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いただきます。【鬼一口】

好きだった子の葬式に来た。
飛び降り自殺らしい。

棺の中の彼女は変わらずに綺麗だった。

これが最後で、もう会えなくなるのかと思ったらなんだか無性に彼女の顔を食べたくなった。

僕は自分の頭を棺に突っ込んだ。
彼女の鼻に歯を立ててから思いっきり、力の限り思いっきり顎に力を入れて噛みちぎった。

会場が騒然とした。彼女の親と兄弟が凄い形相で走って来てる。

僕は両手で彼女の髪の毛も引きちぎって口に入れて嗚咽しながら飲み込んだ。髪の毛は消化されないから、これで彼女は僕の中で有り続けると思ったんだ。

好きだった子は生臭い鉄の味がした。

母親は、泣きながら返してと叫んでいた。

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