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9月振り返り(離島キッチン海士での実践に向けて)②

恒光:話が変わるんですけど。離島キッチン海士や島食の寺子屋校舎での、生徒それぞれの動きに対して簡単にフィードバックして頂けますか。

鞍谷:武田はド真面目じゃないけど、「こう言われたらこう」って言うのが強すぎて、もうちょっと気楽に考えたらいいのにって思うことがある。こうじゃないとあかんって考えてしまうところとか、生真面目すぎるとか。

恒光:なんか武田が嬉しそうですよ笑

武田:なんか褒められているのか、褒められていないのか。。笑

鞍谷:良いというか。もう少し自分で考えること。言われたことをただやるじゃなくて。自分でアレンジじゃないけど。

そしたら、もうちょっと頭が柔らかくなるのかな。「こう」ってなりすぎなところがあるから。

あと、最近よく物を落とすよな。

武田:それ最近思います。
こないだも、ころころって転がしちゃって、自分の身長以上に延ばしちゃってました。。(笑)

あとは、何をするにしても時間がかかってしまいます。

恒光:それは2ヵ月前から聞いている気が。。

鞍谷:ここでペースをあげなあかんっていうところで、ペースをあげてれてない。オンオフのスイッチがないように見えるというか。

別にオーバーアクションで急げってわけでもないけど。
そんなんしたら、余計にものを落とすようになるかもしれんしな(笑)

武田:離島キッチン海士でゼリーをひっくり返したこともありますし、焦ってしまうのも恐いですね。

島留学弁当の時に梅ゼリーをひっくり返して、梅ジュレに変更してもらって。心の中では落ち着け落ち着け、どうしたらいいんだって。

恒光:怒られたらへこむタイプ?

武田:怒られたら、そりゃへこみますよ。へこむけど、言われなくなった方が悲しいから。言われるうちが、はなだと思っているから。

鞍谷:そりゃそうや。言われるってことは、見てもらえてるってことやからな。

武田:どうやったら、もっと成長できますか?

鞍谷:成長するしーひんは、自分でやるもんやからな。

武田:そうなんですよ。それはもちろんなんですけど。

鞍谷:何回も言うんやけど、言われたことをやるだけでは成長せぇへんわな。

最低限の技術は覚えるけど、そこで止まってしまう。聞くだけやったら。自分で何かを考えることによって、そこから先に行く。そりゃ、一回は聞いてやってみるんやけど、それでうまいこといけばそれでいいし、うまくいかんときにそこで「なんで?」って思わんと。

もちろん、おれ自身でも会席を出して100点満点やって思ってしまったらあかんと思うし。出し終わったあとに、「あそこもうちょい、こうしておけば良かった」って考えたり。次はこうしようかなとか。自分の名前が出る分については特に思う。

それがないと、そこで終わってしまうし、そこがゴールになってしまう。飲食に関しては、そこで満足してしまうと、ほんまはもっと上があるのに、そこで止まってしまう。そこは色々考えた方がいい。

恒光:ここ最近で鞍谷さん自身の「なんで?」はありますか?

鞍谷:うん。ここ最近でいうと肉かな。
お昼の箱膳の時に、ローストビーフばっかりを出しているけど、もうちょっと違うことしたらええんかなと思っています。

一番ローストビーフが時間的には楽。前日から焼いておけるのであれば、当日は野菜を焼くだけに近いし。あとは、お客さんが宿泊先のホテルで、前日に隠岐牛を食べているのであれば、ローストビーフじゃなくて、もっと和食っぽいものを出そうかとか。

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蒸し物にしても、最近はジャガイモを潰しているけど、もっとうらごした方が口当たりが滑らかになるんちゃうかとか。

恒光:例えばの話なんですけど。生徒がいない状況で、鞍谷先生ひとりで料理をしてみるとしたら、どのようなことをしてみたいですか?

生徒がいる場合は、ランチの箱膳を出すにしても、夜会席を出すにしても、生徒の現時点での技術力を意識しながらお品書きとかを決めていると思うんですけど、そういうことを全く考えなくていいって時に、離島キッチン海士でやってみたいことといいますか。

鞍谷:極端な話、お客様の前で実演できたらいいですよね。でも、それを1人でやるのは無理やし。

恒光:実演なんですね?

鞍谷:実演をやった方がインパクトに残るじゃないですか。ホテルやったら鉄板焼を目の前で焼くとか。目の前で焼いていないとしても、じゅぅって音が聴覚的に入ってきたり、香りが出てきたり。視覚的に目の前でやって、それが配られるとか。

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その方がお客さんの反応がわかりやすいですよね。やっぱり離島キッチン海士の厨房の中だけじゃなくて、前に出た方が見やすいし。

恒光:カウンターのお店で経験されていたこともあってのことですかね。

鞍谷:そうですね。お客さんの反応が出てくる。料理をやっている側としては反応が見える方がいい。料理人として最初の頃は、ホテルでやっている時は、ずっと中ばっかりで、お客様の反応が見られない。ただ出しているだけになってしまう。

味付けとかだけじゃなくて、自分が焼いたもんとかを食べてはるのを、目の前で見ていると「嬉しそうやなとか、不機嫌そうやな」とかわかったりするじゃないですか。こっちの料理だけじゃなくて、お客さん同士の関係が見えたり。

ホテルで6年目、7年目くらいの時に、高いコースになったらお客様の前で鮎を焼いたりとか、竹輪を焼いたりとかがあって、そういう時に炭火で焼きながら話を振られたり喋ったりとか。多少なりの実演があると、直に反応が見える。それがある方が、やりがいがあります。

あと、実際にお客さまが食べたのと同じものを食べてみて、「もっとこういう風にしようとか」もある。顔色見て、次のことを考えてみたり。

恒光:生徒の中で、離島キッチン海士のお客さんの反応で記憶に残っているものある?

長谷川:わだつみの精を飲んでいたお客さんで、おじさまおばさまがいて。私がお勧めして、飲んでくれて美味しかったで言ってくれた。

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恒光:長谷川は、わだつみが美味しいって思うの?

長谷川:隠岐酒造の中で一番好きです。ブランデーっぽい感じが好き。

鞍谷:独特の香りというか、バーボンに近い感じがする。その辺は飲みづらさというのがあるかも。

長谷川:私は好きですね。
何が嬉しいかというと、そのことで会話が始まって、けっこうお客さんと話し込むことができたり。

「美味しんですよ」、「美味しいですね」のやり取りがあったから始められたかな。

恒光:詳しくどんなことを話したのかな?

長谷川:もずくの話とかしたと思いますよ。恒光さんに、ちゃんと水雲のことを伝えろって言われて。

恒光:命令みたいになっちゃってるね(笑)

長谷川:他にも自分たちで採ってきたものも説明しました。

恒光:10月は離島キッチン海士での実践が増えてきて、生産現場で過ごす時間は結構減ってくるなかで、限られた時間で食材のこととか料理をどういう風にお客様に伝えていくかは、離島キッチン海士としての課題でもある。

長谷川:そこは、生産者の方から話を聞いたこととか、仕入れで顔を出した時の畑の様子を、お客様に伝えることはできるし。「自分が採った」ではなくとも、そのお客様が見れていない風景を伝えることはできるかなと思います。

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鞍谷:一回、定置網の漁港にまな板を持って行って、あそこで魚を〆たいというのがあって。

「今日は朝船に乗って、自分で魚を〆てきたんですよ」って。そういうのができたら、「おぉ」ってなったりするやろうなと。

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恒光:風景を伝えるって、相手が少なからず同じ経験をしていたら通じあうと思うんですけど、こっちが一方的に知っていてるものは、伝わるのかなと思ったり。

鞍谷:お客さんが、どこまで食に興味を持っているかですよね。

出野:前回の離島キッチン海士のお客さんは、料理にすごく興味を持ってくれて嬉しかったです。

鞍谷:一番、左手前のお客さん?

出野:そうです。ご飯に使われている器は売っているんですか?とか。
週に1回くらいは会席料理を食べ歩いているような方で。離島キッチン海士の箱膳の味が繊細で、すごく好きですって。

でも、ツアーの行程の都合上、11時に食事開始で、まだお腹が空ききっていない感じはありました。

恒光:そういえば、今日の月一面談で思ったんだけど、三橋は最近踏ん切りがついたような感じがあるね。面談も10分設けているところを、1分で完結したし。もう、目指すことが決まっているというか。

三橋:悩むことがめんどくさくなっちゃって。めんどくさいことは切り捨てます。

恒光:他人に相談してる?旦那さん?

三橋:旦那さんに「なんとかなるんじゃない?」って言われて。
自分で「そっかぁ。じゃあ、こういう風にしていこう」ってなれる。

恒光:旦那さんすごいね。

三橋:活を入れられますよ(笑)
普通に怒られるというか。

あと、悩むけど、ずっと悩むことはないかな。
ずっと同じテンションのままというか、だから何かに熱中している人とか羨ましいなって。

恒光:塩麴に熱中してるやん。

三橋:そうですね~笑
でも、自分のことってなると、「わたしはなんにもないな」って。オタクの人とかすごいなって。

恒光:他人から見たら塩麴オタクなのでは?

三橋:他に、もっと上がいるんじゃないかって思っちゃう。

恒光:それは、向上心があるっていうことで笑
そういえば、横辻さんが、まきの実を食べた感想聞かせてって言ってたよ。

三橋:あー、周りがもう乾燥しちゃっていて。皮が苦いっていうか。まだ乾燥していないものを食べたら、また違ったかもしれないです。福井さんの山に、実がたくさんなっていたので、実が赤くなる頃にまた食べに収穫にいきます。

恒光:最近のマイブームは塩麴以外にもある?

三橋:最近のマイブームは、こじょうゆですよ。なおかつ塩こじょうゆ。

恒光:長谷川のマイブームはなにかある?

鞍谷:ヨコワと鰹やろ。

長谷川:それはブームじゃないですよ。なんだろうな、マイブーム。

恒光:ちなみに、長谷川が前回にトライした烏骨鶏の孵化を、改めてトライしてみたけど、失敗しちゃった。
1羽は殻を破るところまでいったけど、結局は1日経つと死んでしまう。他の鶏より全然難しい。

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長谷川:難しいですよね。

恒光:長谷川の第一回の孵化した時の写真を見ると、あれは殻を剥くの手伝うのが早すぎたのかなって思った。

長谷川:でもあれは予定日より1日遅くなって、そこからやっと殻を剥くのを手伝ったんですけどね。

鞍谷:予定日ってほんまに出産みたいやな。

恒光:驚くくらいに同時に孵化しようとしますよ。

三橋:産まれたらすぐに鳴くんですか?

恒光:うん。ぴぃぴぃぴぃって。

出野:嬉しいですか?(笑)

恒光:当たりまえやろ(笑)

三橋:産まれるとこ見てみたい。

鞍谷:そんなに烏骨鶏は孵化させるのが難しいんですか?

恒光:うーん、他の品種と比べても弱い印象があります。

長谷川:他の品種と比べても背丈が全然違ったりもするんです。
ちっちゃいし、まず卵を殆ど産まないし、1ヵ月に2~3個。生きる力が弱いのかな。

鞍谷:だから希少価値が高かったりするんかな?

長谷川:烏骨鶏は白身が少なくて、黄身が多めだったりするみたいです。

武田:ところで、生徒それぞれの良いところを言っていくのは、もうやらなくていいんですか?

恒光:あ、ごめん。戻ろうか、そこに。

鞍谷:長谷川は、どんどん前に出てきてくれている。あとは、良くも悪くもマイペース。せやし、率先して前に出てくるところが良いと思う。あとは、実践も増えてくる中で、周りを見ることも必要になってくるやろな。

三橋は、来島見学の時の印象と全然違う。

三橋:先生はずっと同じこと言ってる(笑)

鞍谷:来島見学で面談した時に、自己主張していなかったし。寺子屋に入塾しないと思ってた。

言われたことに対して生真面目というか。言われたことに対しての自分の考えが出てくれたら良いなと。

出野は、4人の中で経験という意味では、食の経験があるし。

出野:まあ、3年やっていたので、それで他の人と同じだとね。。

鞍谷:あとは、包丁が洋包丁の使い方がまだ残っているというか。

かな。一旦は。

恒光:では、夜も遅くなってきたので、最後に10月に向けて一言お願いします。

鞍谷:10月はとにかく一致団結してやるってこと。各々がノートの端っこに気になったことを書いておく。それを11月に山ほど振り返っていくし。みんなで頑張っていきましょう!

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