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電界怪異図鑑:【ヒップホップ地蔵】

【ヒップホップ地蔵】

学名:Buddhistica hiphippica
怪異:石像科 動く石像属
恐怖レベル:☆

ヒップホップ地蔵は、かつては厳かな御神体として人々に親しまれていた大仏でした。彼は元々は町の中心部に鎮座しており、訪れる人々の心の平安や安寧を願っていたと言います。

大仏時代には、彼の周りには多くの献灯やお供えが絶えず、多くの人々が彼の前で手を合わせて祈りを捧げていたそうです。特に夏のお盆の時期には、舞踊や音楽で賑わい、それを見た仏像は微かに微笑んでいたと伝わっています。
このことから、この頃には既にが宿っていたのでしょう。

かつての祭りの様子
寺院の資料館にある再現模型

しかし、時代の流れと共に大仏は寺院に移され、人との交流が減っていきます。さらに時が進むと、若い世代が寺院を訪れることが少なくなり、彼の存在も少しずつ忘れ去られていきました。

それを悲しんでいた彼に、あるとき転機が訪れます。
建物の修繕に来ていた大工の若い弟子が、休憩中にヒップホップの動画を見始めたのです。
そして、それを横目にした途端、石造りの身体に電撃が駆け巡りました。独特のテンポとダンス、イカしたファッション、そしてラップの自由な歌詞。そのすべてに魂が共鳴し、遂に動かずにはいられなくなったそうです。(本人談)

そうして、仏像は現代の流行や文化に合わせて、自らをヒップホップ風に変えることを決意。スタイルを見直し、歌やダンスを覚え、「ヒップホップ地蔵」として再生を遂げたのです。

この変貌には驚きの声もあがりましたが、彼の新しいスタイルは若い世代を中心に大変な人気を集め、再び多くの人々が彼の元を訪れるようになりました。現代に生きる彼は、古来の伝統と現代の文化を繋ぐ架け橋として、多くの人々に愛され続けています。

彼のストリートな雰囲気と、その背後に隠された深い歴史と伝統、そして人々への深い愛情は、これからも訪れる人々を魅了し続けるでしょう。

現在の祭りの様子
みんなでヒップホップを踊る

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