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#6 路上観察について

2022年11月某日

赤瀬川原平の『路上観察学入門』に目を通した。超芸術トマソンが世に知られるきっかけとなった一冊だ。本書では、生活動線上にある路上を毎日観察する事で、その変化を感じ取ることができ、面白いことを説いている。なんとなく理解して、なんとなく疑問が湧いた。一体なぜ、変化を感じることが面白いのか。

知覚できる変化への直面とは、希少な体験なのだと思う。『知覚できる』というのがポイントだ。なぜなら、家の前の道路は日々摩耗しているはずだし、近所のお婆さんの背骨は日々曲がりが大きくなっているはずだ。ただし、これらの変化は極めて漸進的だから知覚できない。微分係数みたいなものだ。

一方、近所の古民家の解体作業が始まっていたらどうだろう。その瞬間、『ああ、随分と古くなったんだなあ』なんて思って、数年、数十年を一気に知覚する。その瞬間に立ち会う機会を逃さないために、毎日、路上観察する必要があるのかな、とか思ったり。時間は日々流れているが、時間の流れを知覚できるタイミングば瞬間的なのだ。

ほなら。


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