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島留学弁当(2022/3/4)

【お品書き】

【上段左】
天ぷら 蕗の薹とじゃがいもかき揚げ
イカのはさみ揚げ
さつまいも

【上段右】
だし巻き玉子
薄葉剥味噌漬け焼き
鯖みかん照り焼き
ネギと若芽のぬた
めかぶとイカのおろし和え
鮃と鰆の博多
切り干し大根煮
カリフラワー甘酢

【下段左】
袱紗寿司
白飯 隠岐牛とあらめ佃煮

【下段右】
焚き合せ 裏白椎茸 蕪 ブロッコリー 人参

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今回のお弁当のテーマは?

前回は「家庭料理」だったので、今回は「ハレの日」で華やかな感じにしました。春っていうと、色んなものをイメージすると思うんです、桜とか卒業とかお雛様とか。それらが、全部ひっくるめられた感じ。

今回、食べ手に味わってほしいことは?

椎茸です。前回は焼いた椎茸だったけど、違う食べ方を味わってほしかったから、椎茸の調理法を今回は変えています。今回は「炊く」予定です。

前回は脇役といいますか、和え物の一つとして椎茸を入れたけど、今回はメインの位置づけで調理法も変えて。あと、メカブとか海のものと合わせて、前回と違う味わい方をしてほしい。

ここ最近どんな食材に出会ってきましたか?
島留学弁当以外で、どんな料理を探求しました?

武田:ジンバ、ワカメ、メカブ、蕗の薹。あと、高菜。人生で初めて高菜を食べました。

ワカメご飯をめっちゃ探求しました。
あと、ワカメの干し方。海から揚がったものをそのまま干すのか、茹でてから干すのか、どっちがいいのか、ちょうど今干しているところです。まだ食べ比べれていないですけど。

あと、こないだ「ソゾ」っていう海藻に出会ったんですけど。
あれは、もともとがドロッとした独特な食感で、味噌汁に入れるくらいならちょうどいいかなってものだったんです。
でも、消費する為に佃煮にしてみたら、食べれないことはないけど、難しい食材だなって思いました(笑)

恒光:岩牡蠣にも、いくつか別々の現場のものと出会っているよね。

武田:あんな採れたてを食べたことなかったです。海の味というか匂いがすごいものもあったし。別のところで食べたのは、めっちゃスッキリアッサリみたいな。クリーミーさはまだこれから出てくる時期らしいですけど。

恒光:他の食材で、試したことは?

三橋:色んなことをやりすぎて、そこまで探求はできていないですけど(笑)

茎ワカメの食感をどう活かすか。茎ワカメを、今まで作ってきたものの中で、こういう時に入れたらいいんじゃないかっていうのはあります。メインというよりかは、サブ的な使い方で。

武田:茎ワカメも切り方とか加熱の仕方によっては、食感が全然違ったり。もっと、コリコリしているイメージがあったんですけど、そうでなくなることもあるんだなって。食材がイメージ通りのことじゃないこともあるという発見がありました(笑)

他の人には食べさせていないけど、自分たちだけで食べてみて美味しかったというものはある?

三橋:ヒラメは鍋に入れたらめっちゃ美味しくて。余っている魚たちを鍋にして食べたときに、ヒラメがふわっふわで。だから、博多にしようと思いました。
本当は留学弁当で鱸を使おうと思っていたけど、ヒラメがあまりにも美味しかったから、蒸しても入れてみても美味しいのかなって。

恒光:ヒラメがフワッフワというイメージは今までなかった?

三橋:今までカレイしか食べたことなかった。それに、エンガワをあんなに沢山食べることも今までないし、酢締めにもしたし。お寿司にして食べたりもした。ヒラメのお寿司なんて普段食べない。

武田:あと、ヒラメの肝が美味しかった!煮付けでも、焼いても。

料理において、「素材を活かす」という言葉は、自分の中でどういう意味を持っている?

三橋:食材ひとつの中に色んな「美味しい」があるじゃないですか。この野菜は苦いところが美味しいとか、辛いところが美味しいとか。

椎茸であれば、プリっと感が美味しいともいえるし、香りがいいところが美味しいとも言える。色んな美味しいがあるから、どれを今回は引き出すのか。どの美味しさを引き出すのも間違っていない気がするから。

どの美味しさを引き出すのかを明確にして、料理をすることができたら「素材を活かす」ことになる。と、私は思っています。

武田:んー、難しい質問。食材を殺したくない感覚かな。調味料を入れたりしたら、誰でも美味しくすることができちゃうと思うんですけど。シンプルに言うと、素材が美味しいって思ってもらえるように調理する。

5月6月に自分たちが作った島留学弁当と比べて、お弁当の内容とか質は変わった?

武田:5月とかの頃は、お弁当をどういう風に組み立てていったらいいのか分からない状況で、かなり先生に頼っていました。でも、今は自分の中でこういうものをやってみたいことが、以前に比べ物にならないくらいに増えていてて。でも、やりたいことをただただ弁当に詰め込めばいいわけでもなくって。

どういうことを考えながら、弁当を作りあげていかなきゃいけないのかは、段々分かってきました。味のバランス・色合い・今ある食材・ボリューム感を自分なりに考えられるようになったかな。
最初の頃は、そんなことを考えないといけないということすら気付いていなかったけど、「なにを考えて」作っていかないといけないかは分かってきた。

先生が会席料理のお品書きを考えているときに、はたから見ていると簡単に作っているようだけど、実はめっちゃ大変なことなんだって気付いた。食材が安定していないこの環境で、どれだけ大変なのかっていうことを今は分かる。

三橋:最初の頃は、「あの食材もないしな」とか思っていた。そして、「何をつくるのか」というゴールに重点を置きすぎていて。

五味のことも考えられていなかったから、作り方を考えようにもバリエーションが狭くて。そんな狭いバリエーションの範囲でやっていたから、当然切る時の高さとかで食感が変わるとかっていうのも考えられていなかったとも思うし。皆さんに、未熟なものを食べさせてしまっていたなと。。

今は、「この食材があるから」、これどうしようかな、という切り口で入れるようになったかな。今ある食材をどう活かしていくか。
蜜柑あるからどうする?とか、高菜あるからどうする?とか。これ、どうにかできないかなというのが中心にあると思います。

それプラス、今まで勉強してきた、切り方とか調理法とか。
逆にいうと、そういうのに囚われなくなったかもしれない。みかんをしょっぱいものに使うとか、これは炒めないでしょみたいなものを炒めてみたりとか、「こんなことしないだろう普通!?」みたいなこと。

今の自分たちの料理は、なにを土台に立っているのかな。

三橋:先生のやっていることを見てきたから、「こういう風にしてみよう」と思いつくことが増えてきた。

恒光:それは、「こんなことしないだろう普通!?」みたいなことも含めて?

三橋:そうです(笑)

武田:本当に最初の頃は、クックパッドとか見ないと料理できない人だったんよね。それを思ったら、今は自分の感覚で料理をできてきているから。そして、それを先生に教えてもらった。

あと、シェアハウスに暮らしているみんなが料理しているのを見て、「こういう組み合わせとかやり方は美味しいんだ」とかも学んだ。

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(収録:2022/3/2 @島食の寺子屋校舎)