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電界怪異図鑑:【口壁】

【口壁】

学名:Murusoris fauces
式神:定点守護者型
恐怖レベル:★★★★★★

「口壁」は、陰陽道の全盛期に多くの術者が利用していた式神の一種で、防犯のための扉として使われていました。
この式神の最も特徴的な能力は、最初に一つ食べ物を食べさせることで、それがとなり、口の奥の独立した異空間に入れるようになることです。この特性を利用して、術者は多くの道具や重要な品を隠すことができました。
口以外のアクセス方法はなく、独自の分量で作った料理を鍵にしてしまえばまず破られないため、旧家や古い銀行などで未だに金庫として使われていることもあるようです。

しかし、口壁には大きなリスクが伴います。
鍵ではない食べ物を与えてしまうと、その式神は急に獰猛となり、間違えた者を喰い殺してしまうのです。これは古来では優秀な防犯機能でしたが、現代では正当防衛以上の反撃とされるため、新たに口壁を式神化することが禁じられています。

恐ろしい見た目は防犯に役立っていた

ただ、一部の地域で野生化した古い口壁が発見されることも。
これらの個体は非常に危険で、一度現れると近隣住民に大きな恐怖を与えます。鍵となる食べ物も分からないことが多いので、興味本位で食べ物を与えてはいけません。
そういった場合、地域の霊能者や祓い人に駆除を依頼しましょう。彼らがいない場合、国の怪異対策室に連絡を取ることが推奨されています。

もっとも、その口の奥には貴重で高価な品物が隠されていることが多いため、未だに野生の口壁の解錠を試みる人々が後を絶たちません。トレジャーハントと称して遊び感覚で行っている場合も多いようです。
しかし、安易な考えで怪異に接することは、非常に無謀な行為であることは言うまでもないでしょう。
毎年、数人程度の割合で犠牲者は出続けています。

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