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【短編集】short×3

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極めて短い短編集
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2019年2月の記事一覧

【短編】「ウサギとカメ」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 045

 あるところにウサギとカメがいた。  ある日、ウサギはカメに山の頂上まで競走をしようと言…

倉光徹治
5年前
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【短編】「ある人生」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 044

 当たり障りのない男が当たり障りのない女に恋をした。  当たり障りのない恋だった。  男…

倉光徹治
5年前
8

【短編】「counter」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 043

 カズジは自分が害化していることに気づいた。  その日、家の仕事部屋の空気正常機のランプ…

倉光徹治
5年前
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【短編】「青嵐」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 042

 鰯の由季子は海流に身を任せ大洋を泳いでいた。  親潮は彼女たちの生を肯定するかのように…

倉光徹治
5年前
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【短編】「海牛」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 041

 海牛は海岸に取り残されモウと鳴いた。  悲しみは詩となり貝殻に響いた。  砂浜に牧草は…

倉光徹治
5年前
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【短編】「最適解」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 040

 日を追うごとにデジャヴが現れる頻度が増えていた。  つい今も、いつものカフェのいつもの…

倉光徹治
5年前
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【短編】「瓦解」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 039

 4月のサークル勧誘の嵐も落ち着き、ひと気も減った5月の大学。  2限と3限の間にできたドーナツの穴のように空虚な昼休み。  カフェテリアで買ったサンドウィッチとコーヒーを胃袋に収めた僕はとくにやることがなく、かといってPCの焼け付く匂いのこもる研究室に戻る気にもなれず、なにげなく手にした電子端末の音声認識AIに聞いてみた。 「世界を崩壊させるには?」  端末は、ピピ、と音を出し画面にグリーンのサークルがアニメーション表示され思考状態を示したのち、答えが返ってきた。

【短編】「ウナギ」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 038

 平日の昼間に見たことのない番号から電話がかかってきたので不動産の勧誘か何かだろうと思い…

倉光徹治
5年前
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【短編】「林檎」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 037

 デカルトは自身の考える渦動説に限界を感じていた。  彼は天体の運動力学は空間を満たすエ…

倉光徹治
5年前
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【短編】「九九」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 036

 ぼくはちいさな、それは、幼稚園に入る前の三歳くらいのころ、知らない人と話すのが苦手で、…

倉光徹治
5年前
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