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まとめ記事③ 「知らないことを知らない」ということを知っていますか?

これまでFACEBOOやnoteで色々書き溜めてきましたが 10回ほどでまとめてみようと思いました。 たくさん書いたもののまとめ記事と思って読んでいただけると幸いです。先日の投稿②

知ることに関しては
・知の知
・無知の無知
・知の無知
・無知の知

に四分類できます


いきなり哲学的な出だしです。哲学者ソクラテスは「真の知に至る出発点は己の無知を自覚することにある」、真の知への探求は、まず自分が無知であることを知ることから始まるということです。医師とどのような関連があるのでしょうか?

留学時代の私  違いを知り衝撃

私は現在 都内で小さなクリニックを開業しております。卒業大学で研修・関連病院で研修・卒業大学で大学院を卒業、現在約50歳の医師の当時のキャリアパスとしてはよくある【一般的】なコースの中で生きてきました。アメリカに留学時代に【普通・一般的】の呪縛から逃れられていないことに驚きました。 これは、海外旅行・海外留学・海外赴任をされたことがある方にとっては「あるある」だと思います。

日本では、医師になる一般的なコースは高校卒業後に医学部に入学して、医学部内のクラブに入って、病院で勤務してというステレオタイプがあります。

病院の規模や特徴はありますが、一般企業では学部も経歴も多様性があるのと比べて、医師では画一的な経歴を経ている人が多いという特徴があります。

特に、僕のようなオッサン世代では、卒業大学や地元の医局に入ることが【一般的】だったので価値観の振れ幅が非常に少ない世界で生きていくことが多かったという特徴があります。

しかし、アメリカに留学時代に外来や手術場でアメリカのレジデントやフェローと交流、ラボでアメリカ外の医師と交流すると「??」がたくさん出てきて混乱しました。  

1:アメリカでは、医師になるには理工系の科目は大学時代に専攻しておく必要がありますが、医学部は高校卒業後ストレートに入学するものではなく、大学院で選択するもの

2:それを知ったきっかけは、僕が留学時代にアメリカのレジデントと「特許を取りたいんだけど」という話が出た際に、ビジネススクール出ている人も、エンジニアリング(工学部)を出ている人もいて、すぐに方向性を示してくれたことです。多分、我々の世代(50歳近い)の医師同士の会話ではありえないと思います。(若い医師の先生方はそういったマインドで実際に起業されている方が増えてきていますが)
外来中にフェローがpink paper( Financial Times)を白衣のポケットに入れながら診察していたのも衝撃的でした

3:毎年、フェローやレジデントの選考面接があるのですが、自大学からの採用は人数が限られていることでした それによって他大学卒業後の人々と更にUNDERGRADUATE(学部時代)の専攻多様性が自然にクロスする環境で働くようになっていたことです。当然、自分の常識の再構築がされます。

4:専門科のCHAIRMANと言われる人とPROFESSORが分離されていたことです。 日本ではPROFESSOR=CHAIRMANが同じで、日本では教授が変わるとガラッと大学の専門性も変わってしまうことはあることは皆さん肌感覚としてお持ちだと思います。 しかし、アメリカでは、専門科の中のサブスペシャリティ毎のPROFESSORがいて その複数のPROFESSORを仕切るCHAIMANがいますので CHAIRMANがかわったとしても サブスペシャリティが影響を受けることが少ないです。

5:日本だと、MD,PhDというのが教授になられる先生であれば一般的でしたが、 アメリカではPhDコースにいくのは本当に一部の人でというのが衝撃的でした。そういった意味では サイエンスの考え方を知る臨床家である日本のMD,PhDに価値があるともも言えます。しかし、大学院は卒業したけどそのときのボスの研究の手伝いで自分のクリエイティブは研究をできずに、卒業後は研究を継続しないことが多い日本の環境はリソースの適正配分ができていないとも言えます。ポスドクのようなサイエンスの考え方のできる人にMDがアイデアを投げて ポスドクに雇用を生み出すという考え方もありかと思います。 

6:アメリカのMD,MBAの数の多さ。日本のPROFESSOR=CHAIRMANというシステムとは異なり、サブスペシャリティのPROFESSORたちの長であるCHAIRMANというシステムを束ねるにはマネージメント力が必要でPhDよりもMBAという資格を持っている医師が多いことにも納得しました


これは、どちらの良し悪しを判断するものではありませんが、やはり 環境自体が多様性を生むように設計されているのが大きな違いかなと。 勿論 医師という 職業の中で収斂する文化はあると思いますが。 

やはり違いがあることを知ること、または知らせていくことが大切だという趣旨で書かせていただきました。情報統制が効いていると言われる独裁的な国でも 国民は為政者が発言していることに違和感を感じながら 逃げる機会を伺っていると思います。 

医療も昔ほどではありませんがヒエラルキーが強いために勤務医の先生方の中には違和感を感じながら逃げ方を伺っている方もいると思います。


医師は医療のことだけ考えていれば良いと考えることも間違いではないかと思いますが、医療も社会システムの一部である以上 完全な独立をすることはできません。そのことは開業の先生方が開業して痛感されていることだと思います。クリニックのトップとしてどのように組織を引っ張っていくのか?ということに日々頭を悩ませていると思います。医師会の先生や仲間の先生からいろいろなことを聞きながら対応されていると思います。しかし、大きな問題があります。 そのメンターにしている先生がメンターとして適切なのか?ということです。


いわゆる頭の良い人

以前に読ませていただいた 山口周さんの「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」という書籍の中で「いわゆる頭の良い人は いわば足の早い旅人のようなものである。 人より先に人のまだ行かないところへ行き着くことはできる代わりに 途中の道端あるいはちょっとした脇道にある肝心なものを見落とす可能性がある。」との記載がありました。

一般的には医師は「いわゆる」頭の良い人の部類に分類されることが多いと思われます。実際に、受験なども過剰な競争とも思えるくらいの状況で どうしても決められたタイムフレームの中で効率的にあるレベルまでに到達する勉強をしてきている人たちの比率は高いと思います。

大学に入っても私の世代とは大きく異なるくらい吸収すべき知識量も多く、かつクラブ活動なども医学部限定のクラブに所属することが多いため、寄り道や他分野とのクロスをしにくいという現実があります。

そして、そのまま医師になり更に忙しい仕事に追い立てられることになります。 勿論、患者さんの生命やQOLに関与する仕事では、新しい知識や経験の吸収を素早く行い、それを現場で応用するという仕事の分野においては、やはりそのような無駄の無い仕事遂行能力は第一条件として必要となります。しかし、単一のギルドの中で生きることによって視野の狭窄がおこってしまいます。

そして、勤務医医師で病院の部長になったような先生だと 部長会議などで数字を見せられたり 病院や他のコメディカルの人事関連などもケアしてきているかもしれませんが そこまで到達せずに開業する先生方も多いので どうしても経験や知識がないままクリニックのトップになるのです。 

企業だと いろんな経験やマネージメントなどを行って経験を積み徐々に責任の大きなマネージメント層に登っていきますが クリニックでお若いうちの開業する際にはいきなり平社員から社長に大抜擢されるようなものです。

 勿論それで能力を発揮する方もおられると思いますが 医師30万人のうち開業医10万人がそのような能力を全員が発揮することはなかなか難しいと思います。

しかし、医師の皆さまは課題や問題点を言語化すればそれについては非常にストイックに勉強されると思います。OTJ(ON THE JOB TRANING)ということでほとんどの方は開業してから学ばれますが それは トップが取るべき勉強スタイルとしてはそこだけに依存するのは危険だと思います。 やはり 事前にある程度マネージメントの基礎や考え方などを習得しておいたほうが良いと思います。人を雇用するというのは人の人生を背負うことでもあるので。

それはけっしてビジネススクールに行きましょうということではありません。 事前にすでにビジネスや経済などでの言語化された汎用的な考え方などの「巨人の肩に乗る」ということです。そしてその上で 先輩などの個別化された経験などを習得されるのが良いかなと思います。 

そういった意味で 開業直前は 開業のテクニックやコツみたいな目的の限定された本を読まれることになると思いますが、それ以前には もうすこし鳥の目的な本を読むのが良いかと。個人的に複数回読んだ本は

医療戦略の本質です。 これは海外の著者ですので 日本の医療制度そのものにバッチリFITするものではありません。しかし、こういった広範な経済・ビジネスの文脈で語らえたものを読むことで 何らかのヒントやキーワードを得て 皆さまが得意な自学自習を進めていただけると嬉しく、他分野の情報にOPEN MINDEDになってほしいなというのがNYAUWの目的です。

患者さんの受診行動をマクロにみていただき その必要性の中でいろいろ勉強をしていただけると!!その視点の練習として 紹介先プロジェクトへの参加を!お願いします


NYAUWという活動を始めたきっかけ

【1院・1人ではどうしようもないというため息】です。学会・医局・研究会・医師会などがあるじゃないか?という声が聞こえてきます。もちろん 医師にとっては非常に役に立つ組織ではあります。しかし、患者さんはそのようなセグメントの切り方で医療を見ておりません。 たとえば、「杉並区医師会の眼科の先生の中で対応してほしい」ではなく 「自分の疾患をできるだけ最小のコストで、より良く対応してほしい」が患者さんの要望です。時間・お金・精神的負担が最終的に少なくなるなら 先生の診療圏外の専門家にでもかかるのです。そういった際には 自分のいつもの専門内・近隣の紹介先だけでは対応できない場合もあります。「みなさんがいつもの紹介先情報をシェアしていれば患者さんの受診体験向上になるのでは?」と仮説を立て【信頼する紹介先のクリニック登録の数珠つなぎ】プロジェクトを立ち上げました。なるほどな!と思われたクリニック院長先生ログイン・登録してください!


2021年10月28日14時31分31秒
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