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全国300以上の地域を見てわかった、あなたの町のふるさと納税がうまくいかないたった1つの理由

どうも、本保です。新潟、寒いわ!

さて。ふるさと納税に携わるようになり、前職から数えて早5年。近年は、プラットフォームから地域の現場へとポジションを移行しましたが、全国の自治体と関わったり、地域の現場で一緒に業務をしていて、ふるさと納税がうまく回っている地域とそうでない地域を見てきました。

これまで、多くの自治体で同じような過ちをおかしているケースがありすぎて、さすがにもったいない!!!!!!!と思い、書き記そうと思いました。

よく「成功する理由はよくわからなくても、失敗する理由はよくわかる」と言うように、成功というのは運などもあります。しかし失敗というのは必ずパターンがあるということです。
そこで、これまでの経験や全国の自治体のケースを見て、「あなたの町のふるさと納税がうまくいかない理由」を書きたいと思います。

逆に、これをしなければ地域で有効的にふるさと納税を活用できると思っているので、ふるさと納税をまちづくりのために役立てたい方はお読みください。

このテーマは、以下に関係する人が読むことをおすすめします
・行政トップ、職員
・ふるさと納税の委託業務をしている中間事業者
・地方議会議員
・返礼品提供事業者
・その他、地域のまちづくりに関係する人 …等々


ふるさと納税がうまくいくかいかないかは9割「〇〇」で決まる

先に結論を申し上げますと、ふるさと納税がうまくいくかいかないかは9割は「運営体制」で決まります。もうホントここの設計を間違えたら沼。
全国の数ある自治体さんでいくつかは共通して言えることがあるので、ぜひご自身の自治体と客観的に比較しながら読み進めていただければと思います。

また、ここでいう「失敗」の定義を先に説明すると、以下が該当します。
下記の要点がクリアしてれば、ふるさと納税を地域に有効的に使えていると思います。

  • 寄付額が伸び悩む、頭打ちになる、落ち込む(大幅な増加が見られない)

  • 事業者や地域全体が育たない、育っている感覚がない

  • 税収以外のプラスの波及効果がない

それでは自分が今まで全国の自治体を見て来た中で、うまくいかない理由を列挙した上で、各項目について具体的な説明をします。

もちろん、中には例外もありますが、傾向から「割合としてこういうケースが多いよね」とまとめてますので、予めご了承ください。

こんな地域はうまくいかない失敗例
・組織の偉い人と現場の意識の乖離
・実務担当者の疲弊
・委託業者を選定する上での過ち
・事業者、生産者との信頼関係の希薄さ
・手段の目的化による本末転倒
・お客様を疎かにした組織内部への忖度
提言
・ふるさと納税こそ、よそ者・若者・馬鹿者を活かすチャンス

組織の偉い人と現場の意識の乖離

よくふるさと納税業務を担当している職員さんからは、「ウチのトップ(首長もしくは部長・課長級の意思決定者を指す)は〇〇な意向で~…」と言っているケースをよく耳にします。その傾向とは、一言で言うと

なるべくお金をかけずに寄付を集める

ということです。具体的には

  • 業者に委託に出さずに全て自治体職員で業務を完結させる

  • 人を増やさずに職員が自力で頑張って寄付を集める

  • 広告予算などはなるべく抑えて、できるだけ税金を自治体に残す

ということです。せっかく集めた税収なので、なるべく自治体の中に税金を残し、1円でも自治体の事業に活用する。ということです。気持ちはわかります。
では、なぜこれが上手くいかないか。ほかの理由にも紐づいてきます。

まず、この考え方はふるさと納税の実務を理解していない人の考え方です。ふるさと納税の業務というのはめちゃくちゃ広範になるため、寄付額規模によりますが、実務担当者が1~2人だとしんどいです。さらに、実務担当者の職員は兼務をしています。
ここに、トップの意思決定者と現場の実務者のふるさと納税に対しての理解度の齟齬が生まれます。

実務担当者の疲弊

そして、トップがふるさと納税に対して理解がある・ないにしろ、ふるさと納税の寄付の伸びは実務担当者ほぼ確定します。

まず、ふるさと納税業務が好きな人は、「自分の地域の商品を全国に発信できて、地域の事業者に喜ばれることが好き」とか「頑張ればがんばるほど実績が見える」などの、バイヤー的感覚であったり、アクションに対して定量的な数字ででることに喜びを感じられる人が向いている傾向があります。(全国を見た感じの僕の判断です)

また、ふるさと納税はマーケティング力が求められるスキルです。今までの行政サービスとは異質なものを、先に言ったふるさと納税自体をよくわかっていないトップから寄付集めろと指示を受けるという酷なことを求められます。

また、自治体職員の場合は約3年ほどで異動があります。前任者がものすごく頑張っていた中で、後任の方がふるさと納税をニガテだったりするとコレもかなり酷です…
重ねて言いますが、ふるさと納税は異質な行政サービスです。

そして、重ねて言いますが、基本的に行政職員はふるさと納税業務以外も兼務しているケースが多いです。

なので、かなりの業務量をもっており、結果的に回らずに疲弊してしまうということも散見されます。

トップがふるさと納税を集める上で必要なスキル・ノウハウを理解していない中で、トップ主導でふるさと納税頑張れと現場に言われる

過度な期待がかかった中で行政内で業務を完結しようと頑張る

業務が膨大になり現場担当者が忙殺される

いちばん大事なマーケティングを考えられず、オペレーションに徹する

寄付が伸びない

というデフレスパイラルに陥ります。

委託業者を選定する上で誤ち

それだけ職員が業務過多になると、業務を円滑に回すためにふるさと納税の業務を委託しているケースが多いです。一例として、下記のような団体・企業に委託をしています。

  • 首都圏の大手民間企業

  • 地元三セク(観光協会・商工会・道の駅) 等

  • 地元ローカルベンチャー(いわゆる地域商社的な)

ここでよくある間違いを犯します。ケースごとに説明します。

①委託業者を下請けだと勘違いするケース
仕事の発注が行政→民間になるので、行政が偉いと思ってしまうケースです。自治体がどのようなことをすれば寄付が伸びるかを自分たちで考えて、手が回らない部分を委託先に指示して業務遂行するならわかるのですが、仕事を発注しているから行政が上だと勘違いしているケースがあります。

大事なのは、委託先の業者は下請けではなくて「パートナー」として考えなければなりません。

なので委託先を選ぶ際は、「この企業(団体)は本当にウチのためにコミットしてくれるパートナーなのか?」ということを考える必要があります。あなたのまちのことをどこまで考えているかは言葉と行動でわかりますが、委託した後にミスったと思っても遅いのです。同じところに委託している自治体からその会社の評価を先に聞いてください。

②委託料金だけで選定するケース
これもよくあるケースです。なんでも安いところに仕事を発注すれば経費がかからないから良いとか思っているコスパ主義の自治体もあります。そうすると金額に見合うだけの仕事しかしませんし、結局たいした企画も出ないので逆にお金のムダです。委託先は金額だけでなく、総合的に判断する必要があります。

③マーケティングノウハウがないところに委託するケース
行政は企業規模が大きな会社や地元団体などのほうが安心して委託を出せるので、そういったところに委託するケースが多いです。しかし、ふるさと納税の委託実績があるからと言っても、内状はただオペレーション業務をやっているだけのところなどもたくさんあります。大事なのはマーケティング部分なのですが、そこの大事さがわからずに手数として委託してしまうところも多くありません。

事業者、生産者との信頼関係の希薄さ

前職でもよく相談されていただんですが、返礼品を提供している事業者・生産者さんとの信頼関係が構築できていない課題です。よく自治体からは「もっと事業者にやる気を出してほしいんですよね…」とか「事業者がなかなか返礼品を提案してこなくて…」とか相談されるんですが、ぶっちゃけ何を偉そうなことを言っているのかと。そういう地域は事業者との信頼関係が構築されていないので、返礼品事業者にとってふるさと納税に係わることの優先度が低いだけです。テイクばかり考えてギブを考えられてないケースです。
ではなぜ信頼関係が構築できていないか、これもいくつか要因があります。

①返礼品を出してもらうことを「お願い」している

最初にふるさと納税の出品をしてもらう際に、「ウチでふるさと納税を出してくれませんか?」とお願いするケースです。こういう言い方をすると事業者としては、「役場に協力して出してやるか」という上下関係が生まれます。事業者は返礼品を「役場のために”だしてやってる”」という感覚になります。お願いではなく、出したくなるベネフィットを伝えることです。

ふるさと納税の事業者には、「ふるさと納税を活用するとこういう事業展開に繋がるよ。やりたい?やりたくない?」と、最終の意思決定を事業者にさせなければいけません。ふるさと納税に参画するもしないも事業者自身が意思決定することが大事です。

そのためには、事業者の現状課題を聞き出すをヒアリングやそれに合わせて適切な提案ができたり、いわば「営業力」が必要です。またそのための深い制度理解や知識も必要となります。
そこを怠りふるさと納税に出品してもらう自分の頼み事ばかりに集中してしまうと関係性が崩れてしまいます。

②ふるさと納税の市場状況や寄付実績の報告を事業者向けにしていない

そして、ふるさと納税を出品してもらっている事業者へのフォローが無い地域も多いです。
事業者・生産者さんにふるさと納税を出してもらっているおかげで地域にお金が集まっているのに、その実績の報告をしていない地域は、いわゆる事業者、生産者をふるさと納税で寄付集めするための道具だと思っているようなもんでしょう。

ふるさと納税の市場や制度の理解は、ほとんどの事業者が理解されてないので、寄付実績の報告と合わせた定期的な勉強会の開催をすることが本来望ましいです。しかし先程の通り、自治体職員が忙しいと会の開催ができなかったり、委託業者に丸投げしてるとそのような会を開く業者でない限りは開催されません。

そうなると事業者は「勝手に注文が来て、商品発送してればいいや」となり、勝手に自治体からお金が入ってくる美味しい仕事みたいになります。

事業者には「自分の出している商品が自分の町の活性化に繋がっている」というまちづくりへの連帯意識を持ってもらうことや、「ふるさと納税を自社の事業の一つ」として活用してもらう意識を育てることです。これはいわゆる産直ECや自社ECではなかなか育まれないことであり、ふるさと納税がまちへの税金であるという特徴です。

③中間の委託業者に丸投げしている

ふるさと納税は自治体が寄付を受けて、自治体が感謝のお礼として返礼品を送っています。なので、基本は自治体が主体となります。

しかし、自治体によっては中間の委託業者に業務を委託しているケースがあります。委託をする上で、その中間業者が自治体の代わりにちゃんと地域の事業者・生産者とコミュニケーションできる業者であれば良いと思います。

しかし、市内もしくは県内に営業所がなかったり、足繁く通える業者でない限り、事業者との関係性の構築は難しいです。都会みたいにzoomで話したりとかではなく、現地にいって膝を突き合わせて話すことに価値があるのです。

この点については、大手民間企業の委託業者は不利と言えます。なぜならわざわざ小さな地域に営業所を構えて人を雇用して、などはコストがかかりすぎるからです。そんなことしなくてもチャリンチャリンとお金は入ってきますので。

手段の目的化による本末転倒

これは世の中でよくある「手段の目的化」というやつです。大きくは2つあって、それが両方同時に起きているというのがふるさと納税の現状かと思っています。

  • 既存オペレーションに合わせて最適な運用を構築する
    →本来の目的は「寄付を最大化するために、最適なオペレーションを設計し、運用する」なのに、既存のオペレーションに囚われ、変えるべきことを変えられなくなってしまっている。まさに運用体制のこと。

  • 寄付を集めることが目的化し、集めた寄付をどう使うかは考えていない
    →本来は「集めた寄付をまちづくりの〇〇に投資する」といういわば地域への投資としてお金を集める(クラウドファンディングのようなもの)なのに、「〇〇億円集める!」みたいに寄付額だけが目的となっている。これはメディアが金額ばかりしか追わないからというのもあると考えている。そのほうがメディアはPV稼げますから。

お客様を疎かにした組織内部への忖度

行政内部ではトップの意向や、議員からのご意見、地域内の謎の力関係などが働き、地域内部や組織内部に忖度しているケースが多いです。
日本社会全体に溢れる忖度は、第二次世界大戦の敗戦状況や今の中央政府を見れば日本人の組織におけるDNAに組み込まれた生物学的なものではないかと思います。

ましてや地方ほど忖度しなければなりません。なぜなら人口が少なく、人と人との人間関係の距離感も近いためその分関係性を重視しなければならず、変な波風を起こさないようにしなければなりません。
また、昔からある既存団体などとの癒着にも似たものに仕事を通さないといけないとか、そういうことがよくあります。誰のお陰で飯くえてるんだ的な。

ふるさと納税において本来お客様としてみるべきなのは、「地域住民と寄付者」

行政のお客様のひとりは地域住民です。ふるさと納税は、如何に外部からの資金調達をして、そのお金を地域に再投資して住民のより良い暮らしを作るかです。その地域住民には、もちろん返礼品提供事業者も含まれます。
そして、ふるさと納税は返礼品による地場産業の活性化の側面が大きくあります。

また、日本の企業の99.7%は中小企業です。そしてその多くが地方にあり、ふるさと納税はその零細・中小企業をエンパワーすることができます。

一方で、下記の大手ビール工場や大手メーカーを出している自治体もあります。記事のように大手企業というのは、企業の戦略上でコスト削減やスリム化、撤退の判断等でその地域からいなくなるケースがあります。
大手メーカーは世の中に名も通っており、誰もが知っていて間違いない商品であり寄付を容易に集めやすいですが、撤退リスクもあり、かつその企業に依存してしまうリスクがあります。

ここから何が言いたいかというと、その地域の文化・食・観光など、古くからある地場の事業者を育てていくことが大事だということです。
単なる目の前の寄付厚めではなく、中長期的に地場の経済活性に繋がるのか?をよく考える必要があります。

また、寄付をしてくれる寄付者のことももちろんお客様です。いかに寄付をしていただけるか、リピートしたくなるか、そのためにどのようなことをすればよいのか、全国1788ある自治体のなかでどうやって自分たちの地域を応援してもらうか。いわゆるマーケティングです。
地域内や組織内の調整や忖度をしている組織ほど、この視点が抜けており結果的に、寄付者に最適な価値提供をできなくなります。

【提言】ふるさと納税こそ、よそ者・若者・馬鹿者を活かすチャンス

うまくいかない失敗例を多々あげましたが、それを解決できる策としては「ふるさと納税業務はよそ者・若者・馬鹿者に任せよ」です。

全国の自治体を見るとうまく行っている地域は

地域への愛があり泥臭くて頭より体を使っていて事業者・生産者に信頼されていて人を巻き込んで動く人

こういう人がふるさと納税の担当職員だったり、委託業者にまかせています。そこに対して年齢や性別はあんまり関係ないです。
正直、毎日定時までデスクに座ってるのが仕事だと考えているような人では務まらない仕事だなと思います。

よく「地域に必要なのはよそ者・若者・馬鹿者だ!」とかって言ったりしますけど、この3種類の人間が与えてくれるのは「新しい価値観」だと思います。

この人たちが持っている地元の人とは違う視点・考え方が、ふるさと納税というフィールドだと返礼品という商材に変化し、地域の税収や事業者・生産者への売上に繋がって直接的にまちにプラスになります。

実例を出すと、新潟県三条市のふるさと納税の取組はおもしろいですし、現にうまく行っていると思います。ここはふるさと納税のCMOを民間人材から募集しました。ポジションを用意したからといって必ずしもうまくわけではないですが、寄付も伸びてますし、寄付以外の地域への影響も大きく与えています。

なので、なんかふるさと納税で上手く税収も上がらないし頭打ち感がある自治体は、思いっきり運用体制をその人たちに任せてみるのが良いと思います。

ふるさと納税は地域の宝の発掘

最後に。僕が思うにふるさと納税というのは地域の宝探しみたいなものだと思ってます。
よくふるさと納税の仕事をしていると、「こんな事業者さんがうちのまちにいたのか!」とか「こんなんがうちのまちにあるなんて知らなかった!」という発見をします。

ふるさと納税は全国の寄付者や、地域住民に新しい気づきを提供してくれます。おそらく、今まで知ることもなかったまちをふるさと納税で知った人は少なくないでしょう。

灯台下暗しと言いますが、自分のまちほど自分ではよくわかってないこともあります。僕も新潟に戻ってきて「新潟ってなかなかええとこやん!」ってなりました。

だからこそ、ふるさと納税を仕事で関わる人には、地域の宝をどれだけ見つけられるかが大事だと思います。そういう人にふるさと納税を任せると、その地域はとてもよく回り出すと思います。

ふるさと納税があなたのまちの活力になることを願ってます。


ふるさと納税のことで相談があればお気軽にご連絡ください。
あなたのまちのふるさと納税のお力になります!

<問い合わせ先>
honbo@reterras.co.jp

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