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電界怪異図鑑:【足切りおじさん】

【足切りおじさん】

学名:Sectus Pedes Superioris
怪異:ナリカワリ科 ヒトモドキ属
恐怖レベル:★★★★★

足切りおじさんは、リストラや降格の危機に直面している社員に成り代わることで知られる恐ろしい怪異です。
彼が成り代わると、外見はほとんど変わらず、普段の仕事も普通にこなしますが、一つだけ特異な特徴があります。それは、彼に対してリストラや降格の通告をすると、顔が悲しみの表情に変わり「足切りですか?」と静かに尋ねてきます。この問いかけに「そうだ」と答えると、彼は明るい笑顔を浮かべて斧を取り出し、「じゃあありがたく」と言葉を残し、その上司の足を切り落としてしまうのです。

足切りおじさんの正体や由来は不明ですが、都市型怪異の研究家たちの間では、かつてクビにされて後に自らの命を絶った社員の怨念が生み出したものだと言われています。
ただ、怨霊そのものというわけではなく、怨念に当てられた怪異が性質変化を起こしたものとのこと。

現在でも、日本の都市部やビジネス街で彼の目撃情報が報告されており、特に経済が厳しい時期や大きな企業のリストラ時に活動が活発になると言われています。
丁寧に理由を説明した場合、足切りおじさんはつまらなそうに消えてしまったという事例もあるので、シビアな話をする場合は不遜な態度を取りすぎないように気をつけましょう。

バブルが弾けた時は特に活発だった

ちなみに、入れ替わられている社員は、多くの場合通勤中に強い眠気に襲われ、足切りおじさんが会社を出るまで眠り続けます。そのまま病院に搬送されることも少なくないですが、不思議なことに病院から会社への連絡は絶対に繋がりません。

また、彼の成り代わる対象は主に中高年の男性ですが、女性の社会進出が進む昨今、同じ性質をもつ「足切りおばさん」の存在も確認されています。数ある怪異の中でも、かなり時代の風潮に敏感な種と言えるでしょう。

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