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まとめ記事⑧ スタッフにははできるだけ長く働いてほしい?

これまでFACEBOOKやnoteで色々書き溜めてきましたが 10回ほどでまとめてみようと思いました。 たくさん書いたもののまとめ記事と思って読んでいただけると幸いです。先日の投稿⑦

「先生、求人にお困りではないですか?」

「困っていない! 毎回良い人が来るので」という先生は気を使わずこの記事から離脱してください。ここからは「そうなんです 困っているんです」という先生方向けの記事になります

先生のクリニックに勤務されているスタッフの皆さまはいろいろなことを学び、非常に多くの貢献をクリニックにしてくれています。できるだけ長く働いてほしいという気持ちで一杯の先生方がほとんどでしょう。れは阿吽の呼吸で仕事ができ 患者さんの顔も覚えていただき ファミリー感が出せるという意味では非常に素晴らしいです。

しかし、この記事を読まれている前提をもう一度振り返ってみましょう。そうです 先生は求人で困っておられるんです。


先生「?? 求人では困っていると言ったが 現在残ってくれているスタッフには満足だよ。それは関係ないのでは?」
井手「先生 求人するということはどういうことですか?」
先生「人が足りない」
井手「なんで人が足りないんですか?」
先生A「一人 退職しちゃったんです」
先生B「うちはやめてないんですが 人手が足りなくて追加募集」
井手「とらばーゆやINDEEDで募集してもあんまり募集あつまらないですよね? 実際私のところも求人が正直集まらないので これは現実的な問題です。しかし、お知り合いの先生や噂で求人出したら応募が数十人集まったとか聞きませんか?」
先生「聞きます 聞きます!! 確かに」

オープニングスタッフ

クリニックさんのコピー力がすごいこともあるかと思いますが、やはり オープニングスタッフ募集の時には募集数が多いという傾向があるようです。

オープニングスタッフは人間関係が楽というのも大きな理由です。つまり 長年働いているスタッフ率が高いと どうしても 暗黙知や経験の蓄積がその人に集まり、ルールや文化がその長年いるスタッフ主導で決められることになります。 「こういう事があったからこういう運用になったのです」と。こう言われて反論できる新人スタッフは少ないと思います。 

こうやってルールはどんどん増えていく一方で 新規入職者にはなかなか現状を変えるチャンスは巡ってこないことが多いです。
最近読んだ記事でマンションに関して興味深いものがあります

「組合の理事(6人)が20年以上実権を握り、自分たちに都合の良いルールを住民に押し付けてきた。それを破ったら管理人がすっ飛んできて責め立てるわけです」 それもあってか、値段もパッとしない。(中略)だが、異変が起きたのは11月6日のこと。組合の総会が開かれ、前理事会に反発する住民らで構成された「秀和幡ヶ谷レジデンスを救う有志の会」に推された新理事が役員の過半を占めたのだ。
つまり 古くからのスタッフ視点での過ぎたルールが増えると働きにくくなって求人も応募が少なくなるという傾向があります。 これは 先生のクリニックがというわけではなくオープニングスタッフ募集以外ではそう思われているということです。

求人のマクロとミクロ

求人市場で応募者にはこのようなマインドがあるというマクロの傾向を知れば、今のスタッフで対応してくれたほうが楽だというミクロの視点を変えなきゃいけないと思っていただけるかと。現時点の運用に流されていると余計に新しい人財獲得のコストがかかり 新しい風がはいってこないという大きなデメリットもあると認識していただけると。恥ずかしながら当院でもそういった傾向がありますが 最近入っていただいた受付スタッフの方が他の眼科でも経験があるため当院の運用が相対視して少しずつ変えてくれています。

でも、ここで鋭い先生は気づかれたと思います。「当院だけが マクロな視点を持っても 求人者がオープニングスタッフに興味があれば 状況は変わらないのでは?」

先生、鋭い! そのとおりです。マクロな求人市場ではなかなか勝てないのです。よっぽど求人のコピーを秀逸なものにして既存の医療機関でも応募してみようかと思ってもらわない限り。 条件検索のオープニングスタッフという項目にチェックを入れられれば万事休すです。

じゃあ 求人誌の検索ボックス・チェックボックスに勝てないとなると、求人広告を出す以外に どうすれば良いのですか?

リファーラル採用

それはやはり内部採用です?? 内部?ナンノコッチャ?REFERREL採用を増やすことです。
医師の採用でいうと今はマッチングシステムでREFERREL採用は研修医採用時には難しいと思いますが、我々の世代(50歳)のときには クラブの先輩の繋がりや医局の飲み会などで勧誘会があったのです。 今でも一般企業で OB OG訪問やインターンなどがあるのと同じです。 

これは抽象化するとどういうキーワードでしょうか?まずはドアをくぐらせるということです。どんなに綺麗事が書いてある求人コピーよりもやはり体験や接触機会の方が影響が大きいと思います。百聞は一見にしかず。

 クリニックスタッフのうち受付の方々はバックグラウンドがばらばらでなかなかREFERREL採用は難しいと実感しています。しかし、資格職の方は学生時代の繋がりなどで医療機関の評判などは共有化されています。勿論、他の医療機関に先生のクリニックの噂も拡がっていると思います。 しかし、人の噂は伝聞だとやはり実態とは異なっていることも多いのです。であれば噂を作り出せばよいのです。 いや、噂ではなくてリアルな体験談を。
そのリアルな体験をさせるためにエステや英会話は初回体験無料や半額キャンペーンをしているのです。まずはドアをくぐってもらうためのマーケティング費用としてです。 特に エステや英会話はレッドオーシャン産業で競争が激しいのでそういったことで良さを知ってもらうためキャンペーンを行っているのです。

クリニックも対患者さんでは同じ診療科のクリニックが競合となります。医療資格者の場合にはすべての診療科が競合になることも、そして受付スタッフさんの場合には医療だけでなく全業界が求人の競合になります

例えば、一般の自動車メーカは他社の車を研究しますが ロールスロイスは現体制になったときに「競合する車はない。競合するのであればクルーザーや不動産」と豪語しており、今回もやはり「日本市場において競合するのは宝石やクルーザー」加えてロールスロイスの対象となる顧客は「何かと迷って一つを買う」ような人ではなく、「迷ったら全部買う」ような人たちだ、と明言しています。求人もそういった広い意味での人財獲得競争だと思っています

つまり、既に働いているスタッフからの紹介や口コミをしてもらったり、入職検討者にクリニックのドアをくぐってもらい実際に体験してもらうことが選択肢として出てきます。口コミにしてもお試しをしてもらうにしても、その際に 院内の雰囲気が悪いと知り合いには推薦できませんよね。または見学に来た際に スタッフがリクルーターになってもらわなくてはなりません。 こういった意味で 外部的にも内部的にもFAIRNESSをできるだけ徹底しておく必要があります。

加えて、当院では嘘でもいいので3年後の目標という作文をしてもらいます。 クリニックで一生働くのではなく それ以外の選択肢も意識しながら 面白いことがあれば幸せに退職することは大歓迎だと入職時に伝えます。
そういって辞めることを裏切りだと捉えたりするのではなく 出てくことは新しいチャレンジをするので素晴らしいと思ってあげるように心がけています。
勿論 寂しいですし いろんなことを知っている人が出ていくと パフォーマンス的には下がります。しかし、僕も医局を移ったり開業したり 大学院に行ったり いろいろ心変わりの多い人生を送っているわけで 人生 ステージごとに見えてくるものは異なりますので 縛り付けようとすればするほどコソコソと辞める準備をされてしまうので。

OPHSHARE

そういった意味でクリニックに人が入ってもらって噂を積極的に形作る活動が 眼科業界で準備しているしているOPHSHAREという活動です。



少し長いですが 趣旨を読んでいただきたく
「眼科検査スタッフが行った検査や患者さんとのコミュニケーション内容の記載が、医師の診察の土台です。 検査スタッフが多くの経験を積みスキルアップすることが、病気発見の可能性を高め、クリニックに患者さんを引きつけます。 医師が生涯学習を行うことは当然ですが、患者さんとの最前線で接する検査スタッフの疾患・検査リタラシーも上げていきたいですよね。 そのような知識や経験を自院で提供できれば一番良いです。しかし、院長の専門や地域の人口特性に応じてカバーしきれない専門領域も出て来ます。 それを仕方ないと諦めずに、経験できる施設で時々勤務しながらスキルアップできれば検査員のモチベーションもあがり、将来の求人もしやすくなると考えます。 逆に、先生のところで経験を積みたいという検査員からの応募があれば受けて頂き、自院・他院の検査員の皆様をクロスしていきたいですね。 それは教えてくれる先生が来てくれるようなものです。 当院では開院当初よりそのような検査スタッフの受け入れや副業解禁で。 検査スキルだけでなく運営についてのヒント、つながりを通じた採用など大きなメリットを実感しております。 この試みの輪を皆様にもぜひ一緒に広げて行きたく お願い申し上げます。」
このおかげで小さなクリニックにも関わらず 苦手な分野の検査や 他院の運営方針なども勉強になり 病欠などで急に欠員が出たときは退職したスタッフが手伝いに来てくれた非常に助かっています!
クリニックの院長としてはどんなにスタッフにフラットに接しているつもりでも 相手はどうしても壁を作ってしまってしまいます。しかし、やはり内部に対するFAIRNESSも大切かなと思いながら日々過ごしています。


NYAUWという活動を始めたきっかけ


【1院・1人ではどうしようもないというため息】です。学会・医局・研究会・医師会などがあるじゃないか?という声が聞こえてきます。もちろん 医師にとっては非常に役に立つ組織ではあります。しかし、患者さんはそのようなセグメントの切り方で医療を見ておりません。 たとえば、「杉並区医師会の眼科の先生の中で対応してほしい」ではなく 「自分の疾患をできるだけ最小のコストで、より良く対応してほしい」が患者さんの要望です。時間・お金・精神的負担が最終的に少なくなるなら 先生の診療圏外の専門家にでもかかるのです。そういった際には 自分のいつもの専門内・近隣の紹介先だけでは対応できない場合もあります。「みなさんがいつもの紹介先情報をシェアしていれば患者さんの受診体験向上になるのでは?」と仮説を立て【信頼する紹介先のクリニック登録の数珠つなぎ】プロジェクトを立ち上げました。なるほどな!と思われたクリニック院長先生ログイン・登録してください!

2021年10月28日14時31分31秒
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