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【キャリアコンサルタントの本棚】#4

【「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法(中原淳)】

「●リーダーしか発言しないチーム●結局、何も決まらない会議・・・・・・「形だけの対話」はもうやめよう 言いたいことが言い合える関係を築き、皆が納得できる有意義な場をつくる」

立教大学・中原淳先生の本。中原氏のブログnakahara-lab.netのファンで、人材開発・組織開発への眼差しやその表現力の素晴らしさに嵌ってますが、本書のタイトルの「作法」という言葉にもまず惹かれました。

また本書は所謂、スキルを伝えるだけのいわゆるノウハウ本ではなく、教育現場、企業、そして社会(世界)における「話し合い」の危機を訴えるメッセージ性の高い本でもあります。

「はじめに」には中原氏がなぜこの本を今、書いたのかが伝わるメッセージが綴られています。

今、企業や教育の現場で話し合いが危機に瀕しています。
話し合いは、多様な人々がこの世に生を受け、他の人々と「ともに」生きるための知恵でもあります。
本書は、話し合いにまつわる「絶望」の淵をのぞみ、そこから見える「希望」を描くために生み出されました。

そして第1章「話し合いが苦手な国、ニッポン」には、話し合いが必要になる理由を3つあげています。
・我々はさらに「不確実な世界」を生きていくことになる
・我々は多様性を乗り越えていく必要がある
・我々は「民主主義」を守っていかなければならない

もちろん第2章以降には、教育現場、企業現場での実例を交えながら、実践的で具体的な「話し合いの作法」が解りやすく、丁寧に述べられてもいます。(対話に必要な8つの要素や「残念な話し合い」5つのパターンなど)

そして第5章「話し合いにあふれた社会の実現のために」では、こんな力強いメッセージで締めくくられています。
これからの社会を「言葉と論理が重視される世界」に変えるためには、話し合いの力が不可欠だ。それが本当の民主主義の実現で、未来の日本を豊かにする有力な方法である。

キャリアコンサルタントとして、また「言葉」そして「対話」に携わる者として、本書のメッセージは深く刺さりました。


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