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1.『レゾンデートル』

知念実祈人先生のデビュー作『レゾンデートル』読みました📚

『レゾンデートル』とはフランスの哲学用語で、「存在理由」という意味だそうです。

それも、周囲が認める存在価値ではなく、自分自身が考える存在意義のことを言うそうです。

この本を読んだ率直な感想は、「好き嫌いが分かれそうだな」ということでした。

それは、主人公をどう解釈するかという問題です。

自分の保身のために人を殺し、その後も結局は自分の存在意義のために行動する主人公を、「終始自分勝手だ」と解釈する人もいるでしょう。

一方で、これは主人公の「改心の問題」だと考える人もいるでしょう。

人という存在が結局のところ罪深い存在なのだとしたら、罪を悔い改めて多くの幸福のために方向転換した主人公の生き方は、人間の命の輝きを描いているような気がします。

なにはともあれ、主人公は命が落ちる間際にあって、自分の命の使い方を決定し、そのために力を振り絞って生きたのです。

それはだれか他者が、何と文句をつけることもできない、彼が考える自分自身の存在意義のあり方だったのでした。

なんのために命を使うか。

それは私たち人間が生涯をかけて考える重要な問題なのです。

自分自身の生き方はどうだろうかと、はっとさせられる小説でした。

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