見出し画像

ソーシャル坊主起業奮闘記 #8「競合他社なのに事業を全面的にサポートしてくれる「みんな電力」との出会いのきっかけの話」

このnoteでは、ビジネス経験のない僧侶たちが新電力会社の起業に至った物語や、いまなお悪戦苦闘し続けている様子を、取締役・霍野の視点で赤裸々に告白します。

信頼する税理士や起業家の方から「起業はやめといた方がいいんちゃう」と言われたにもかかわらず、立ち止まることなく起業に向けて準備を進め、社名やロゴ、パンフレットなどを制作。「お坊さんが新電力会社を起業」との情報がマスコミにリークされ、ネットで大炎上。Yahoo!コメントには約900件のコメントがつき、Twitterは約4000件のリツイートがある大事態。その後、はじめての求人・採用を終え、事業をスタートする準備が整ってきます。

が、電力事業について全くの無知でビジネス素人の僧侶が4人で起業したわけなので、全てのことを一から学習や準備をしなければなりませんでした。事業計画、資金調達、採用、顧客管理、電力調達、スイッチング、請求システム、営業、プロモーション…。

今回は、電力会社として一人立ちすることを全面的にサポートしてくれた、みんな電力さん(以下、敬称略)との出会いを書き進めます。

ヒルズの上層階でトップリーダーたちと出会う

取締役・本多は、お寺の住職である一方で、リターニー(帰国子女)であり、交友関係も幅広いんです。

リターニー僧侶の記事はこちら!

ベンチャーキャピタリストとしてメディアにも登場するようなバリバリ活躍してる幼馴染がいるみたい。起業するにあたって、ビジネスの厳しい現実をコンコンと聞かされたり、僧侶が事業を企てる意義についてディスカッションしたり、個人的にいろいろ相談していたそう。

本多から「信頼する幼馴染が会おう!って言ってくれてるから一緒に東京に行きましょう」との軽いノリなお誘いをもらい予定していたものの、日程が迫り、集合場所の連絡をもらって驚く。東京港区にあるヒルズと名のつく場所。ヒルズ、まじか。ヒルズ=セレブのイメージしかない田舎者の僕は集合場所を聞いただけで、そこは僕たちが行くような場所じゃないとビビって不安にかられます。

当日、1時間前には集合場所に到着するものの、本当にここなのかとキョロキョロしながら辺りをウロウロ。間違いなくその場所なのにGoogleマップ見ながら行ったり来たり。だって、見上げるのに首が痛くなるぐらいの超高層ビルで、バシバシバリバリのビジネスマンたちが足早に通り過ぎていく。やっぱり僕らには不釣り合い。

時間も迫ってきたので意を決してフロアにいくと、めっちゃ高層で、一面ガラス張り。いかにもバリバリでキレキレな人たちがPCカチカチしながら、コーヒー片手に和やかに交流している。海外ドラマの一場面か!みたいな、絵に描いた通りのイケイケな人たちの間を会釈しながら通って会議室に到着。

画像1

(画像はイメージ)

そこで出会ったのは、各業界の第一線でキラキラと活躍する方々。AIを活用して企業の採用をテクノロジーでサポートする経営者、サイボーグのベンチャー企業に参画するアートサイエンスの専門家。テラエナジーを面白がってくれそうなベンチャー業界のトップリーダーたちとの出会いの場をセッティングしてくれていました。そんな方々のお一人が、みんな電力の真野秀太さんでした。

みんな電力の頭脳、真野さん

真野さんはもともと大手シンクタンクにいて、東日本大地震の原発事故をきっかけにソフトバンクの孫正義さんが設立した自然エネルギー財団に転職。その後、ソフトバンクエナジー株式会社にて再生可能エネルギー発電事業に従事。発電事業に関わるなかで「作ることも大切だけど、「再エネを使いたい」と思う人が増えることが大事」だと実感。消費者に近いところで事業をやりたいと想いをもって、みんな電力にジョインされたそう。再生可能エネルギー普及にかける想いはひとしおではありません。

いくらテラエナジーが弱小とはいえ、みんな電力からすれば新電力会社の競合他社。しかし再生可能エネルギーの普及に熱い想いをもつ真野さんは、僧侶やお寺だからこそアクセスできる消費者がいることに共感してくれて、協力してくれることを約束してくれました。

その出会いがきっかけとなり、テラエナジーはみんな電力と業務委託契約を結ばせていただくこととなります。テラエナジーの担当社員がみんな電力のオフィスに1ヵ月間通い、みっちり修行させてもらい、電力小売事業を行うためのノウハウを伝授してくれました。さらに現在では、テラエナジーはみんな電力から電力を融通してもらっています。

電力業界の異端児、みんな電力

みんな電力は、700社を超える新電力会社のなかで、いま一番注目される会社です。

電気は目に見えず、香りも肌触りもない。恩恵や違いを感じづらい中、みんな電力は「顔の見える電力™️」というキャッチコピーで、どんな人や事業者がどんな思いで発電しているのかを伝える取り組みを積極的に展開。

イメージは、生産者の顔が見える野菜みたいな感じ。あの人が作っているから美味しいとか、そんな想いでつくっているなら是非その野菜を買おうとか、生産者のストーリーが消費者の購買動機を高める。それを電気でもやっているのがみんな電力です。

事業の詳細を説明されている真野さんのインタビュー記事がこちら!

家庭をはじめ個人のお客さまに電力を供給している小売電気事業者内で、再生可能エネルギー利用率の全国1位を獲得。タレントのいとうせいこうさんとコラボして再生可能エネルギーの普及をしたり、パタゴニアを始めとする環境意識の高い大企業の多くがみんな電力と契約しています。ホッとワクワクでキャッチーでポップな新電力会社です。

『報道ステーション』でも特集されていました!

その再生可能エネルギーは環境破壊につながっていないか…

ちょっと話は横にそれますが、「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」という言葉を聞いたことはありますか?

SDGsが今や当たり前になっている今日、多くの企業はプロモーションの一環として自社のSDGs活動を盛んに発信されています。投資家や消費者といったステークホルダーはその情報を基に企業を「評価」する時代となっていると言われます。

そのような社会動向にあって、企業が環境配慮をしているかのように見せかける「グリーンウォッシュ(Greenwashing)」が問題になっています。この言葉が誕生したのは1986年だそうですが、それから30年以上経過し、世間の環境意識が高まる中、グリーンウォッシュは再び注目されることになってしまいました。

皆さんにも思い当たる節があるんじゃないでしょうか。自然豊かな山々を切り崩して、大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)がつくられている様子を。

画像4

(参照:毎日新聞「全国で公害化する太陽光発電 出現した黒い山、田んぼは埋まった」

近隣住民には事前に何も知らされず、ある日突然メガソーラーが建設されたことで、親しんでいた自然や景観が損なわれてしまうことがあります。さらには、森林伐採による土砂災害などへの不安が高まっています。

なので、ひとえに、再生可能エネルギー、自然由来のエネルギーといっても本当の意味で環境負荷の少ないエネルギーなのかどうか吟味する必要があります。

とはいえ、各電力会社の再生可能エネルギーを調べて比較検討するのはとても大変。そんな時は、第三者機関として独自の調査を行っているサイトを見るのも一つの方法です。自然エネルギーの電力会社を応援しているパワーシフトという団体では、電力会社の担当者に直接会って7つの点を重視している(同じ方向を目指している)ことを確認してサイト内で紹介されています。

ちなみに、みんな電力会社はもちろんのこと、テラエナジーも認証されています。それもそのはず、テラエナジーは、みんな電力から、電力を融通してもらっています。みんな電力は、北は青森から南は鹿児島まで、現在は600くらいの発電所と契約をしています。自社の供給だけでは電力が余ってしまってしまうため、テラエナジーのように小さな電力会社に融通されています。

みんな電力が契約している発電施設は、独自の規定にもとづいた、環境負荷の少ない発電所。おばあちゃんが休耕地に設置した太陽光パネルの発電所もあれば、津波の被害にあった土地を活かした発電所、畑の農作物と一緒に太陽をシェアする発電所、地域の人たちで出資して非営利で運営している市民型の発電所、最先端の技術を駆使した海の上の風力発電所など、すべて再生可能エネルギーの発電所です。

雨降って地固まる、はず

話は戻り、真野さんを紹介してもらったトップランナーたちとの出会いの場。それぞれが仕掛ける事業を紹介し、みんな「仏教」好きだということで話が大盛り上がり。予報外の突然の大雨に見舞われながら、食事会場に移動をしてディスカッションを深めました。

お開きのさいに、株式会社ZENKIGENの野澤さんが「今日のような、突然の雨のときの出会いはとても良い成功事例ばかり。間違いなくテラエナジーも今日の出会いが必ず良い方向に動くはずだから、思いっきりチャレンジしてください」と背中を押す声をかけてくださいました。

その言葉通り、真野さんとの出会いと尽力によって、テラエナジーも事業の土台が整い、いよいよ電力会社としての事業がスタートすることになります。真野さんとの出会いがなかったら、テラエナジーは炎上しただけで事業のスタートさえできなかったかもしれないと思うぐらいにテラエナジーを助けてくれたお一人。

真野さんとの出会ったのは2018年8月末。あれから早や3年。経営状況はまだ雨模様…。​​

画像3

霍野 廣由(つるの こうゆう)
1987年福岡県生まれ。浄土真宗本願寺派覚円寺(福岡県)副住職。龍谷大学実践真宗学研究科在学時に、自死・自殺や終末医療、高齢者福祉の活動に携わるとともに、寺院活動を研究する。大学院を修了し、認定NPO法人京都自死・自殺相談センターに就職し、現在は事務局長を務める。2018年、ソーシャルグッドな新電力会社、TERA Energy株式会社を立ち上げる。相愛大学非常勤講師、浄土真宗本願寺派子ども・若者ご縁づくり推進委員など。

画像2

テラエナジーでんきへのWebサイトはこちら
https://tera-energy.com/

3分で完了!テラエナジーでんきのお申込みはこちら
https://tera-energy.com/form/#anc-top

この記事が参加している募集

雨の日をたのしく

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?