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挿絵付き小説サードアイ

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2024年7月の記事一覧

サードアイ ep 20 再会

サードアイ ep 20 再会

 音楽祭が終わると、次は百名ほどの要人たちの食事会へと移った。ここにはブルーノやステファンたちの一般研究員たちはいなくて、俺は特別ゲストとして招待されたようだった。
 国王は数名の貴族たちに囲まれて一段高いと奥まったテーブルに座っている。その近くでは、ゆるやかにピアノの演奏が行われていた。これもまた、素人の俺が聞いても心に響く音色だった。こんな中で食事ができるとは、なんという贅沢なんだろう。ヒノエ

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サードアイ ep21 信じる決意 (最終話)

サードアイ ep21 信じる決意 (最終話)

 俺達は王のいるテーブルに向かった。国王と話す機会が俺なんかにも訪れるとは。ヒノエの手前、失態をおかさないようにと、柄にもなく緊張する。
 目の前にいる王は、見るからに威厳のある立派な人物だった。ヒノエともクロエとも違うオーラの輝きがあって、どこまでも澄んだ目をしている。この人の前では嘘がつけない、そんな感じがして身が引き締まる。
 俺は威儀を正して丁重に挨拶をした。王は俺の顔をまじまじと見ると、

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サードアイ ep 15 王位奪還計画

サードアイ ep 15 王位奪還計画

 体調が戻ってくると、多くの人々が入れ替わり立ち替わり見舞いにやってきた。彼らの話から様々な真実がわかってきた。
 ここが本当に四次元の世界であって、長年にわたって人類の次元上昇の準備をしているということ。三次元の人々の魂のレベルを上げて、高次の意識改革をする大規模な計画があること。各国トップの平和への意思決定を促すために、この星の特殊部隊が暗躍していること、などである。
 そして、私は次元上昇後

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サードアイ ep17 去り行く理由

サードアイ ep17 去り行く理由

 ゴードン王子とその母との別れを見守って、急いでヒノエを連れて帰還した。ヒノエは集中治療室に入ったままのようだ。翌日、俺はブルーノの所に行った。
「これはこれはオウエン殿、遠征お疲れ様でやんした」
「ヒノエは無事か?」
「意識は戻りやした。まぁ、彼女は自家発電機みたいなもんだから、じきに良くなるでやんすよ」
「魂が消えかかってたぞ。普段はあんなことないのに、今回はどうしちまったんだ」
「エネルギー

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サードアイ ep 18 北海の太陽

サードアイ ep 18 北海の太陽

 ブルーノに案内されて向かった先はラボの最上階に位置する司令塔で、壁一面に画面があって、各部屋の様子が映し出されているモニタールームだった。紹介されたのは、ラボの上級役員で、ショートカットのキリッとした年配の女性だった。ヒノエのような燃える赤い目をしている。
 ブルーノは彼女を見ると、子犬のように近づいていき、
「マミー!元気でっか?」と、嬉しそうに話しかけた。
「ブルーノちゃん、久しぶりね。なか

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サードアイ ep19  他者への祈り

サードアイ ep19 他者への祈り

 王位奪還計画が無事成功して、四次元世界は大きな転換期を迎えていた。異次元上昇計画の最終ステージといったところだ。
 軍内部の大幅な組織変更とそれに伴う人事異動があり、俺はファイアーレッドアイの特殊能力と今回の活躍が認められて、軍の中枢部に配属されることとなった。
 ヒノエが回復して初めての軍法会議が行われた。彼女は変わらずに眩しさを放ちながら、きびきびと指令を出していく。頭の中にはすでに異次元上

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サードアイ ep16 絆という名の束縛

サードアイ ep16 絆という名の束縛

 ヒノエとの訓練は日に日に過酷さを増していった。俺ができるだけ多く三次元に移動できるようにと、とにかく基礎体力作りに余念がなかった。男の俺でも音を上げるほどのトレーニングにヒノエは毎回付き合ってくれた。あいつは化け物かもしれないと本気で思う。
 俺の場合、特殊任務の帰還に関しては、魂ひとつで空を飛んで帰れば済む話なのだが、行きは肉体と魂の分離をする例のマシーンを使わざるをえず、あれが非常に厄介だっ

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サードアイ ep 13 予知夢

サードアイ ep 13 予知夢

 わたくしは生まれもって我欲が少ないほうだと思う。愛し愛されるという安住の生活に普通に憧れもしたけれど、一人の時間に慣れ親しむにつれ、それはそれ、これはこれという、割り切りにも似た諦めに、安らぎさえ覚えるようで。
 例えばそれは、幸福感ということを考えるとき、自分と他人との境目がぼんやりとしていて、時折、自分が利することよりも、他人が喜ぶことのほうに幸せを感じられもして、うっかりすると、そのささや

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サードアイ ep14 帝王の矜持

サードアイ ep14 帝王の矜持

 私は生まれた時から王位継承者として育てられてきた。幼い頃から両親は常に公務で忙しく家を空けがちで、私たち兄弟の世話は乳母と家庭教師に任されていた。
 乳母はとことん私たち兄弟に甘く、どんなわがままでも優しくきいてくれて、教師たちは子供たちの気がそがれぬように工夫をこらして学問を教えてくれた。一方で、大人の目の届かぬところでは、兄弟で悪さやいたずらを散々したものだった。
 長じてからは、両親の仕事

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サードアイ ep12 軍法会議

サードアイ ep12 軍法会議

 三次元から魂を運ぶという初任務の完了後、俺はしばらく隔離されて身体中のあちこちを検査された。その結果、異常なしということで、ようやく病棟から出してもらえた。
 どうやら俺のファイアーレッドアイの能力が覚醒したらしい。ブルーノによると、それは予期せぬ早さだったようで、しかも俺の能力は特殊だということだ。
「こんな能力、見たことも聞いたこともありやせんぜ。通常は三次元から帰還するには、行きと同じルー

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