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学生のための哲学対話入門編

2021年4月19日 まんのう図書館主催

入門編と題して、哲学のミニ講義を行い、哲学対話を体験してもらいました。
参加者は、中学1年生2名と中学2年生3名の全5名。そして、全員男子でした。

まず最初に、ファシリテーターを務める杉原の自己紹介を簡単に行います。それから、参加者の皆さんと自己紹介を兼ねた「質問ゲーム」をしてもらいました。

ひとりが回答者になり、他の参加者が質問者になります。制限時間はひとりあたり3分間。回答者が答えに詰まっていると、質問者が質問する時間が削られてしまいます。また、一人の質問者が、何を質問しようか迷っていると、他の参加者が質問する機会が削られてしまいます。これは、ゲームですから、矢継ぎ早に、次々に回答者を質問責めにして、回答者は、次々答えていかなければなりません。

ここでの目的は、緊張をほぐす事や、みんなで声を出す機会を作ることです。そして、参加者の個性もみえてきて、お互いに対して興味が深まります。

質問ゲームの後は、少しだけ「哲学ってなんだろう?」と題して、ミニ講義をしました。あらかじめ用意しておいたスライドをプロジェクターで見てもらいながら解説します。よく喋る参加者も、この時ばかりは、黙っていました。

中学生たちの目がまん丸になっていたような気がして、どこまで伝えられたのかちょっと不安に・・・。

「大丈夫かな?分かるかな?」と聞いてみると、コクリと頷いていました。

次に、「哲学してみよう!」と題して、哲学対話の説明をします。

問いを出すことから始めますが、例として、プロジェクター上には、いくつかの問いを表示しておきました。

「アンパンマンは正義か?」という問いをみて、参加者に笑われてしまいました。

「おかしい?こんな問いでも、実は大真面目に、みんなと話し合えると思っているよ」と伝えます。

「例えばさ、みんな今、服を着てるよね。それってどうして?どうしてみんな裸じゃないの?『どうして服を着るのか?』という問いがあってもいいと思う。当たり前すぎて、考えなくなっちゃったことも、改めて考えてみるのが、てつがくの時間だよ」と話しました。

参加者のみんなは、目をまん丸にしているようでした。今度ばかりは、誰も笑いません。

参加者全員に、実際に、問いを出し合ってもらいました。


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意外と問いを出すのは難しいもので、参加者の中には、頭を抱えている子もいます。


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ひとりひとりが問いを書いた用紙を並べて、お互いの問いを共有します。


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参加者みんなが出した問いから、一つの問いに絞って、哲学対話をやってみます。

みんなが投票で選んだ問いは、【なぜ物語にはたいてい結末があるのか?】でした。


結末がなくても物語として成り立つ?

・最後に謎を残して終わる物語もある
・シリーズ物なら途中で終わったりする
・スッキリしない終わり方の方がまだ続くかも?と思える

でも…
・明確な結末がないと飽きてくるかも?
・結末がないともやもやする
・結末がないと出版社や作者にクレームが来そう…

何をもって「結末」とするのか?

・「〜でした。」で終わるのが結末なのでは?
・自分の中で考えたり他の人と話し合うことで「結末」を作り出すことができるのでは?
・最初の方から、ちょっとずつ盛り上がってきて、中盤が山のようになって、最後は静かになる感じ。
・「結末」は、作者のなかにはあるもので、まだ出版されたり、記されたりしていなくて、公になっていない場合もある。


そもそも皆にとって「物語」って何?


・人生も一つの物語なのでは?
・小説や漫画など、人が創り出すものが物語なのでは?
・自分の考えを伝える一つの手段なのでは?
・起承転結があるもの
・物語ってあるものなの?それとも、創るものなの?
・人間以外にも物語ってあるのかな?机や椅子にも起承転結があるのかな?
・物語は人の心を動かすもの
・作者が明確な結末を描いていなくても、ファンや読み手達の想いや想像などで続いていくのでは?
・続編を望まれることで、のちのち「結末」というものが生まれてくるのでは?
・災害など体験を元にした物語なら「何か大切なことを伝える」という目的があるのでは?


さて、今回は哲学対話の体験ということで、少しだけしか出来ませんでしたが、これからに続くことを願って。


参加者からの感想

趣旨が、あまりよくわからないまま、参加された方が多かった印象でした。お友達が来るから、一緒に来たという方もいたと思います。どうやら、意外と楽しんでくださったようでした。私自身にとっても、とても楽しい時間でした。

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ーーーーーーーーーーーーーーーその他の感想ーーー

【はるちゃんの感想】

今回ファシリテーターを務めた杉原さんが経営しているお店でお手伝いをしている19歳のはるです。
これは今回参加した哲学対話の感想文のようなものです。

ただ、今回は発言者ではなく助手という形で参加させて頂きました。
対話に参加する訳ではなく、参加者の方から出た意見をメモしていったり、対話風景を写真に収めるといった役割です。

私自身、哲学対話というものが初めてで、どんなものなのか、どんな雰囲気で進んでいくものなのか全く想像がつきませんでした。
なんだか十分な勉強が出来ずに迎えるテスト前日のような謎の余裕がありました。

実際に皆さんの意見を聞いていると、「あぁ、なるほど」と思ったり、「そんなふうに考えたことは無かった!」と驚くこともありました。

対話が始まってすぐは、何から話していけばいいのか、と少し戸惑うような雰囲気もありましたが、誰かの一言をきっかけに、一気に話が深く進むこともありました。
話が深まるとすごいスピードで意見が出てくるので、メモしていくのも大変でした。
一旦会話が落ち着いて、メモした内容を見ると、皆さんそれぞれの意見を持っていて、自分一人で考えていたら出てこないような考えが沢山ありました。
話が深まるタイミングは本当に些細でふとした瞬間にあって、そのふとした一言に触発されて、様々な意見が出るというのは対話ならではだなと感じました。

意見を出すだけでなく、そこに問いを投げかけることの難しさを、参加してみて感じました。
あくまで個人的な考えですが、受け身になることに慣れていると、出された意見を飲み込んでしまった方が早いと思ってしまいがちな気がします。でもそこで、自分の中で意見を咀嚼し、問いをみつけ、投げかけることでより深い対話になっていくんだという事に、今回は第三者として参加していたからこそ気づけたのでは無いかと思います。







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