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キャリアコンサルタントの本棚#10

【映画:正欲(2023)】

以前、ここで紹介した、朝井リョウの作家生活10周年記念作品の映画化です。

先の記事にも書いたのでですが、この小説をどういう風に映像化するんだろうか、と思いながら観に行きました。

結論から言うと、作品の本質を掴みながらも、大胆に鉈を振るって調理された映像化作品。いい意味で別物に仕上がっていると思いました。

もともと原作は、ミステリー作家「湊かなえ」が良く用いる、幾人もの人物のエピソード、セリフで進行していく設定。脇役も含めると膨大な情報量となかなか見えてこない「話の筋」に読み手が翻弄されるのですが、これを2時間尺、そして「映像」で表すことができるのだろうかと危惧してました。(それも人間の内面の物語なので)

映画では構成を変更、ある意味、最初からネタを明かしています。そして主人公たる寺井啓喜(稲垣吾郎)と桐生夏月(新垣結衣)の物語に置き、他のエピソード(セリフ)を大幅にカットしています。

そのためか、やや内包するテーマが「絞られた」感も拭えませんか、その分、観客には分かりやすく訴えかける映画になったんではないでしょうか。

そして二人の主人公を結ぶ、原作にはないエピソードを配し、クライマックスのシーンへ。ここでも、オリジナルのセリフが巧妙に紛れ込ませてあり、観客もろとも突き放すような、終幕を迎えます。

本映画も良いですが、やはり、この原作小説は、ぜひ読んで欲しいです。


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