グリーンマイルを観て感じた、日米の違い


 はーい、テツガク肯定です。

 最近、映画の『グリーンマイル』を見返して。
 ココが日米の違いかもしれない。
 そんな馬鹿げたことを感じました。

 それは、エデュアール・ドラクロア。
 デルの愛称で、ミスター・ジングルスというネズミが友達。
 彼の刑が執行される時の話です。

 ブルータスさんがミスター・ジングルスをネズミ園に預ける。
 そう約束したのですが、刑が執行される直前に。
 パーシーさんが、それは嘘だと告げます。

 私には、アメリカ人の友達がいるわけでもありませんが。
 ここが日米の違いのように、今の私は感じました。

 おそらく、日本ではパーシーさんみたいな人が好まれ。
 ブルータスさんみたいな人は嫌われるでしょう。

 意地悪できる奴がヒーローとでも言いますか。
 上手な悪ノリは面白いとでも言いますか。
 あるいは、いつだって正義を為すべき。

 悪気なんかなく。
 それが、間違っていると思えば。
 間違っている、と指摘するのが止められないのが日本人。

 この場合、ネズミ園というのは、ブルータスさんがついた嘘です。
 ですが、ドラクロアさんに対する最大級の敬意のようにも思えます。
 そんな嘘、つく必要などありません。
 刑が執行される人への心遣いなど、ブルータスさんの仕事ではないからです。


 この『グリーンマイル』に限らず。
 アメリカの映画やゲームでは敬意を感じる場面が多いです。
 それと同じくらい。
 つまらないことで不用意に煽って、それが最期になる。
 そういう場面も多く観てきました。

 どう考えても賛同できそうにない言い分にも。

 そうだよな、わかるよ。

 だなんて言う場面も同じくらい観てきました。
 一方で、相手がNOと言えば、NOなんです。
 そこで引き下がらないと、ろくなことにはなりません。

 普段は寄り添うように努めても。
 自分が譲れないものだけはNOという。
 基本的に相手もそれ以上は踏み込まない。
 黙って立ち去る、それがデッドラインだから。

 『IT』のビルさんとリッチーさんがわかりやすかったです。
 普段はふざけたことを言うリッチーさんですが。
 ビルさんが触れて欲しくないことを茶化した時は。
 その場で、すぐ静かに謝りました。

 正直、日本のフィクションでは考えられません。
 すみません、私が知る日本のフィクションでは思い当たりません。
 遅れて謝ることはあっても、その場ですぐに謝るなんて。

 この違いは生死がもの凄く身近にあるから。
 生まれてくる意識の差かもしれない。
 そう今は納得しています。


 もちろん、ただの映画の話です。フィクションの話です。
 ですが、それをつくっているのは、紛れもないアメリカ人であり。
 そして、日本人の意識もだいたい日本のフィクションどおりです。

 昔から洋画が大好きだった私は。
 どうにも人付き合いが上手くいきません。
 ノリとかネタとかよくわかりませんし。

 たまに、他の人にとってコミュニケーションってなんだろう?
 そう思う場面が多いです。

 私にとっては相手を知る機会であって。
 相手のことを知りたいですし、私を知ってほしいです。
 ですが、私の経験では……とりあえず、同じ時間を過ごしたい?
 みたいな感じで、かなり嫌です。

 おまけに何か言うと必ず言われます。

 それは、間違っている。
 これはこうだ。

 先生でもなくても先生みたいに説教が始まります。
 賢いから間違いだとわかるのでしょうが。
 それが私です、愚かなのが私です。
 賢いのですから、それくらいわかるでしょ?

 わざわざ、正解を教えるために向かい合っているのですか?
 自分を伝えるのに、間違えを教える必要があると。
 本気で信じているのでしょうか?

 単純に、そうなんだ、私はこう思っていたよ。
 それで済む話です。
 間違いを教える必要などないのですが……。
 パーシーさんのように賢いから教えたくなるのかもしれません。


 日本のフィクションには。
 わからせてやりたい、みたいな要素がありますから。
 フィクションが与える影響は凄まじいものです。
 そのITは無意識まで伝染するホラーで、インセプションです。

 今の私がアメリカのフィクションに影響されて。
 なかなか日本のフィクションについていけないように。

 特別、どちらが優れているとは思いませんが。
 どちらが謙虚で敬意を感じるかと言えば。
 今の私は、確実にアメリカのフィクションの方が謙虚であり敬意を感じます。

 日本人は謙虚だと聞きましたが。
 ここまで傲慢な人も珍しいのでは?
 そう感じるようなフィクションの方が多いです。

 今、勝手に日本人を語るな、とか。
 アメリカにもこういうフィクションがあるよ、とか。
 そういう反射が起きた場合、それが私は傲慢だと言うんです。

 全くだな、わかるよ。
 いかれてるよな、俺達って。

 そう余裕のある人が謙虚なんだと。
 最近の私は思っています。

 もちろん、あなたは違うのでしょう。
 いつだって、正義を掲げて、違うものは断固NOと告げる。
 立派な腹切り武士道精神です。
 今では腹を切る刀もありませんから、痛くもない暴力で袋叩きです。

 炎上とリンチが日本の華です。

 これが、日本式の傲慢な終わり方です。
 あなたがココまで辿り着いた時。
 
 何、言っての?

 そう感じるくらい。
 穏やかにわかり合える今があることを願いながら。
 私も私で第七区へ帰れることを切に思います。

 ホント、もう少しだけ。
 一緒に愚かさを楽しみたいものです。
 掟破りのイカロス渡りでショーシャンクの空。

 この世ってグリーンマイルの裏側にある。
 あの世ってワンダーランドへ。



 それでは、また次の機会にお会いしましょう。








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