noteまじメ日記(2)−白髪おかっぱ不二子/中間選挙−
某日。今日は何やら作業をしているようで、アパートメントの階段からドリルの轟音が聞こえていた。ここは3階。どうも壁に穴を開けているようなので、配管の破損修理だろうか。マンハッタンの建物は戦前のインフラ設備に手を入れながらだましだまし使っているところが多いゆえに、よくあることだ。
午後、いつしかドリル音はやんでいた。出かけようとドアの鍵を閉めていると、階下から何かをこするような音がしている。階段の手摺り越しに下を覗くと、白髪でおかっぱ頭の老婆がひとり、左官をしていた。壁面の穴をふさぐ作業をしているのだ。片手に壁材を持ち、もう片方の手でコテを持って、軽快なストロークで壁を作っていた。
声をかけ合ってすれ違うとき、満面の笑顔で私を見送ってくれた彼女は中国人らしかった。いったい誰なのか。ただの孤独なガテン系か、それとも壁の内側に財宝を隠しに来たルパン三世のおばあちゃんか、いやきっと峰不二子の現在の姿だったのかも。
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某日。選挙の結果を速報で見続ける、毎度同じこの石を噛むような気持ち。今からどうにもなりません。祈るというのも違う。すぐそこの未来と遠い未来がこっちを見ている。深夜まで青鬼軍団・民主党、対する赤鬼軍団・共和党の戦いは続き、翌朝またCNNを開くしかない。
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