【短編】「体内時計」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 056
どうやら昨晩酔った際に体内時計をどこかに落としてしまったらしい。
都内を走る環状線のつり革につかまって腕時計を見ると針は10時19分を差していた。
先刻見たときは9時19分だったから一時間が経過したことになる。
窓外を流れてゆく高いタワーの近景に既視感を感じたのはこのためだろう。
道理で降りるべき駅にたどり着かないわけだ。
この電車に乗ったのは何時だっただろうか。忘れてしまった。
今朝のことだとは思うが昨日のことだったと言われればそんな気がしないわけ