通貨って世界にいくつあるの?【クラウド連結会計こだわり仕様シリーズ】
こんにちは!「マネーフォワード クラウド連結会計(以降“クラウド連結会計”)」のプロダクトマネージャーをしている、HORI です。
こだわり仕様シリーズ第6回
クラウド連結会計のこだわりシリーズの第6回です。第5回は会社にフォーカスして解説しました。今回は会社の属性情報として重要になる「通貨」にフォーカスしてこだわった部分を説明していきます。
連結決算における「通貨」の特徴
連結決算においては、「グループ子会社が海外にある」という事態が普通に発生します。会計基準等でもオフィシャルな用語として「在外子会社」という用語を頻繁に使っています。
グループ各社の数値を合算して(+重複する部分は消去して)、企業グループ全体としての財政状態、経営成績を把握するのですが、この際、10ドルと1,000円を単純に足した「10+1,000=1,010」という数値では意味がないため、1ドルは円換算後の価値は140円程度(2023年9月現在)という、為替レート情報に基づき、「10×140 +1,000=2,400円」という計算をしましょう というルールになっています。
厳密には通貨の判定方法とか、損益計算書と貸借対照表で使うレートが異なるとか、平均レートの算定方法とかの論点もあるのですが、今回の記事は換算方法の詳細には触れず、会社と通貨の紐づけ方や通貨と換算レートの関係性に絞って解説していきます。
通貨をマスタとして持つ?
先に結論を書いてしまいますと、クラウド連結会計では通貨マスタというマスタは持たないことにしました。
会社数が少ない時や使う可能性が高い通貨が限られている状況では通貨マスタを持つことも一案なのですが、実は通貨というのは世界共通の記号があります。
親会社と子会社がコミュニケーションしていく基盤でもある以上、「世界共通で使えるものはそのまま使ったほうが良い」、という判断と「マスタとしてメンテナンスしないといけないものは最小限に絞りメンテナンス負荷を下げる」というコンセプトを優先しました。
デメリットとしては会社に通貨を紐付ける際に、多数の通貨(200程度)から選ばないといけないのですが、「全通貨を表示するのは会社を登録するときだけ」とすることで、継続的な連結決算業務の中では気にすることなく操作できるようにして影響を最小化しています。
ただ、ISO通貨コードをそのまま利用することによりユーザー様が珍しい通貨の会社を買収したとしても、「選びたい通貨が選択肢にない」という事態はほとんどありえないとゆうメリットも生じます。
決算月ズレとは?
実は通貨をマスタとして持たないことにより、考慮が必要になったのは、「決算月ズレ」への対応方法でした。
日本の会計基準上、親会社と子会社の決算日は「原則的には統一」の前提ながら、「3カ月以内のズレは許容」になっているため、子会社の決算日は揃っていない可能性が残ります。(決算日がそろってないのは在外子会社が多い)
このため、同じ通貨の会社でも、決算日が異なる可能性が残ります。
各連結対象期間における換算レートの持ち方
同じ通貨の会社でも、決算日が違う場合換算に使うべきレートが異なる可能性があるため、通貨ごとに換算レートを持つことにすると、対応方法がなく詰んでしまう可能性がありました。
マスタであれば変則的な通貨登録(usd2とか)で回避できるのですが、マスタを持たない場合はこういった運用回避策がとりづらいのです。
そのため、クラウド連結会計では各決算期で会社ごとに換算レートを持つという仕様にしています。
将来的な拡張性
ISO通貨コードを利用したことにより、海外子会社との認識共有がしやすいだけにとどまらず、海外の地域統括会社でのサブ連結等への展開がしやすくなります。
また、金融機関提供の為替レートデータとの親和性も高いため、為替レートの自動取得等の拡張機能も開発しやすくなっています。
マスタにしてしまうと、自由にメンテナンス出来てしまうが故に、どうしても拡張性に難がででしまいます。そこで、通貨に関しては「マスタとして扱わない」ことで、メンテナンス負荷を下げつつ拡張性を残す選択になっています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
私たちはこだわりを持ってプロダクトを作り、連結会計の世界を変えていくつもりで日々の開発に取り組んでいます。志を叶えるにはまだまだ遠い道のりですが、このこだわりに共感し、一緒に未来を作っていくメンバーを募集しています。共感された方、気になった方は、ぜひエントリーをお願いいたします。