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『破戒』

青空文庫で島崎藤村『破戒』読みました。

自分が穢多の出身であることを隠しながら、中学校教員として働いている主人公丑松(うしまつ)。

若いときは気にしていなかったのに、社会に出ると差別とまじまじ対峙することになったりして、自分のアイデンティティーに苦しみます。

周りの人が自分を好きでいてくれるのは、自分が穢多であることを知らないから。

知っても好きでいてくれるのか、わからない。

隠したまま生きることが丑松は次第につらくなります。

恋をしても、こんな自分では恋ができないとも思うのです。

父は、マイノリティーであることを「隠し続けろ」という「戒め」を丑松に遺言してこの世を去りました。

しかし、堂々とマイノリティーを生きて、差別されても胸を張って生きる人とも出会います。

ついに丑松父の戒めを破り、自分が穢多であることを告白するのです。

生徒たちの前で、自分が穢多であることを打ち明け、土下座するシーンでは涙が止まりませんでした。

自分を受け入れることは苦しくもあり、清々しくもありますね。

たとえすべてを失わなくてはならなかったとしても、自分が自分であること、自分がありのままを生きることなしには、本当の人生の自由はないのかもしれません。

この本に出会えて良かったです。

この本を読んだことは人生の宝になりました。

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