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【愛の不時着】 リ・ジョンヒョクの愛は尊い

ヒョンビン&ソン・イェジンの結婚記念に振り返る『愛の不時着』。
2年前に見たこのドラマを再び見て、不時着の面白さを再発見しています。

リ・ジョンヒョクのカッコよさ

『愛の不時着』を見て、まず感動したのはヒョンビン演じるリ・ジョンヒョクのカッコよさだった。
無口で勇敢、余計なことは言わず自分の意思は行動で表す。
嘘が付けず、不正を好まないので世渡りは下手。
彼の不器用さは、時には部下の兵士たちから心配されるほどだ。

こんな男性をドラマで描けたのは、北朝鮮というベールに包まれた国が舞台だからかもしれない。
職業軍人は韓国やアメリカにもいるが、韓国やアメリカが舞台なら、「こんな人は実際にはいない!」と思われるのではないか。
いくら堅物の軍人でも、もう少しポップに描かれると思う。

ただ、無口で男らしいヒーローなら、昔の映画にもたくさんいた。
ヒーローが寡黙であることが美徳だった時代があったので、ともすると昔ながらの古風なヒーロー像になってしまうところを、決してそうならなかったのは、リ・ジョンヒョクの我が身を犠牲にしてもユン・セリを守る利他的な愛があったからだと思う。

リ・ジョンヒョクの利他性

考えてみたら、真の愛情とは相手のことを思いやる気持ちが根本にあるはずだ。
リ・ジョンヒョクの愛情を表す、代表的な場面がある。

第9話、いよいよユン・セリが南に帰る段になり、彼女が無事帰国できるようリ・ジョンヒョクが安全な場所まで送って行く。
前半のクライマックス、この感動的な別れのシーンで、リ・ジョンヒョクはユン・セリに言う。
「男と会ってもいいし、何事もなかったように過ごしてもいい。その代わり、孤独にはなるな」
ユン・セリが自殺を考えた過去があることを知って、「死なないで無事に生きていてほしい」というメッセージ。
なんてシンプルで、力強いメッセージだろう。
さらに、
「そばにいなくても、君が寂しくないよう、いつも思ってる。いつまでも幸せでいてくれ。それが僕の願いだ」

リ・ジョンヒョクはこんな時も、自分より相手のことを心配し、思いやる。
もう二度と会えないという別れのシーンなのに、愛しているだの、寂しいだの言わず、愛する人に「幸せでいてほしい」と伝える。

↑そんなやり取りがあった後の、別れのシーン。名シーンの一つです。

ことによったら、リ・ジョンヒョクは困った人を助けたい、と思っただけかもしれない。
もちろん第一印象からユン・セリに好意は持っていただろうし、結果的には恋に落ちたものの、下手な下心などは持ち合わせていない。
これがリ・ジョンヒョク以外の人間なら「ユン・セリが美人だから助けたんでしょ?」と思われかねないのだが。

だがそこは利他的なリ・ジョンヒョクである。
もし自分のような美しくない女が北朝鮮に不時着した際にも、リ・ジョンヒョクなら見逃してくれるのではないかと妄想してしまう。
(できれば地雷を踏まないよう安全な道を案内してもらうか、地雷を撤去してほしいものだが、贅沢は言えないので自力で頑張るしかないですが)

菩薩に見えるリ・ジョンヒョク

リ・ジョンヒョクが南に行ってからも、彼の人柄を表すシーンがある。
頼まれてもいないのにデパートのドアマンを買って出たり、暴走する乳母車を全力で受け止めたり、重たい荷車を押す老婆を手伝ったり。
これらは、ドラマの本筋とは直接的には関係のないほっこりするシーンだが、とても大事なシーンではないだろうか。
リ・ジョンヒョクは、南にいてもどこにいても、リ・ジョンヒョクなのだ。
軍服を脱いでも、彼の尊さは変わらない。
いや、軍服というユニフォームを脱いで、一人の個人として行動する南での心優しい振舞は、より尊さが際立って見える。

一口に、心の清い人間と言うけれど、生き仏のようなリ・ジョンヒョク。
彼を見ていると、まるで菩薩を拝むような気持ちになる。

時としてリ・ジョンヒョクが菩薩に見える

人は心の清い人間を見ることで、自分のドス黒い腹が浄化されたように感じるのかもしれない。
そんなことではいけないんだが(ドス黒い腹を自ら清めず、清きリ・ジョンヒョクを求める身勝手な自分よ)、ドラマを見ている間だけは現実逃避できるのも事実。
『愛の不時着』は恋愛ドラマだけれども、リ・ジョンヒョクの相手を思いやる気持ちは愛の対象が何であれ、恋愛に限定されない普遍的な愛情を提示してくれた。

恋愛ドラマを普段あまり見ない方も、リ・ジョンヒョクの菩薩性に心打たれること間違いなしです。

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