頑張らない。手放すこと。

ある美術家さんにインタビューする機会があり、その言葉に感銘を受けた。

作品をつくるときは頑張らないこと。作品ができてからも頑張って売ろうとしないこと。頑張るとは、『「我」を張る』とも解釈できる。だから、頑張りすぎると、変なエネルギーが生まれてしまって、作品の良さがまっすぐ伝わらないのだそうだ。

だから「手放す」ことを意識する。頑張っているときは、手に力が入っていて、握り拳をつくっている。だれもあなたと手を繋いでくれない。でも、我を張らずに、勇気をもって手をひらく。すると、誰かが手を差し伸べ、あなたの手を握ってくれるのだ。そして遠くまで連れていってくれる。

今まで、「ただ頑張る」ことには意味はないと思っていた。頑張るにも、そこに意図があり、道筋を立てて頑張るべきなのだと。しかし、そもそも「頑張る」ことが違うのかもしれない。頑張っている時点で、自分を意識しすぎているということだ。いい作品には、作品そのものから感じる何かがある。その時感じた何かに、作家自身の像は浮かんでこない。

ちょっとスピリチュアル的な話だなと思う方もいるかもしれないが、それは違うと思う。僕もこの5月に会社員を辞めて、フリーランスになった。「やりたくないことはやらない」をモットーに、「楽しむ」ことを意識して活動してきた。もちろん楽しいばかりで済むわけではないんだけれど、楽しむことを意識しだしたら、いろんな出会いがうまれて、どんどん遠くの方に動きだしている感覚がある。今までは、岸に停泊していた船が、大海原へと航海をし始めたようだ。

頑張った作品は、届かない。楽しむこと。手放すこと。


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