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祝『愛の不時着』 カップル結婚!―改めてこのドラマの魅力を振り返る―

2022年3月31日、『愛の不時着』カップル、ヒョンビンとソン・イェジンが結婚された。
お二人のご結婚は『愛の不時着』をきっかけに韓国ドラマを見るようになった者として、まるで自分の親戚や親しい友人が結婚したかのように嬉しい。

忘れもしない、『愛の不時着』を初めて見たのは2020年春。
かれこれ二年も経つというのに、最近ドラマを見直したら、まるで昨日のことのように初めて見た時の感動がよみがえってきた。
この機会に、改めて『愛の不時着』という名作ドラマを振り返ってみたい。

恋愛、サスペンス、コメディ、様々な要素がある『愛の不時着』

最初に申し上げると、私は恋愛ドラマはあまり得意ではない。
ノワールやサスペンス、ジャンルものが好きなので、恋愛がメインだと少々退屈してしまうところがある。
そんな人間でも、『愛の不時着』 というドラマを十分楽しめたのは、このドラマがラブロマンスでありながらサスペンスもあり、さらにコメディとしても楽しめるという、複数の要素が詰まっているからだと思う。

言うまでもなく、ラブロマンスはリ・ジョンヒョクとユン・セリの禁じられた恋。
サスペンスは、リ・ジョンヒョクがあの手この手でユン・セリを南に帰そうとするも、ことごとく邪魔が入りなかなか帰れない。
さらに、無事帰りたいのは山々だけど、それはリ・ジョンヒョクとの別れも意味するので、「南に帰る=ハッピーエンド」なのかどうかもわからないまま、息つく暇もないスピーディーな展開にハラハラする。

そしてコメディは北朝鮮と韓国の、政治思想や文化の違いを逆手にとって笑いにした面白さ。
口の達者なユン・セリと北朝鮮の兵士(特にピョ・チス)との間で繰り広げられる口喧嘩は漫才のように面白い。

コメディによって南北の対立を無化し、争いどころかコミュニケーションが成り立ってしまう。
笑いってすごい力を持っているんですね。

笑ってしまうセリフの数々

私が笑ったのは、韓国ドラマ通の兵士、キム・ジュモクが「南朝鮮のドラマで記憶喪失になる人が多いのは、炭酸飲料の飲みすぎで病気だから」と言ったり、「資本主義はハートも節操がない」というセリフ。

ちなみに、「資本主義はハートも節操がない」というセリフは、「愛」を意味する「指ハート」のジェスチャーを、ユン・セリが第五中隊のメンバー全員に贈った際に、ピョ・チスが言ったセリフだ。
その前に、リ・ジョンヒョクはユン・セリから「指ハート」を贈られており、「指ハート」が一体何を意味するのか、兵士たちとさんざ議論し、どうやら「好き」という意味らしい、という結論に至ったばかりだった。

「指ハート」のジェスチャーを、てっきり自分だけに贈られた「好き」のサインだと思っていたリ・ジョンヒョクは凹み、さらに追い打ちをかけるようにピョ・チスに「あの女はリ・ジョンヒョク中隊長に下心があるのかと心配でしたが、誰にでも贈るのなら何の意味もないですね。資本主義はハートも節操がない」と言われてしまうというオチ。

「資本主義のハートめ!」

ところ変われば価値観も違う、という当たり前の事実

コカ・コーラやペプシ、アメリカの象徴とも言える炭酸飲料の飲みすぎで南には病気が多い、とか、資本主義はハートも節操がない、といったセリフは北朝鮮の思想教育に裏打ちされたセリフだが、炭酸飲料の飲みすぎは体が悪いのは事実だろうし、「好き」のサインはむやみに行うものではない、
という考え方があってもいいと思う。

南側(世界規模では圧倒的なマジョリティである資本主義国。もちろん私たちもこちら側)からすると古臭く時代遅れだが、思想や教育が異なれば、自分たちと違う意見が出ても当然のことだ。

逆に言うと私たちの価値観はリ・ジョンヒョクやピョ・チスには通じないだろうから、自分たちの価値観が世界中どこにでも通じるわけではないという
当たり前のことに気付かされる。

このような描き方は、男女対等の恋愛を描いた「『愛の不時着』らしい」描き方ではないだろうか。
男女関係が平等であるだけでなく、異なる思想を持ち対立している二つの国であっても、一人ひとりの人間関係においては対等である、ということが背景にあるように思う。
久しぶりに『愛の不時着』を見返して、そんなことを考えた。

『愛の不時着』について、他にも感じたこと

さて、初見からおよそ二年経ってからの『愛の不時着』振り返り。
思いのほか長くなってしまったので、別ページを設けました。
お読みいただけると嬉しいです。

画像引用
http://program.tving.com/tvn/cloy

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