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ウィズ・コロナを想いつつ「誰もいないスタジアム」をめぐる旅〜大宮➢柏➢千葉篇

「誰もいないスタジアム」というアイデアは、どこから生まれてきたのか? そんな疑問を何人かの方からいただいた。今回はまず、その話からスタートすることにしたい。

 今から21年前の1999年の3月24日、NATO軍がユーゴスラビアを空爆したその日、私はロンドンからベオグラードに飛ぶ予定だった。当然、飛行機は欠航。取材を予定していた、ベオグラードでのユーゴ対クロアチアも延期となった。仕方がないので、スコットランド対ボスニア・ヘルツェゴビナに切り替えるべくグラスゴーに飛んだのだが、ボスニア代表が移動の足を奪われたため、こちらも延期となってしまった(当時の私は旧ユーゴ系のサッカーを追いかけていた)。

 スコットランドはホーム2連戦だったが、次のチェコ戦まで1週間も空いていた。その間、ずっとグラスゴーに滞在していても、まったくやることがない。そこで思い立ったのが、試合がないスタジアムを訪れることであった。レンジャーズのアイブロックス・スタジアム、セルティックのセルティック・パーク、アバディーンのピットドリー・スタジアム、キルマーノックのラグビー・パーク、などなど。列車とバスを乗り継いで、あちこちのスタジアムを訪ね歩いた。

 詳細については、拙著『フットボールの犬』に書いたとおりなので、ここでは繰り返さない。今回の「誰もいないスタジアム」をめぐる旅は、21年前の経験が根底にあった。ただし今回の旅が、単なる物見遊山ではないことは強調しておきたい。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中のスポーツの灯火が消えてしまった。その間にスタジアムがどうなっていたのか、写真家のはしくれとして記録に残しておくべきと感じていた。そんなわけで、前回の「町田➢横浜➢川崎」に続き、今回は「大宮➢柏➢千葉」をめぐることとなった。

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 今回の小さな旅も、作家でタクシードライバーの中村慎太郎さんに車を出してもらった。慎太郎さんは、なぜかアルゼンチン代表のユニフォームで登場。なんでも6年前のワールドカップ・ブラジル大会で、無理やりユニフォーム交換をして入手したらしい。11時に新宿駅を出発。

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 そしてもうひとり、ドライブに同行してもらったのがOWL Magazineの期待の星、五十嵐メイさん。ラーメン大好きな鹿島アントラーズサポーターで、私のYou Tubeチャンネルにも出演経験あり。昼食は彼女のチョイスで、大宮駅近くにある『狼煙(のろし)』に来店。濃厚なつけ麺をいただく。

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 最初の目的地は、大宮アルディージャのホームスタジアム、NACK5スタジアムである。これまで何度も訪れたスタジアムだが、中断期間中はどうなっているのだろうか。その前に、いつもは素通りしてしまう、氷川神社に立ち寄ることにした。氷川神社は、埼玉県や東京都にいくつもあるが、ここはその総本山である。

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 境内に入ると「必勝祈願」と書かれた巨大な絵馬を発見。どうやら大宮の選手たちが、シーズン開幕前に奉納したものらしい。ほとんどの選手が「J1昇格」とサイン入りで書き込んでいる中、三門雄大選手は「ケガなく1年間戦い抜く」。その心意気や、よしである。

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 実は今回の小さな旅は、先週末に行われるはずだったのだが、諸事情により1週間の順延となった。来週にはJリーグが再開されるので、この週末が最後のチャンス。幸い天気も快晴だったので、1週間待って正解だった。青空の中、大宮のオレンジ色のエンブレムが映える。

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 階段を登って第2ゲートから撮影。もちろん、誰もいない。大宮の開幕戦はアウェーだったので、今年は1月の高校選手権1・2回戦の会場となって以来、試合は行われていないはずだ。確かに床は多少汚れているが、普段とあまり変わらないNACK5の姿がそこにはあった。

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 スタジアムの周囲を散策。広い駐車場を抜けると、県営大宮球場が見えてきた。これほどサッカー場と野球場が接近している場所は、日本でも珍しいのではないか。ちなみにこの大宮球場、1953年に佐倉一高(現・佐倉高)の長嶋茂雄が、高校時代の公式戦で唯一のホームランを放ったことで知られている。

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 壁の隙間からピッチが見えたので、iPhoneのレンズをギリギリまで押し付けて撮影。想像していた以上に、芝の状況は良好の様子だ。この次にNACK5で試合が行われるのは、7月5日のザスパクサツ群馬戦。リモートマッチでの開催となるが、ここ大宮でもフットボールのある日常が戻ってくるのは、純粋に嬉しい。

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 大宮での取材を終えてから、1時間半をかけて柏に移動。三協フロンテア柏スタジアムに向かう。試合スケジュールの看板は、中断以前の状態のまま。8月23日の鹿島戦が、ACLのスケジュール次第で変更になる可能性があることが明記されている。鹿島サポのメイさんの思いやいかに。

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 思えば今季の開幕は、このスタジアムで迎えた。一見すると、4カ月前とあまり変わっていないように感じられるが、いつもの入り口が閉鎖されている。少し嫌な予感を覚えつつ、周辺を歩き回っているうちに、ようやく開放された門にたどり着く。

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 とりあえず撮影、と思ったら「今日は関係者以外は立ち入り禁止です」と係員に呼び止められる。この日は、近隣の学校のサッカー部のためにピッチが開放されていたのだが、コロナ対策で厳しい入場制限を設けているとのこと。あらためて、現状の厳しさを思い知る。

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 気を取り直して、柏から千葉へ移動。ジェフユナイテッド千葉のホームスタジアム、フクダ電子アリーナを目指す。周知のとおり、千葉県には2つのJクラブがあるが、柏と千葉は思いのほか距離がある。電車で1時間弱。車だと1時間20分はかかる。

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 最後の目的地に到着したのは18時。久々に降り立ったフクアリは、何かが違って見えた。ホームゲームの時のデコレーションやショップがないと、実に無機質な雰囲気に感じられる。そもそもスタジアム自体、無駄を一切排したシンプルなデザインなので、一層そう見えるのかもしれない。

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写真家・ノンフィクションライター。ワールドカップから地域リーグまで、国内外のフットボールを幅広く取材。宇都宮徹壱ウェブマガジン主催。https://www.targma.jp/tetsumaga/

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