コロナ禍とロリコン

 コロナ騒動になるまで、ウィルスとバイキンの区別も知らなかった。
 伝染爆発(パンデミック)と言われて、めちゃくちゃ怯えました。
 なんか変な(と言っては科学者に失礼ですが)ワクチンが開発されるというので、免疫ってなんやねん、あわてて本を買いまくった。

  漫画でわかる免疫学とか分子生物学とかかなり読んだけど、難しくて、わたしには無理、わからない。知識がバラバラでつながりません。

 それでも、進化医学の存在を知ったり、雑学的な知識がたまったり、コロナがなかったら絶対に知的な興味を向けなかった方面が開けました。
 新型コロナ(を作った研究者)に感謝しなくてはならないのかも。


 さて、雑学の中から、ロリコンについて考えてみました。

 何万年かの現生人類の歴史で、ヒトの死亡原因は主に感染症だった。
 人類の平均寿命は、産業革命の前は、四十歳前後だったそうです。
 今では八十歳前後。
 感染症で死ななくなったので、寿命は一挙に倍に伸びた。

 平均寿命が伸びるという意味もコロナ禍になってから初めて知りました。
 四十歳前後の平均寿命は、生まれた子供のうち成人するまでに半数くらいが(主に)感染症で死ぬことによって出て来た数字らしい。
  
 今の八十歳前後の人なら、兄弟姉妹がたくさんいた人の場合、その中の一人か二人は
「赤ん坊のとき」
「子供のとき」
「大人になる前」
に亡くなったという人がいるのではないでしょうか?

 一方、今の、四十歳以下の人となると、二人か三人の兄弟姉妹のうち、大人になるまでに誰かが病気(結核や胃腸炎や麻疹やインフルエンザなど)で亡くなったという人はめったにいないと思う。

 わたしは、二十世紀半ばくらいから、ヒトの歴史は、それまでの歴史と断絶したのではないかと思う。
 それまでの歴史では、ヒトは生き延びて子孫を残すということを考えて生きていたと思う。
 考えてといっても無意識だけど。
 とにかく生き延びることだけを考えている、そういう動物だった。
 だからこそ、どういう女性の身体が男性にとって魅力的であるかは、古今東西、文化を超えて、平均的な数値として打ち出せる。
 たとえば、女性の乳房がどうしてあの形が、一番アトラクティブなのか、考えてみれば不思議。
 今流行りの多様性に反している。
 平板でも臍まで垂れ下がっていても、巨大でも極小でも、みんな違ってみんないい、それぞれ魅力的であっていいはずなのに、ある一定の形と大きさが、男女問わず、圧倒的に「美しい」とされて、支持されている。多数派がマイノリティの痛みを無視している。

 この理不尽な状況は、けれども、進化論的に考えると単純化できる。
 男性にとって魅力的な女性とは、性的な魅力があることで、性的な魅力とは元気な赤ん坊をたくさん産む身体をしているということ。

 さて、次に、無理やりな展開だが、「では、ロリコンとはなんなのだろうか?」。

 あまりに無理やりなので、少し前に戻ると、元気な子供を産む女性を求めるなら、やはり満で十六歳くらい以上の女性が魅力的に見えなければならないようだ。
 それ以下だと、妊娠はするだろうが、まだ成長段階の母体も痛めるし、何より、生まれてくる子供が死産になったり、ひ弱だったりする。それでなくとも感染症で半分は死んでしまうのに、そんな環境にわざわざひ弱な子供をこの世に呼び出すのは不合理だ。

 もう一つ、ヒトの性で不思議なことがある。
 特に男性の場合、生殖可能となり、そして、生涯で最も性欲の強い十代では、その相手として同じ十代の女性にセックスを求めると拒まれることが多い。
 どうも、十代の女性は性欲に動かされることはないようだし、また、セックスの相手となる男性には、むしろ、性欲を統御できる相手を求めているようだ。
 こういうことは、女性としてはすべて無意識なのだろうが、結果的に、セックスを相手の女性のためなら我慢できる男性が、その女性のセックスの相手として選ばれることになる。

 これは、ヒトがチンパンジーやボノボとちがって乱交をしないからだろう。
 ヒトは乱交しない。
 ひとりの男性とひとりの女性から成る一対一のペアボンドを作るサルなのだ。
 ゴリラのような一夫多妻でもない。
 一妻多夫でもない。
 例外はいくらでも見つかるだろうが、平均値ではない。
 ヒトは、平均すれば女性のほうが男性より脂肪率が高いのと同じように、性の生態の平均的な事実としては、男ひとり女ひとりが互いに精神的なつながりをつくったときに、セックスをする。

 こうなると、早くても十代後半、つまり早くてももう十代は終わろうとするときになってから、子作りをして家庭を持つということになるだろう。
 それまでは、許嫁(いいなずけ)、或いは、恋仲などといった形で待たされる。
 十代後半になっていないのに、なんの躊躇もなくセックスに耽る男女は、進化論的に言うと、バカップルである。
 そういうカップルからできた子供は淘汰される割合が高くなるのではないかと思う。「だから、中学生や高校生同士のセックスは禁止だ!」とはわたしは言ってないので、優生思想みたいだとかいう非難はやめてね。したい人たちはどんどんしてください。子供もいっぱい作ってね。


 こう考えて来ると、ロリコンはヘンタイである。

 ヘンタイの理由は、二つ。
①健康な子供を産むにはまだ未成熟な身体を持つ女性である
②性的な伴侶を選び、精神的なつながりを持つには幼すぎる心を持つ女性である

 ヒトは生き残りをかけて自然淘汰をかいくぐってきているはずだから、①②の女性に対してはあまり魅力を感じないように、平均的な男性の脳はできているはずだ。
 これは、おばあさんに性欲を感じる男性があまりいないのと同じだ。

 あまりいない。
 男性にはヘンタイがいるので、全然いないことはない。

 男性にヘンタイがいるのは、そもそも男性の性欲がヘンタイ的だからという話は前に何回もしました。しつこく繰り返すと、こうです。

 性の快感を身体ではなく、頭の中の空想世界で、女性の身体的快感を見たり聞いたりしながら、バーチャルに体験することで、「あー、気持ちよかった」と思うように、男性の身体ができているからだ。
 3Dのゴーグルつけて映画を観ている人みたい。
 第三者の視点から見ると、ちょっと笑えて、少し哀しい。

 ということで、ロリコンは、おそらく、
①美少年などとして体現されるような、「中性的な魅力」とも呼ばれるような、あからさまに動物的な匂いを放たない、清潔でほのかな花の香りのように抽象された女性美を見たい人だろう。(美少年は女性である、ということは前に記事で書きました)
 また、
②女性の身体から人格その他の夾雑物を取り去って、その純化された女性の身体を頼りに、純粋な母なる生命の中に自分の身体ごと戻っていきたい人なのだろう。

 

 わたしたち男性が女性を求めてやまないのは、わたしたちがそこから生まれて来た生命の根源に戻り、同時に、老死を超えて、永遠に生命が輝く世界に辿り着きたいと願っているからだ。

 男性は、故郷として女性の身体を求め、また、来世の天国としての女性の身体を求めている。

 女性にとって腹立たしいのは、「女性の身体」という言葉は、「女性」と入れ替えても、男性の側としては、まったく意味が変わらないことだ。

 ロリコンが求める「女性の身体」は、美と生命の純粋なエッセンスとしての肉体だろうと思う。
 現実には、そんな肉体を持った女性はこの世にはいない。物理的、生理的に不可能だ。

 女性に限らず、この世にないものを求めだしたら、つまり頭の中の理想を現実の世界に求めだしたら暴走が始まる。そして、その人を説得して立ち止まらせることは誰にもできないだろう。

 だから、ロリコン(の男性)は、ストーカー(の男性もしくは女性)と同じくらい、危険である。
 

 


 

 

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