見出し画像

『ちゃぶ台相談室』

すっかり開いてしまった... 実に 5ヶ月と3日ぶり....w

積もり積もった話もあって長くなるけど書いてみる。また頑張ります。


「アーティストって誰のこと?」

イラストレーターであってもなくてもその腕を磨くのは当然として、一方で「本当にそれだけでいいのか?」と葛藤し、この 2 〜 3 年の間、それはもうモヤモヤしている。

相変わらず「アート」「デザイン」「イラストレーション」は、アーティストとデザイナーとイラストレーターのもの、贔屓目に見てもそれプラス一部のオシャレ感度高めな人と(出版・広告業界の)仕事で関わる人たちのものでしかないなぁ.... と感じることがさらに増えた。

僕の仕事はクライアントワーク中心で「オーダーに応えた」絵を描いている(そりゃぁ好きな仕事ではあるが...)のだけれど、異業種の友人は平然と

「アーティストはやっぱ違うよね〜」

なんてことを口にする。敬意を込めて言ってくれているのは分かっている。その気持ちは素直にありがたい。それでもなんとも言えない違和感が... それが夫婦間であっても、である。

要は世間の 8割・9割 の人は残念ながらデザインに無関心、或いは生活に無関係ではないと知る機会すらないというか...(さらに掘るとその原因は日本の教育にあると思っている。それはまた別の機会に)


結果としての「他人ごと」感...

その原因のひとつにクリエイターの側が「クリエイターとばかり仲が良い」というのがあると僕は思う。たしかにイラストレーター同士の横のつながりや励まし合いは素晴らしい。お互いの活動に刺激を受ける。分かり合えるというのはとても心地が良いし、何より単純に楽しい。ただその結果、ますます同業者同士で集まるようになっていないか...?

飲み会でもギャラリーでの雑談でも度々「仕事ないっすよ〜」「昔はギャラも良かったのにな...」みたいな話を聞く。うっかり油断すると自分も言ってしまってたりする(※)のだが、その「よくある風景」に違和感を感じるようになった。

(※前者に限る。始めたのが遅く「ギャラが高かった」時代を一次情報としては知らない。どちらかと言えば、経験を積んだせいか個人的にはギャラについては「微増」。その上で常に心細い...)

そのへんを気にしないわけではないのだけど、もはや個人レベルでも発信でき、そもそも本も売れないCMも嫌われがちな昨今、そこをボヤく以前に、出版・広告界「だけ」から仕事を「もらう」スタンスでいることそれ自体に限界を感じるのだ。

やはりデザインはユーザーの生活にいい影響を及ぼして然り。「デザインの専門でない人」たちにまで必要とされて価値を持つものだと思うし、そうでなければ結局は仕事として失敗に当たると思う。

そこに思い至って以来、「やること」自体に大差はないが、「方向」を変える、或いは広げることを心がけるようになった。「デザインて何?必要なくね?」と思ってる人たちにどうやって届けていくかをもう少し考えるべきではないか...?


絶望的ですらある行政の...

そのとっかかりとして「地域」を意識してみる。予想通りかそれ以上か... まぁデザインが機能していない。

・せっかくの「内容は面白そうな」イベントのチラシ
・「ちゃんと市民に届けるべき」自治体の新情報、市報
・新しくできた店舗の看板

などなど... 数え上げたらキリがないが、見事なまでにダサイ....もしくは読みづらい... w 商工会や文化協会(仮にも「文化」を名乗る団体ですよね??)のサイトもなかなかのものでw、極め付けは市役所の「職員募集」のチラシの見出しに「創英角POP体」(→個人的にはこのフォントは撲滅したいと思ってる...笑)という惨状だ。

「声かけてさえくれりゃぁ全然やるのに...」東久留米は特にダサい感は否めないが、どこも少なからず抱えている問題らしい。

「地域の暮らしと仕事を編集する」?

そんな中で Teip の存在を知る。

多摩地域の課題や可能性を、クリエイター・コーディネーター・行政関係者や経営者を結び付け、それぞれの強みを活かして地域に還元できる事業に繋がる人材を育成しようという試み。

http://teip-school.tokyo/


【参加して欲しい人】
・自分の力を地域に活かしたくてモヤモヤしている人
・新しいプロジェクトを立ち上げたい人
・地域の魅力を発信したい人、地域の課題を解決したい人
・住んでいる地域にもっと関わりたいクリエイター
・クリエイティブな力を活かしたい経営者や会社員、自治体職員
・クリエイターと企業・行政をつなぐコーディネーター

ドンピシャじゃん(笑)! 見事なまでに一致する。

コロナ禍ゆえのオンライン講義(→縮小お手頃価格)というのも後押しとなり、即飛び込むことにした。投資に踏み切れない僕にしては珍しいことだ。


やがて「点」を「線」に?

ちょうど受講期間中、Teip とは別軸で、自宅近くにアトリエを持つことになった。仕事目的でレトロ好きとしては風呂なしの古いアパートが狙い目。


まず鍵からしてこのオーラ。この時点で物件に対する周りの人からの期待の声が聞こえ始めてきた。でも人を呼ぶにはちょっとボロすぎる...w

もともとあったレトログッズを配置+さらに強化するうちに「打ち合わせに来てもらうくらいはアリ?」と思い始め、趣味全開の空間に仕上げ、せっかくだからとSNS に張り切って公開した。

同時期、Teip school 終盤。あまりにも足りない、行政のデザインマインドの欠如ぶりに前々から業を煮やしていた僕は、

なぜ東久留米の行政デザインはここまでダサイのか?

というテーマに決めた。プレゼン自体は拙かったが、内容的には割と共感が多かったと思う。念のため言っておくと、制作者をディスりたいのではなく「餅は餅屋で信じて任せちゃえば、できることたくさんあるのにもったいないね〜...」的リアクションである。

その中で「素人のためのデザイン事務所」を作る、という目標を強引に設定してしまった。少しづつでも実行しかない。主なターゲットは、文字通り「デザインの必要性を感じたことのない 8割 〜 9割 の人たち」だ。

ただこの時点では、数年内に、ちゃんとテナント借りして看板を出して会社化するようなイメージだった。


勢いをもたらした「ちゃぶ台」

アトリエに話を戻す。当初は「個人の制作の場として」のみの予定でしか考えていなかった。ただどうやら「行ってみたい‼️」という声が多い...。そんな中、最後に欲しかった、破格でゲットした「ちゃぶ台」が届き、一気に空気感が完成に近づいた。もはや床の歪みすら武器になり得るかも?

ていうか誰かに見せたい!(笑)


行政と仕事をするなら会社化?みたいな常識に囚われて、勝手に進めようがないと思っていた。ただよく考えると、役所に合わせようとして形式に執われてるだけの話ぢゃね ...?

大事なのは行政と仕事をすることではなくて「誰の生活にもデザインが当たり前になる」こと。であれば別に役所の都合に合わせて体裁を整えるより、お茶でもしながらの「雑談」の方が素朴な疑問や率直な意見を引き出しやすくて断然建設的だ。その「敷居の低さ」はむしろ突破口になり得る!とさえ思えてきた。

とりあえず今ある、チープだけどきっと魅力的な環境で「えいっ!」と旗を立ててみることにした。


素人さんのためのデザイン相談室

本分はイラストレーションでもあるし、デザイン仕事を受けるのが目的ではない。料理も教われば最低限マズくないものは作れるように、デザインの D.I.Y. をちょっと推奨すればいいのだ。それで「お手上げ」となった時こそ我々の出番ではないか?「なんとなく」お願いされるよりも、お互い感謝しあえる発注になるはずだ。

まずは実験的に「市内在住」「市内勤務」の方に限定して門戸を開いてみる。「ちゃぶ台」を挟んだ雑談レベルで、レトロ空間でお茶を啜りながらのデザイントーク。

きっと「ちゃぶ台」の存在が、発信者・発注者の側に当事者意識をもたらしてくれるとの期待を込めて。


= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

Facebook にその「とっかかり」を書いたので詳しくは投稿で☆

https://www.facebook.com/photo/?fbid=3352024348215372&set=a.206558936095278


実はかつて、地元を愛する努力もせずに「十条が恋しい...」「西荻とか高円寺あたりに住めるようになるくらい売れてやる!」などと思っていた。その一方で、そんな親の思いなどおかまいなしに、生まれ育った街としっかり関係を築きながら勝手に育つ子供たちを見て「なんか違うな...」と感じるようになった。やはり自分の住む街を面白くするのはほかでもない「自分たち」なのだ。

そんな仲間を増やすための場所になるのなら、ボロアパートだからなんてのは関係ない。だって「来たい」と言ってくれる人がいるのだから。

将来的には東久留米の街が元気になり、市民生活にも心の豊かさが増すことを願っているし、そのためのデザインでなければならないと思う。

サポートいただけたらさらに嬉しいです。実製作も含めた更なる発信に活かしたいと思います。