)、JAの金融部門が無くなり、小中学校の存続問題が起こっていたり、草刈りする人も雪かきする人も減ったり・・・そのうち市の支所(旧大岡村役場)もなくなるのではと噂しています。

地元有力者は移住者が入ることでこれまでの力を行使しづらくなることを恐れ、移住者を増やす為に動くことはしなかったのでしょう。今も何棟も空いている市営住宅に入りたい移住希望者がいても、「入らせてやれ」という動きは有力者からはありません。一般地元住民も有力者を越えて動くことは恐くてできないのだろうと思われます。守秘義務が守られないので、動けば噂は広がる地域ですから。

有力者や役所任せにする癖が付いてしまっているので問題解決に向けて地元住民自ら動く気配がないのです。「役所(市)からは見捨てられている」と多くの人が言ってはいますけれど・・・。

市は旧大岡村に対して動くどころかどこの施設も使わせないまま水道管や浄化槽までダメにして※、市営住宅も空いていても入らせないなど、どれだけお願いしても言葉だけでごまかして、全く動く気がないので、ここまで人口減少が加速してしまったということなのだろうと、私は感じています。

※耐震工事をしてすぐに保育園は閉鎖になったそうです。その後、「保育園はまた使うかもしれないから」という理由で他では使わせないでいて、何年か経って、子育て支援団体が「水やトイレを使わせてほしい」と言ったら市が「ダメだ」と言ったというのを聞いて、私が何で使わせないのか支所職員に聞くと、「水道管も浄化槽も止めていたのでダメになってしまったから、自分達で直すつもりがあれば使えますが・・・」と言ってきました。他の市営住宅も施設でも使わせないので、余計に同じような事が起きているのです。


ここへきて、市全体の人口が減ってきたことから、ようやく市が空き家対策に動き始めました。県や国の動きと連動しているのでしょう。
空き家を見つける前に、ここの厳しい気候や地元の雰囲気を知りたくて市営住宅に一旦入らせてもらいたかったんですけど、今もそれはさせずに、空き家対策だけをやっています。この地域独自の対策は必要なのに、政策の「効果」を上げたり「目的達成」を目指すことを考えずにやっているように思えてならないのですが・・・。

私もですけれど、移住する時に支所から冷たい態度を示されてきたからこそ、今人口減少に危機感を持って動こうとしているのは移住してきた人達なのです。だから先日の講演会に来たのは移住者ばかりだったのです。

市町村合併しなかった近隣の「村」々では、ずっと自分達の地域を大切に思い、まず子育て支援を充実させ、移住者を歓迎し、村人の活動を応援して村を盛り立てています。「合併せずに村のままの方が良かった」という思いから、移住者の数名で「大岡村」の復活を願い、「旧大岡村」の名称を使い始めました。

ここは静かだし、人口が少ないというのは、魅力の一つだと私は思っています。ロシアのダーチャやアナスタシアの「一族の土地」とまではいわないけれど、そのような「農や花のある暮らし」が実現できる場所だと思っています。

どこでもそうだと思いますが、限界集落に移住する場合は、地元の方々のペースは尊重しながら、役所にも言わなければならない事は告げながら、自分でもやれることをやるつもりで入っていかないと、生活ができなくなっていく可能性があるということを、勝手な私の思いですがお伝えしておきたいと思って書きました。講演にがっかりしちゃったからかな・・・

何があっても魅力の方が大きく勝る土地です。
それだけは強く申し上げておきますね。