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インタビュー取材のtips

4500社以上を取材?!

取材活動をしていると広報の方などから「インタビュー取材のコツってありますか?」と聞かれることがあります。しかし謙遜や照れもあり、「いや、コツなんてありませんよ。私なんて口下手ですし、コツがあったら教えてほしいくらいです」と答えてしまいます。

しかし、よく考えればこれまで15年以上、大手企業の経営者や起業家、ネットショップを取材してきました。「足で記事を書け」を信条としている新聞社の記者として、新人のころは1日4、5社取材するのは当たり前でした。最近ではペースが落ちていますが、仮に平均1日1社ずつインタビューしてきたとして、年間300日稼働したとすると、これまでに累計4500社以上取材してきたことになります。

数を並べてすごいだろと言いたいわけではなく、4500社以上取材してきてインタビュー取材のコツの1つや2つなかったら「ヤバいのでは」と自らを省みたわけです。たしかに新人記者と同行取材に行く際に、インタビューのコツのようなことを先輩風を吹かせて話しています。

求められるインタビューノウハウ

最近では企業がオウンドメディアを開設するケースが増えています。広報や担当者がクライアントなどをインタビュー取材する機会も増えていると思います。そのため、インタビューのやり方を聞かれることも増えているのかもしれません。

せっかく尋ねてもらったのに、いい歳して「いや〜自分なんて」と返していたことを反省し、自分なりに考えるインタビューのコツの一端を紹介したいと思います。

インタビュアーは聞き役に回るな

<聞き役に回らない方が良い理由>
・こちらの考えを話すことで心を開いてくれる
・トップは率先して話されると黙っていられない習性がある

インタビューというのは、取材先の取り組みや考えを聞く作業です。ただ、"よく聞く"ためには、"よく喋る"ことが必要です。もちろん話し上手でこちらが1聞ければ10返ってくるような方には、下手に口を挟まず、聞き役に徹した方が良いケースもあります。

ただ、たいていの場合、取材される側は「何聞いてくるの?」と身構えています。相手に主体的に話をしてもらうためには、こちらがどんな人間なのかを少しでもわかってもらった方が、心を開いて話をしてくれます。こちらが「何を考えているのか」「自分の問題意識はどこにあるのか」「先日、○○さんを取材しました」などを伝えることで、相手も「自分はこう考える」「その問題意識は違う」「○○さんとは私も懇意にしていますよ」などと話しやすくなります。

逆に一方的に質問ばかりされると相手は警戒心を強めてしまう可能性があります。日常生活でも脈略もなく、「週末は何する予定?」と聞かれると少し戸惑ってしまう方は多いと思います。「何かに誘うとしているのか」「暇人であることを暴こうとしているのか」など思いを巡らせ、答えがすっと出てこない人もいるでしょう。それが「僕は週末、家族旅行に行くんだけど、君もどこかに出かけるの?」と聞かれると、ただ雑談で聞いてきているのかと安心して話すことができます。

トップは自分から話す習性がある

ビジネスシーンでインタビューを受ける人はたいてい「経営者」「事業責任者」「プロジェクトリーダー」のような組織のトップの方たちです。トップでないと戦略や展望を語れないので、インタビューを依頼すると何かしらのトップの方が出てくるケースが多いです。トップに立つ人は、基本的にその組織において真っ先に話し始める人であり、一番話す人です。

経営者はステークホルダーに対して自社の状況を説明しますし、プロジェクトリーダーがメンバーに話をしないとチームはまとまりません。そんなトップならではの習性から、インタビュー時にこちらから率先して話をしていると、自ずと話し始めてくれます。普段は自分が一番話をしているため、相手の方が話している環境を黙ってみていられないのが”トップに立つ人”なのです。

インタビュー時に”自ら話す”というのはちょっとしたコツに過ぎません。ただ、新人記者が「インタビュー=聞き役に徹すること」と思っているケースが多かったので、最初に陥りやすいポイントなのかなと思いました。インタビュー経験のない方にとって一つのヒントになれば幸いです。インタビューのコツは他にもあるのでまたの機会にまとめたいと思います。

EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います