【短編】「囚人」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 065
囚人たちがいた。
囚人たちは二つの自由を奪われていた。
ひとつ。質量に伴う力で強力に縛りつけられていた。
ひとつ。同時に時間の移動を固く禁じられていた。
可哀想だと思うだろう。
だが囚人たちは星を眺めることができたしお互いを愛し合うことができた。
それゆえに囚人たちは己が囚人であることを忘れていた。
忘れるのに時間はかからなかった。そういうものだ。
信じられないかもしれないが、2,3週間もすれば忘れてしまった。
囚人たちの惑星系でいえばわずか10万かそこらの