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【愛の不時着】登場人物の中で誰と友達になりたいですか?

ヒョンビン&ソン・イェジンの結婚記念に振り返る『愛の不時着』。
今回は『愛の不時着』を語る上で欠かせない、このドラマを面白くしている脇役の皆さんを振り返ってみたい。

『愛の不時着』を面白くしている俳優たち

『愛の不時着』に登場する脇役の俳優たちは、「脇役」というには申し訳ないほど個性豊かで面白い。
第五中隊の兵士たちがいなかったらこんなに面白いドラマにならなかっただろうし、社宅村の奥さんたちが最終話までちゃんと登場しているのを見て、「良かった。皆さんお変わりなくやっていらっしゃるんだ」と思い嬉しかった。
あくまでリ・ジョンヒョクとユン・セリの恋愛が中心ではあるけれど、脇役が丁寧に描かれていて、まるで群像劇のような楽しさがある。

このドラマをきっかけに韓国ドラマを見始めると、他のドラマで不時着に出ていた俳優を見るにつけ、「『愛の不時着』に出ていたあの人だ!」と思って、いちいち嬉しくなる。

登場人物の中で友達になりたいのは誰?

個性豊かな『愛の不時着』の登場人物たちの話は尽きないが、突然ふと、もしなれるとしたら、彼らの中で誰と友達になりたいだろうかと考え、私の妄想が始まった。

私は第五中隊の兵士の一人、韓国ドラマファンのキム・ジュモクと友達になりたい。
なぜなら、彼と韓国ドラマの話で盛り上がりたいから。
キム・ジュモクは韓国ドラマの知識欲がすごいので、性別、国籍、年齢問わず、韓国ドラマの話題があれば誰とでも友達になれそうな気がする。

そもそも、北で最初にユン・セリと仲良くなったのはキム・ジュモクだった。
ユン・セリに南へ帰る方法「船渡し」を提案したり、リ・ジョンヒョクの家のキムチ倉を珍しがるユン・セリに中を見せてあげたり。
もともと気のいい奴なので、すぐに人と打ち解けるタイプなんじゃないかと思う。

キム・ジュモクの果たした役割

キム・ジュモクはリ・ジョンヒョクとユン・セリの関係が恋愛へと発展する過程で、大きな役割を果たしている。

北朝鮮と韓国、同じ言語を話す者同士といっても、政治体制も教育もまるで違う二つの国。
特にドラマが始まったばかりの頃は、ユン・セリと北の人々、いまひとつ話が通じないことがある中で、ドラマを通して韓国のカルチャーを知っているジュモクは通訳でもあり、潤滑油のような存在だった。

「危機を逃れるための南朝鮮式方法(隠れているのがバレそうになった時、男女が急に抱き着いたり口づけしたりする)」をリ・ジョンヒョクに教えたのは彼だし、「指ハート」の意味を教えたのも彼。
実際、キム・ジュモクの情報を参考に、巡視船に見つかり船底で危機を迎えたリ・ジョンヒョクは「危機を逃れるための南朝鮮式方法」を実行し、
見事成功する。

結果的に、ジュモクはリ・ジョンヒョクの恋愛アドバイザーのような側面もあるし、リ・ジョンヒョクとユン・セリの危機を救った恩人でもある。

韓国ドラマ通であることで人の役に立つことができたキム・ジュモクを見ていると、自分も同じ韓国ドラマファンの端くれとして、とても嬉しくなる。
私などはにわかファンに過ぎず、彼の足元にも及ばないけれど。

一番の大人であるキム・ジュモク

おそらくはラブロマンスを中心に見ているだけあって、彼は他の隊員たちより大人っぽい。
第14話で、ユン・セリが入院中に偶然、リ・ジョンヒョクとユン・セリのあわやラブシーンかと思われる光景を見てしまった隊員たち。
チョ・ピスは「ユン・セリが中隊長の服を脱がした」と怒り、パク・グァンボムは過激なシーンを見せてはいけないとクム・ウンドンの目を手で覆う。
隊員たちの性格がよく表れているシーンだが、キム・ジュモクは
「僕たちは席を外しましょうか?」
そうリ・ジョンヒョクとユン・セリに言う。
一瞬にして何が起こったのかを察した、ジュモクのさりげない気遣い。
さすがはラブロマンスを見ているだけあって、このような気遣いが出来てしまうのだ。

あの名シーンもジュモクが一役買っている?

最終話、リ・ジョンヒョクたちが北に送還されることになり、開城の軍事境界線でリ・ジョンヒョクとユン・セリが引き離される別れのシーンは、ドラマ史上に残る名シーンではないだろうか。

軍事境界線を境にして、リ・ジョンヒョクとユン・セリが抱き合い涙を流すシーン。
リ・ジョンヒョクの見送りにギリギリ間に合ったユン・セリだったが、手錠を掛けられている姿を見て驚き、走って駆け寄ろうとする。走るユン・セリの体調を心配し、一旦は北の軍事境界線を越えたリ・ジョンヒョクが軍隊を振り切り、南側に戻る。
その瞬間、北の軍人と南の国家情報院が銃を取り出し、一気に緊張が走る。
抱き合うリ・ジョンヒョクとユン・セリの背後では、銃を構えた北の軍人と南の国家情報院が睨み合っている。

このドラマが分断された二つの国を舞台にした悲しい恋の物語であることは十分わかっているはずなのに、なぜ二人が別れなければならないのか、二つの国は休戦中に過ぎず戦争はいまだ終わっていないという現実を改めて突きつけられる。

個人間では国家を超えて友情が生まれたり恋愛関係になることも可能なのに、国家間では戦争が起こり、お互いが敵でしかない状態になる。
そのような不条理が表現された見事なシーンだと思う。

この別れのシーンでリ・ジョンヒョクは「会いたくてたまらなくなったら、どうすればいいか」と尋ねるユン・セリに言う。
会いたいと心から願えば、会いたい人に会えると聞いただろう。きっと会える
このセリフが、キム・ジュモクの好きなドラマ『天国の階段』のセリフと重なる。
愛する人たちは再会できる。どんなに遠く離れても

このセリフをチェ・ジウとの昼食で再現したジュモク。
まるでこのシーンを予言したかのようなセリフだ。
悲しい別れのシーンで、ユン・セリに言葉をかけるとしたらこう言うしかないのでは、と思えるようなリ・ジョンヒョクの感動的なこのセリフ、実はキム・ジュモクがリ・ジョンヒョクに教えたのではないかと、私は妄想した。

余計なお世話かもしれないが、できることならキム・ジュモクが南に滞在中に趣味を同じくする女友達ができると良かった。
女友達、いや男でもよいですが、ジュモクは女子と気が合いそう。
(ジュモクは女子会に加わっても違和感なく、すぐに溶け込めそうな感じがする。)

ドラマに詳しい南の女性と知り合って、北に帰ってからも文通したりして。
韓国ドラマをこっそり見るより、文通(手紙で韓ドラ最新情報を教えてもらう)の方がリスクが少ないような気がしたが、そんなことはないか。
まあそこは、リ・ジョンヒョクの父あたりに便宜を図ってもらうなどして、上手いことやってもらえないだろうか。

キム・ジュモクが自由に、心置きなく韓国ドラマを見る日は来るのだろうか。
彼が現在の韓国ドラマを見たらどう思うだろう。
『天国の階段』が放送されてから、早二十年余り。より面白さが加速している現在の韓国ドラマに、彼が夢中にならないはずはない。

私たちがこんなにたくさんの韓国ドラマを見て楽しむことができるのに、キム・ジュモクがそれをできないことが申し訳なく思う。
北朝鮮と韓国が分断されなければ、こんなことにはならなかったのに。
朝鮮戦争と、それ以前の朝鮮半島の歴史、日本が戦争中に彼らの国に行ったことを考えると、胸が苦しくなる。
一日も早く、キム・ジュモクが心置きなく韓国ドラマを鑑賞できる日が来てほしい。

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