離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」

島根県の北、隠岐諸島のひとつ中ノ島(海士町)にある料理学校「島食の寺子屋」。 海へ山へ…

離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」

島根県の北、隠岐諸島のひとつ中ノ島(海士町)にある料理学校「島食の寺子屋」。 海へ山へ里へと、食材の現場に足を運び和食を学んでいく。四季を通じて学ぶ1年間コースに通う生徒たちの日記です。 【島食の寺子屋HP】https://washoku-terakoya.com/

マガジン

  • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」2024年度

    離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」1年間コース(2024年度生)の生徒たちによる日記。季節ごとに感じたことや、日々の料理の振り返りなど、食にまつわる記事をお届けします。

  • 島食の留学弁当 生徒インタビュー

    島食の寺子屋の生徒達が、講師の指導のもと自分でお品書きを組み立て、そして料理の仕上げまでやり切る企画。その季節ごと、つくる生徒ごとに、お弁当の特徴が出てきます。お弁当を作った生徒たちのインタビュー記事です。

  • 2023年度1年間コース 卒業生インタビュー

    島食の寺子屋「四季を通して学ぶ1年間コース」の2023年度卒業生のインタビュー記事。受入コーディネーターの恒光が聞き手となり、生徒たちの1年間で島食の寺子屋で感じたこと、島での暮らしで感じたことをまとめています。

  • 寺子屋を卒業して

    卒業生の岡村さんからのお便りコーナー。島食の寺子屋の現役生徒からも返事をする時があるかも。

  • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」2023年度

    離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」1年間コースの生徒たちによる日記。季節ごとに感じたことや、日々の料理の振り返りなど、食にまつわる記事をお届けします。

最近の記事

  • 固定された記事

蒼碧

4月に入って、新たなメンバーでの1年間コースが始まった。 2022年度で5期生となる。前年度の生徒を見送ったあとに、少しリセットの時間を持って新年度に臨むものの、それでも入れ替え時期はいつも気持ちが騒がしい。 3月には生徒達の学びの集大成としての卒業制作弁当を、お世話になった生産者の方々へ渡したばかり。卒業制作の形は、表向きは弁当配布ということで変わらないけれども、そこに至るまでの出来事は毎年異なる。 自然や人を相手しながら進んでいく授業なので、まったく同じ年は一つもない

    • 菊月のいろは

       あいにくの台風で中止になったキン二ャモ二ャ祭り予定日の8月最後の日は、降ってきそうな満天の星空だった。翌日の澄んだ青空を目に焼き付けて、私たちは久しぶりに本土へ渡った。 寺子屋の夏休みの始まり。    京都研修の前に、個人的にインターンに行かせていただいた。インターン先は京都の上賀茂にある小さな八百屋Gg’sさん。京都で盛んだった昔ながらの”振り売り”という行商を現代のスタイルでされている。  Gg'sさんは大原へ野菜の仕入れに行き、飲食店や個人のお客様にお届けしている。

      • 半年の節目 9月を終えて

        寺子屋に入学してから半年になる節目の9月。まだまだ、ずーっと先のことだと思っていた京都研修も終わり、中旬からは稲刈り・栗拾い・お芋掘りと秋の味覚オンパレード。大好きな秋がやってきた!とほくほくした気持ちになりながらも、こうしてあっという間に卒業の日も来るんだろうな…とちょっぴり切ない気持ちで過ごす日々です。 * * * 【京都研修で学んだこと】 京都研修で訪問したのは、嵐山・松尾大社の「鳥米」さんと宇治の「辰巳屋」さん。お店の厨房を見学した後、お昼の松華堂弁当と夜の会席

        • 9月「先を見る」

          台風一過の晴天。9月のスタートは本土から。京都研修へ。 【卒業の先】      料理が好き。発酵調味料作り、季節の手仕事、保存食作りが好き。自然が好き。畑が好き。     旬のものを使う。できるだけ自然のもので、体にいい素材を選ぶ。農家さんなどの生産者さんと食べる人を繋げる。自分も菜園をもつ。自然を楽しむ生活をする。古くから続く暮らしの知恵を大切にする。     好きなこと、やりたいこと、夢と理想はたくさんあるけれど、具体的なステップは…。     4月に書いた「始めの

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        • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」2024年度
          54本
        • 島食の留学弁当 生徒インタビュー
          21本
        • 2023年度1年間コース 卒業生インタビュー
          8本
        • 寺子屋を卒業して
          5本
        • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」2023年度
          36本
        • 離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋 」2022年度
          34本

        記事

          難しい

          二〇二四年九月 九月最初は夏休みに入って、久しぶりに友達に会ったり親戚に会って幸せな時間を過ごした。自分のやりたいことと行きたいとこ食べたいものリストは全部制覇した。本土に帰って信号があってコンビニがあっての生活はもう馴染まれへんやろなぁ、とか思ってたけど本土ついた3時間後ぐらいにはもう何に対しても、わあ!ってなる感情は無くなっててちょっと変な気持ちになった。 休みの間に、気になっていた日本料理店に行ってきた。まず初めてお高い料理屋さんにひとりで行って、すごく緊張したし怖か

          秋の幸

          9月に入り京都研修のため本土へ。里帰りしたり、京都までの道中旅しながら向かう同期も。 私は実家に立ち寄り、父の知り合いの梨農家さんへ梨狩りに。待ちに待った梨の旬。 秋の果物を求めて毎年恒例の直売所はしご◎ 研修のため京都へ。 寺子屋のみんなと嵐山「鳥米」さんで待ち合わせ。 京都嵐山「鳥米」さん。 店名のとおり、鳥とお米にこだわっていらっしゃる京都料亭。明治に鳥料理屋を営まれ、鳥の卸売店でもあることが由来とのこと。 現総料理長の田中良典さんの代からよりお米にこだわられ。毎年

          自棄かひなし

          【寺子屋に入学して半年が経過して迎えた京都研修】 鳥米さんと辰巳屋さんの厨房での動き方、完成された料理の盛り付け、もし半年前に同じ景色を見ていても見え方が違ったと思う。まず厨房の中で自分との違いを1番感じた点が「迷いが無い」という所。鳥米さんの厨房組の方達は料理人として10数年経験を積んでいた方達なので作業を淡々とこなしていたし、無駄もほとんど無く感じた。辰巳屋さんの厨房組の方達はまだ1年目や2年目の方達が多く働いていて、さらに自分と近い年齢の方達が多くいたけれど、自分とは

          好きこそ物の上手なれ

          京都研修一日目。昼は松尾大社の近くにある鳥米さん、夜は宇治川沿いにある辰巳屋さんにお邪魔し、美味しく味わいながら研修させてもらった。 鳥米さんでは、私達がやっている留学弁当と同じ、松花堂弁当形式で料理を提供していただいた。松花堂弁当は、会席料理が一つの箱にぎゅっと盛り付けられ、手軽に楽しめるびっくり箱のような良さがあると女将さんが食前にお話してくださり、私も食べる人を驚かせられるような料理・お弁当が作れるように頑張りたいと思った。日本の四季を感じられる様な器選びや、箱に"詰

          半分

          気が付けば、もう島に来て半年がたった。一年の折り返し地点に来た。今の所自分が成長している実感は湧かない。まだまだ、成長できると思っているし、料理に対してもっと真剣に向かい貪欲に学ぶ必要がある。1日も無駄にはできない。 9月初旬に京都研修も兼ねて久しぶりに本土に帰る事ができた。京都研修では、沢山の刺激をもらう事ができた。 少ない人数でいかに多くのお客さんを回す事ができるか。効率よく、無駄のない動きがすごく印象に残った。また、最新の調理法を用いること、昔から続く伝統の味や大事な

          いちばんの夏

          生徒が主体になって作りあげる、今年度初めての留学弁当。記念すべき第1回目を担当した。前例がない分、何を作っても献立の被りを気にしなくて大丈夫なところは良かったなと思う。一方で、試行錯誤できるほどの時間的余裕があまり無かったので、お弁当箱にちゃんと綺麗に詰められるのか、理想が現実になる最後の盛り付けまで、かなりやきもきした。 献立は何にするのか、それぞれの料理に食材をどれくらい使用して、仕入れの量はどのくらいになるのか。魚の仕入れで、割と安定的に入っていたシマメを使った料理を

          言語化できないものは、作れない。

           山陰の夏は湿度がすごい。特に真夏のお風呂上がりは、尋常じゃないくらい蒸し暑い。汗だくになりながら、ドライヤーで髪を乾かす時間を少しでも短くしたい…と、一昨日美容院へ行ってきた。  おじゃましたのは役場のすぐ近くにあるmame.さん。初めての訪問だったけれど、店主の井上さんは「寺子屋の生徒さんとおしゃべりするの、楽しいんだよね!」と、とても気さくにいろんな話を聞かせてくださった。以前、井上さんのお店には、美容師を目指しているという学生のお客さんや、専門学校を卒業してすぐのスタ

          言語化できないものは、作れない。

          島での8月は、人生で一番夏を感じる事ができた。海に入り、お祭りに参加、盆踊りを踊り、出店をし、留学生弁当を作って大忙しの8月を過ごした。 海士町の海はいつみても綺麗な海で4月に来た段階から早く海に入りたいと思っていた。実際に海に潜るととても透き通っていて、沢山の魚が泳いでいた。神秘的だった。放課後、疲れなど関係なしに日没まで海に潜る。そんな生活を送っていた。8月で海に入れる期間はもう終わってしまう。残りわずか、海に入れる日は入りたい。 祭り8月中頃、海士町盆踊り、崎盆踊りが

          8月「味わう」

          いつの間にか暑さのピークを越し、短い夏が終わりを迎えようとしている。 【野菜作りの喜びを味わう】  「見て、鞘が膨らんだの。」  「実が大きくなっている!」  「ようやく色が付いてきたよ。」  「いつの間にかこんなにできてた!」  畑から聞こえるみんなの声。  一人一畝栽培する寺子屋の畑は、収穫の時を迎えた。  虫に養分を吸われてまだら模様のトマト  穴の開いたピーマン  くるんと曲がったシシトウ    どんな姿も愛おしい。収穫の喜び、採れたての新鮮な野菜を食べる喜

          幸せ

          二〇二四年八月 夏といえば!みたいなことを全部できたと思う1ヶ月 今月も初めてがいっぱいで大好きになったものもまた増えた 最高に毎日楽しくて幸せで、終わらんといてほしい 留学弁当 八月に入って初めて、自分たちで考えて、仕入れ仕込み完成までさせるお弁当を作った。 寺子屋に入塾して4ヶ月経って自分が今の時点でどんなことを考えれるのかできるようになってるのかがわかるお弁当でワクワクもしたけどお弁当になるのか不安やった。 2人で考えるところから始めて、こうゆう入れたい!とかこれ

          葉月のいろは

          ◇成長の兆し 〜留学弁当〜  生徒だけでお品書き、仕入れ、仕込み、提供まで行う留学弁当。初めて自分たちだけでやってみた感想は、「島食でお弁当を完成させるのって大変...!」 その理由は食材が全ての出発点であること。例えば、 島唯一のお豆腐屋さんがお盆休みのためお豆腐を使えない。魚を仕入れている大敷も10日近くお休みで、お品書きが確定してなくても、ある程度の目処を立てて仕入れを行わなければいけない。旬の食材が限られている中、前の2回のお弁当と被らないお品書きを、というハードル

          島食の寺子屋 2024:8月

          ・夏本番! 少し早めのお盆休みをもらい親戚の子供達と遊び大人たちと飲み楽しんで帰ってきた13日の夕方、こっちでは今度は盆踊り、寺子屋では具入りのだし巻き卵をお客さんの前で巻いたり、団子を売りました。自分は基本売り子をしていたが、普段なかなか会わない友人達も買いに来てくれたり、 巻くのを交代してもらったりしながら祭りを楽しみました。 次の日も今度は住んでる地区の盆踊りでだし巻き卵とゼリーや大福を売りひと段落かと思えば、次の日は竹を切りに行き6mぐらいにカットした竹を更に木の