離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」

島根県の北、隠岐諸島のひとつ中ノ島(海士町)にある料理学校「島食の寺子屋」。 海へ山へ里へと、食材の現場に足を運び和食を学んでいく。四季を通じて学ぶ1年間コースに通う生徒たちの日記です。 【島食の寺子屋HP】https://washoku-terakoya.com/

離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」

島根県の北、隠岐諸島のひとつ中ノ島(海士町)にある料理学校「島食の寺子屋」。 海へ山へ里へと、食材の現場に足を運び和食を学んでいく。四季を通じて学ぶ1年間コースに通う生徒たちの日記です。 【島食の寺子屋HP】https://washoku-terakoya.com/

マガジン

  • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」2023年度

    離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」1年間コースの生徒たちによる日記。季節ごとに感じたことや、日々の料理の振り返りなど、食にまつわる記事をお届けします。

  • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋 」2022年度

    離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」1年間コースの生徒たちによる日記。季節ごとに感じたことや、日々の料理の振り返りなど、食にまつわる記事をお届けします。

  • 2022年度1年間コース 卒業生インタビュー

    島食の寺子屋「四季を通して学ぶ1年間コース」の2022年度卒業生のインタビュー記事。受入コーディネーターの恒光が聞き手となり、生徒たちの1年間で島食の寺子屋で感じたこと、島での暮らしで感じたことをまとめています。

  • 島食の留学弁当 2022年度

    島食の寺子屋の生徒達が、講師の指導のもと自分でお品書きを組み立て、そして料理の仕上げまでやり切る企画。その季節ごと、つくる生徒ごとに、お弁当の特徴が出てきます。

  • 寺子屋を卒業して

    卒業生の岡村さんからのお便りコーナー。島食の寺子屋の現役生徒からも返事をする時があるかも。

最近の記事

  • 固定された記事

蒼碧

4月に入って、新たなメンバーでの1年間コースが始まった。 2022年度で5期生となる。前年度の生徒を見送ったあとに、少しリセットの時間を持って新年度に臨むものの、それでも入れ替え時期はいつも気持ちが騒がしい。 3月には生徒達の学びの集大成としての卒業制作弁当を、お世話になった生産者の方々へ渡したばかり。卒業制作の形は、表向きは弁当配布ということで変わらないけれども、そこに至るまでの出来事は毎年異なる。 自然や人を相手しながら進んでいく授業なので、まったく同じ年は一つもない

    • ゆっくり、一歩ずつ

      2ヶ月はあっという間に過ぎた。 島での生活は一言で言えば「楽しい」に尽きる。 海・山・畑・田んぼへと行き、知らなかったことをたくさん学ぶ日々。 大人が夜な夜な集まって練習して挑む本気の綱引き大会。 こういう生活がしてみたかったんだな。 と思うことが多い。 とはいえ、悩みもある。 来島してすぐに開催されたBBQで他の人の入塾した経緯を聞いたとき正直びっくりした。 みんな人生経験も知識も豊富で、色々考えてここに来ていることに。 「自分はなんと薄っぺらい人間なんだ…!」 と思

      • 大根日和

        この2ヶ月 一言で表してよ、と問いかけられたら 「大根と綱引きと」かもしれない。 4月1日は土曜日だった。 大きな桜の木を背景に記念撮影 白いポロシャツに黒いエプロンを着て ぎこちないなり笑顔で「撮る!」恒光さんの声を聞いてた。大根の収穫から1年が始まった。我々の授業を支え腹を満たしてくれた大根の花は、黄色く小さい。 大根を育てられたお母さんにお話を聞くと寺子屋の生徒の為に収穫時期をずらして下さったとのこと。学校では、ひたすら大根と向き合う。 桂むきなんてしたことがなかっ

        • 目の前にある食材を生かす術

           海士町に来て早2ヶ月が経つ。前職からの退職から引越、そして新しい仲間との新天地での生活が始まり、ガラリと生活環境が変わった。思い返せば、毎日が濃密すぎて「まだ2ヶ月」と感じるが、「もう2ヶ月」と焦る気持ちも湧いてくる。    私は食材の生産現場の近くで学びつつ今ある食材を最大限に生かせる術を得たい、と思って寺子屋に来た。それは特段、将来はお店を開きたい、とか具体的なことではなくて、ただその時期にある食材を生かしてスペシャルなものをつくる技術を得られたな、というぼんやりとした

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        • 2022年度1年間コース 卒業生インタビュー
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        • 島食の留学弁当 2022年度
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        • 寺子屋を卒業して
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        • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」2021年度
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          日日是好日

          入塾してもうすぐで二ヶ月。 島に来たら時間がゆっくり流れるだろう、そう思っていたが、いざ学校が始まると一日一日があっという間に過ぎていく。 寺子屋で過ごす日々は、今までの人生の中で経験したことがないことばかり。 大量の大根の桂剥き、見たことのない大きさの魚たち、山に行って自分で筍を刈ること、牡蠣を剥くこと、、、 忙しなくすぎていく日々に圧倒されながらも、自分が成長していることを少しずつ実感してることが嬉しい。 学校ではもちろん料理のことを考える毎日。 家に帰っても料理

          進む

          海の町で育ったわたしにとって、ここの匂いは故郷と同じ。 でも人との距離感、仕事への熱量、活気溢れるこの町は、少しずつ違う気がする。 思い切って輪の中に入ってみる。会う度に知る『顔』があり、快く受け入れてくれる人達の寛容さに驚く。 一瞬で過ぎ去る日々を立ち止まり、いま一度目標の確認をする。 『自分の店を持ちたい』 始めは自分を表現する場所、自由に働ける環境がただ欲しかった。 活気ある粋な大人達と接しながら変わる店のイメージ。商売をする。お金を頂く。 気になったのは未利用魚の話

          カメとして進む

          33歳既婚、料理初心者、離島暮らし経験あり、マイペース(最近気がついた)。鈴木のNote記事へようこそ。 デスクワークからの一念発起。苦手な料理を勉強してみようということで、早2ヶ月が経とうとしている。日々の時間の流れは、密度が濃い分短いようで、苦労が多い分長く感じられる。 今年の他の寺子屋生徒とは異なり、家での料理経験すら皆無。料理好きの妻の手下としてキッチンに立つのがせいぜいだった。その甲斐あって(?)、大根の桂剥き能力向上は遅々として進まない。周りのみんなの技術革新

          只管

          新しい環境に身を投げ出したときの対処。 一旦2週間やり過ごす。2週間もすれば、環境に打ち解けることができる。それまでは、ないものが恋しい。カラオケ、居酒屋にすこぶる行きたかった。牛乳を容易く買いたかった。高すぎる。心身ともに慣れすぎた友達や家族に、脳みそを使わずに対面で会話がしたかった。何も考えずに笑いたかった。3週間ほど経つとその中に結構溶け込んでいるぞと実感する。今までとは違う周囲の人々の習慣や空気感に違和感を抱きながらも、それを咀嚼し、吸収してみようと面白がれた。ない

          人と繋がる

          「まきの葉のお餅※、うちで一緒に作るのどう?」 綱引きの練習後、地元の方が声をかけてくれた。 授業が始まってすぐ、 寺子屋チームで綱引き大会に参加してみようと恒光さんに声をかけて頂き、練習が始まった。 綱引き練習は、週に2回、時間は18:30から。 その前に夕食は済ませておきたい。 授業は17:30〜18:00頃終わるので、練習日はルームメイト3人総出で慌ただしく夕食を作り、とにかく急いで口に詰め込む。 そんな綱引き練習の日は、私にとっては楽しみだった。 みんなで1

          ひかりさす

          一週間後にせまっていた崎フェスと、まるどや卒業制作にまつわるあれこれ。やるべきことがたくさんあって、いつも頭がいっぱいだった2月。  自分の中に余白がほしくて、エスケープした先は隠岐窯だった。    かたい土をやわらかくしようと、つい力まかせに練ってしまうわたしとは対照的に、勇木さんの所作には力みがなく、どこかやわらかい。(机とけんかしないように、という言葉がそのあと崎フェスで担当した肉まんの、生地をこねるときのお守りになっていたのはここだけの話。)  やがてやわらかくなった

          卒業生インタビュー(佐野さん)

          一年間を終えて感想をひと言お願いします。 忙しかったです。 なんて言えばいいのかな。前にnoteにも書いたけど、五感に入ってくる情報がすごい量だなって。自分はそのスピードに追いつけないなって。処理するのに忙しかったと思います。処理しきれていないところに、また次のことがどんどん起こってくるし。季節が進んでいくのを、一生懸命頑張って追いかけていたなって。そういう忙しさです。 島食の寺子屋へ入塾を決めた頃のことを教えてください。 入ろうと思った理由は、前の仕事では宿で働いた

          卒業生インタビュー(岩崎くん)

          1年間終えて、ひと言感想をお願いします。 楽しかったこともありましたし、すごい大変なこともありましたけど、総じて楽しかったです。 島食の寺子屋に入塾を決めた頃のことを教えてください。 色んな理由があるんですけど、シンプルに島暮らしを体験してみたかったというのが一つあって。漠然と「どんな暮らしなんだろう」って気になっていて。 あとは、大学4年の就職活動の時期に寺子屋に見学に来たんですけど、職人の仕事に憧れていて、サラリーマンとかじゃなくて、なにか手に職をつけたいな~って

          卒業生インタビュー(武井さん)

          1年を終えて、ひと言感想をお願いします。 楽しかったです! 島食の寺子屋に入塾を決めた頃のことを教えてください。 武井: 大学生で就活をしている時に色々考え直して、管理栄養士になるかって考えていたんですけど、自分が作る方が楽しいかなって思い始めて。 料理系の道に進むんだったら、料理店で働く前に経験を積みたいなと思って、島食の寺子屋に入塾しました。 恒光: 料亭で働く選択肢とかもあったとは聞いていたけど、それでも島食の寺子屋を選んだのはなぜ? 武井: 決め手は料理だけ

          卒業生インタビュー(嶋村さん)

          1年間を終えて、ひと言感想をお願いします。 嶋村: いやぁ、怒涛でした。 総合的には楽しかったですけど、乗り越えるべき時期と、穏やかで「ずっとこの時間が続けばいいのに」みたいな時期が交互に来るのが個人的にありました。基本的にはずっと忙しくて、ついていくので精一杯だった。 恒光: なにに忙しかったのかな? 嶋村: 季節を追いかけるのにも忙しかったし、島食の寺子屋の活動自体も年々ボリュームが増えていっていると思うし。 離島キッチン海士での実践があり、給食センターに向けての魚

          卒業生インタビュー(髙田さん)

          1年を終えて、ひと言で感想をお願いします。 楽しかったの一言です(笑) 島食の寺子屋への入塾を決めたときのことを教えてください。 髙田: 以前は老健の管理栄養士をしていたんですけど、自分で調理していて、その時に調理師さんと自分の料理の美味しさが違うなと思って。その時に料理をちゃんと学んだら、病院の食事とかでも美味しいって言ってもらえるのかなって思いました。 恒光: 当時はどうして管理栄養士になろうと思ったの? 髙田: 自分がお母さんの料理とかで元気をもらえたから。病

          卒業生インタビュー(坂場さん)

          1年間を終えて、まずは一言感想を。 あっという間に過ぎました。あっという間だったけど、すごく濃い一年だったなと思います。 最初の頃の振り返りから始めるけど、島食の寺子屋になんで入ったんだっけ? 坂場: 料理の道に行きたいって思っていたんですけど、専門学校じゃなくって、生産者さんが身近にいるところで学びたかったです。 あと、座学がないところ(笑) 座学に意味はないとは言わないけど、教科書通りじゃない学び方をしたいなと思っていました。大切なことは教科書にはないなって。