【短編】「瓦解」_Simplicity of the world, Complexity of the life. 039
4月のサークル勧誘の嵐も落ち着き、ひと気も減った5月の大学。
2限と3限の間にできたドーナツの穴のように空虚な昼休み。
カフェテリアで買ったサンドウィッチとコーヒーを胃袋に収めた僕はとくにやることがなく、かといってPCの焼け付く匂いのこもる研究室に戻る気にもなれず、なにげなく手にした電子端末の音声認識AIに聞いてみた。
「世界を崩壊させるには?」
端末は、ピピ、と音を出し画面にグリーンのサークルがアニメーション表示され思考状態を示したのち、答えが返ってきた。