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文豪の生活を描いた「めぞん文豪」を読んで悶々。

「太宰治・石川啄木・川端康成らが現代を生きていたら…」を妄想して描いたヤングキングコミックス連載の漫画「めぞん文豪」。文豪たちが一つ屋根の下で共同生活をしながら、SNSを駆使してtweetしたり、クラウドファンディングしたり…。現代を生きていく姿が見られるなんて、なんて面白そう!と期待して購入したが、正直期待外れであった。

なにせ主人公の太宰がイメージと違って、泣き虫の愛らしいピュアキャラで描かれている。

太宰の言葉を引用して、「恥の多い生涯を送ってきました」で始まる漫画だが、私が思う「あの太宰独特の感じ」が全く垣間見られない。あの、哀愁や悲壮感漂う、不幸に酔いしれて世間を斜めから見ていて、それでいてなんだか放っておけなく、惹かれてしまうモテ男(※私個人の粗いイメージです)としての太宰がない・・・。

他の文豪、石川啄木も川端康成もなんだかしっくり来ない。坂口安吾ももっと堕落感を出して欲しい。武者小路実篤なんて、なんか中性的な柔らかいお姉さんキャラ。ストーリーも淡々としていて、なんなのか。文豪たちにキュンキュンする手のものなのか。アニメ好き読者に「ウケる」ようなキャラ設定であり、文豪の持つ独特な感じに欠ける。なんなのか。悶々とする。大衆に迎合せずに、もう少し一人一人、癖のある文豪らしさをどっぷりと描いていただきたかった。

「文豪豆知識」を書いてあるし、文学に少しでも興味を持ってもらうための漫画なのだろうけれど、もう少し「クセ」が欲しいので星二つ。

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