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  • 終末の麻雀譚

    この荒廃した世界でも麻雀は生き残ることが出来るのか──

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終末の麻雀譚

これは架空の物語。いや、現実に起こる未来の姿かもしれない── 第1話 時は21XX年。 この世界は一度終焉を迎えてしまった。 なぜ終焉を迎えたのかはいつか語るとして、まぁとにかく北斗の拳のような世界を思い浮かべてもらえれば幸いだ。 これまで機械やAIに頼って日々快適に過ごしていた人類は、それらを失ったこの終末世界で何を見るのか。 世界から遊戯というものが無くなってもうXX年─ ある一部の人間は熱中できるものを渇望していた。 ここに一人の少年がいる。名をムサシ。 彼は

    • 終末の麻雀譚18

      荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 彼らの行く先に光はあるか── 第21話 順位点を変更して始まった第2期終末リーグ(本人たちはこう呼んでいないが)。 前回の後半の勢いそのままに、ムサシが先行。 そこにトムの追い上げが入り最終戦までもつれるもムサシの優勝となった。 そしてすぐに第3回が行われ、連覇に燃えるムサシだったが最下位に終わった。優勝はシェリー。 「よおし!順番に優勝してるから次は俺の番だな!」 そう吠えるコジローだったが、第4回の優勝はトムとなった。

      • 終末の麻雀譚17

        荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 麻雀は希望の光となれるか─── 第20話 3回戦についにトップを取ることができたムサシ。 役満もアガった勢いでこれからポイントを積み重ねる…かと思われたがそううまくはいかなかった。 4回戦はトムがトップ。 2着コジロー。3着にシェリー。 ムサシはまたしてもノーホーラのラスとなった。 トムとシェリーはムサシに対して掛ける言葉を探していた。 コジロー「もしかしたら大三元しかアガれないかもしんないから、狙い続ければいいんじゃね?

        • 終末の麻雀譚16

          荒廃した世界で麻雀に出会った少年少女。 ついに勝ち負けを記録し始めた── 第19話 次の朝、いつも一番手のトムがいつもの場所に行くと、すでにムサシがそこにいた。 よっぽど昨日の2ラスがこたえたのだろう。 麻雀牌を並べ、一人麻雀をしている姿は哀愁が漂っていた。しかしながら早めに来て牌理の勉強をするムサシには安心感を覚えたのだった。 一緒に高みを目指してくれる仲間だ、と。 トム「おはよう」 ムサシ「ああ、おはよう」 トム「一人で勉強?」 ムサシ「まあな。今日は昨日

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        終末の麻雀譚

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        • 終末の麻雀譚
          18本

        記事

          終末の麻雀譚15

          荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 上達を目指しただひたすらに打ち続ける。 第18話 「なぁ、俺らって上手くなってんのかな?」 コジローが皆に問う。 「もちろんなってるとは思うが、おっさんの求めるレベルってどんなもんなんだろうな?」 ムサシが答える。 モーさん(仮)こと髭のおっさんがここを去って2週間ほどが過ぎていた。 そのモーさんが「麻雀がある程度まで上達すればサンシティーに連れて行ってやる。」と、要約するとこんな事を言っていたが、ある程度とはどの程度なのだろう

          終末の麻雀譚15

          終末の麻雀譚14

          荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 麻雀は再びこの世界に根付くのか。 第17話 「役満っていつ出るんだろうな。」 ムサシがふと呟いた。 「確かにねー。まだテンパイにすらなったことないや。」 正直トムはあまり意識したことがなかった。 「俺は白と發はよく来るんだけどな。中がなかなか来ないのよ。」 コジローらしい意見だ。 「さすが最高役ってとこね。誰が一番最初にアガるかな。」 シェリーのこの発言で、男たちの心に火が点いた。 一番・・・!!! 「よぉし!俺は今日は役

          終末の麻雀譚14

          終末の麻雀譚13

          荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 今日も今日とて麻雀だ。 第16話 「あれから本当にアガれなくなったな。」 ムサシがコジローに話しかける。 「まぁなー。でもやっぱ高いテンパイが入るとワクワクするよな。結局アガれなくて悔しいんだけど。」 コジローは今の打ち方を気に入ってるようだ。 「でも手役の見逃しみたいなのは減ったね、みんな。」 トムが口を開いた。 「もちろん全部は追えないし、裏目もあるけどな。」 ムサシの言葉に皆頷く。 「そういえばさっきこんなのがあったん

          終末の麻雀譚13

          終末の麻雀譚12

          荒廃した世界で麻雀に出会った少年少女。 少しずつ考え方やスタイルに差が現れ始めた── 第15話 この日もコジローはリーチを打ちまくり、アガリを重ねていた。 「ちょっと待った!」 またコジローがアガった瞬間、トムが場を止めた。 「なんだよ。俺のアガリはもう見飽きたか?」 「それはそうなんだけど、これさ、さすがにもったいないよね。」 コジローのアガリ形はこうだった。 一二三五五七八九11789 ロン1 「なんかおかしいか?」 「これ何が入ってリーチしたの?宣

          終末の麻雀譚12

          終末の麻雀譚11

          荒廃した世界で麻雀に出会った少年少女。 まだまだ初心者。打ちまくるだけであった。 第14話 「今日はこんぐらいにしとくか。」 モーさんが去って3日目の夕方。 ムサシの言葉でみんな片付け始めた。 「さて、今日思ったことあるか?」 自然と暗くなり始めると麻雀をやめ、その日思ったこと、考えたことを話し合うようになっていた。 「コジローは待ちの悪いリーチが多いよね。」 トムが指摘した。 「だって役が無いんだからしょうがないじゃん!結構アガれるし!」 「あーそれは俺も

          終末の麻雀譚11

          終末の麻雀譚10

          荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 運命の夜を越え、彼らの麻雀道へようやくその一歩を踏み出す── これまでのあらすじ 21XX年。人類が文明を失った世界。 主人公のムサシは(自分の周りの)世界に活力を取り戻したいという想いがあった。そして偶然麻雀牌を見つける。初めて見たその立方体に一瞬で心奪われ、老人から得た情報を元に、相棒のコジローと共に麻雀というものを模索する。 麻雀牌を使ったゲームを考案し2人で遊んでいると、いけすかない姉弟が現れる。トムとシェリーだ。 麻雀は4

          終末の麻雀譚10

          終末の麻雀譚9

          荒廃した世界で麻雀に出会った少年少女。 決意の夜は更けてゆく── 第12話 「さて、鳴きについて教えたことで説明できる役が増えました。」 髭は仕切り直すように丁寧にしゃべり始めた。 「まず嶺上開花(リンシャンカイホウ)。これはさっき説明した、カンしてからの嶺上牌でツモアガることだ。」 「そんな特典もあるのか。やっぱりカンは魅力的だな~」 コジローは目を輝かせている。 「でも多分だけど、そんなにカンってできないぜ?一人で4枚揃えなきゃいけないんだから。」 ムサシはカン

          終末の麻雀譚9

          終末の麻雀譚8

          荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 上達への道はまだまだこれから── 第11話 「思わないか?それ要らないんだったら俺にくれよ!って」 おっさんは『鳴き』について教え始めた。 「他人が捨てたものをもらう行為を『鳴き』と言う。『仕掛け』と言ったり『喰う』と言ったり、使い分けもするがとりあえず『鳴き』でいこう。」 ・麻雀は一つの行為や名称にいくつも呼び方があるから初心者には非常に困る。もちろん教える側も困る。正式名称が一般的ではないケースも沢山あるからだ。 「鳴き

          終末の麻雀譚8

          終末の麻雀譚7

          荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 果たして麻雀王になれるのか─── 第10話 一同は盲牌の魅力に取り憑かれながらも役の説明の続きを聞いていた。 「…以上で役の説明を終わる。」 全ての役の説明が終わる頃には、辺りは薄暗くなってきていた。全ての役において質問しながら細かく聞いていたんだから当然か。 「もうこんな時間か。この際今日はここに泊まるから聞いておきたいことは聞いておけよ。まぁとりあえずメシにするか。」 おっさんは大きな荷物からなにやら箱のようなものを出し

          終末の麻雀譚7

          終末の麻雀譚6

          荒廃した世界で麻雀牌を見つけた少年少女。 たんだんと麻雀の仕組みを理解ながらもその世知辛さに直面していた── 第9話 「うっ…うっ…」 ついに声を上げて泣き始めたトム。 困惑の表情のシェリー。 髭はトムの肩を叩いた。 「まぁこれで終わりじゃない。確かに厳しいが、本来なら25000点持ちスタートだからまだ7000点ある。さらに親番も2回ある。最初に18000点無くなったってチャンスはまだまだあるんだ。君なら分かるだろ?もっと言うならこれは練習だ。」 そうだよ。 これ

          終末の麻雀譚6

          終末の麻雀譚5

          荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。 まだ入り口の段階ながら、その魅力に取り憑かれようとしていた── 第8話 ついにリーチを教わることとなった4人。 リーチ棒を出すために、点棒に代わるものを探していた。 「点棒って言うくらいだから、元々は棒状のものだよなぁ」ムサシは麻雀牌を見つけた場所の近くまで行こうとしたが、「とりあえずコレでいい?」とトムがポケットから何か取り出した。 ネジだ。 いろんなネジがあるが、4人分には全然足りなかった。 「まあいいだろう。練習だしな

          終末の麻雀譚5

          終末の麻雀譚4

          荒廃した世界で麻雀牌を見つけた少年たち。 ついに麻雀という遊戯に触れる── 第7話 麻雀の始め方はなんとなくわかった。 ムサシ、コジロー、トム、シェリー。4人の心は一つだった。 『ルールなどの記憶はトムまかせ』 これである。トム自身もそう思っていた。 「あまり時間がない」そう言っていた髭のおっさんに聞けるだけ聞いておかねばならない。 「次はどうするんだ!おっさん!」 ムサシが言った。 「私が1枚捨てるのよね。確か」 シェリーの手牌はこうだった。 一五七九

          終末の麻雀譚4