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撮影こぼれ話。(相利共生、ビバ羊。中編)

このノートは「撮影こぼれ話。(相利共生、ビバ羊。前編)」のつづきです。

⚫家畜と人間
⚫ある社長との出会い
⚫息苦しい撮影
⚫誇り

家畜と人間

私は人間と家畜の関係性について考えた。羊と人間の繋がりは羊毛だと思い、ウール生地が出来上がるまでの映像を作ることにした。

そして、人間が家畜を利用しているだけでなく、楽にエサがもらえたり毛を整えてくれる人間を利用している家畜の賢さを表現したいと思った。
タイトルは「Mutualism(相利共生)」と「Rhythm(リズム)」を掛け合わせた「Mutuarhythm」とした。

しかし、簡単に撮影はさせてもらえません。
私は昔、繊維業界で貿易事務をしていた。
布そのものが作品になることもあり、完成前に情報を流出させてはいけない守秘義務があるのはわかっていた。知らない人間からの依頼なんて受けるはずがない。

ある社長との出会い

困った。。。ダメ元で友人に相談すると、ウールではないが綿ニットの会社の社長とお友達だから、何かわかるかも?と紹介していただいた。社長は物凄く親身に話を聞いてくださり、協力してくれた。

生地が出来上がるまでの工程、それぞれ違う会社が行っているなど丁寧に教えてくれた。

すぐに4社とアポを取り、撮影の日時まで全て手配してくれたのだ。ありがたすぎる。。。
撮影が終了した今でも、シャトーブリアンを食べる会に毎回誘っていただいている。。。

息苦しい撮影

工程順ではないが、最初は染色会社へ。

数十分に一回だけ釜から糸が上がる瞬間を撮影しなければならなかった。仕事の手を止めてしまっている。。もう緊張感が凄かった。熱気、湿度が半端なかった。
工場全てを見学させてもらい、説明も丁寧だった。

↑茶久染色株式会社様

日にちを変え、次は整理加工の会社へ。

ウール生地は整理加工をしないとコワゴワで着ることが出来ません。ほとんどの生地がここで加工され、洋服となる。

↑三星染整株式会社様

敷地が凄く広い。。。工場を案内され、最後に通されたところが小さな博物館みたいになっていて、昔の機械などが沢山展示されていた。
奥には両サイドにびっしりと羊の写真パネルが!

↑写真はほんの一部

羊は3000種類くらいいますよ、と言われた。羊凄い。

最後に見せてくれた羊。
えっ?ダンサー?と思わず言ったら「それはメリノです」と答えが来ました。(震)

このあと、織りの会社へ。心地よい自動織機の音が鳴り響く。

↑中外国島株式会社様

沢山の機械をオペレーションされていた。
ウールの服も販売されていて、工場内でデザイナーらしき人もいた。

受付の羊が可愛い。

また別日に、海津の紡績工場へ。洗浄された羊毛を糸にする会社。これだけ工程があるのにこの会社よりさらに前工程の会社があるとは。。。ウール生地が化繊より高いのは納得。
 広大な工場の敷地はまるで異国のようだった。

細かい糸が舞っているのだろうか、息苦しい。匂いも湿度も高く、仕事してないのにキツイ。それでも貴重な撮影をさせてもらえるので必死にカメラを回した。

↑ナイガイテキスタイル様

誇り

4社の撮影が無事終わった。全社共通しているのは事業内容に誇りを持っていたこと。
昔からの技術を継承し、次の世代に繋いでいく。
尾州のウールをテーマとした本も出版されるほど。
工場内でモデルさんの撮影をした写真が物凄く素敵だった。(「糸がつむぐお話」 出版モリリン)
そして、どの会社も人材不足であった。

次は羊をクローズアップするため、真夏に中津川の牧場へ。ふれあい牧場なら羊に触れる~!
一番高いところに行って、羊が放牧されている所を撮影するぞー。

ところが。

中央に嫌な影。

拭いても取れない。

嗚呼、レンズの中央に

ホコリが。

万能なズームレンズは遠くからでも羊が撮れるのに。。。カメラはもう一台あるけど15ミリの単焦点しかない。そんなに羊に寄れるのか。困った。中津川遠い。
どうする。

(原因は大量にホコリが舞う紡績工場でズームを使ってしまったからと思われる。オバカ)

つづく

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