上手くいかない企業のインスタグラムをパーパスベースドインスタグラムで立て直す
あるところに「フォロワーが増えない」ことを課題だとする化粧品メーカーAがありました。
過去半年の間、1日1投稿を行なってきましたがフォロワーは500人前後。
チーム内で色々と試行錯誤をしてきものの、目に見える変化はなく打つ手がなくなり悩んでいました。
「なぜ、フォロワーが増えないのか?」
チームで100回は繰り返し言葉にしてきた問いですが、いまだに答えは見つかりません。
このような状況のアカウントは少なくないのではないでしょうか?
実はフォロワーが増えない原因は、意外と単純です。
「フォロワーじゃない人に情報が届いていない」か「情報が届いた人にフォローしたいと思われていない」のどちらかかもしくは両方が原因です。
少しだけ、インスタグラムに寄せた言い方をすると、
・発見タブに乗っていない
・ハッシュタグ流入が少ない
・コンテンツに統一性がない
・プロフィールでフォローメリットを伝えられていない
・フィードで世界観が作れていない
というような説明になります。
ただ、これらのことをただ説明するだけでは伝わりづらいと思います。
ここからは実際の打ち合わせの様子を実況するようなかたちで、化粧品メーカーAの課題をお伝えしていきます。
化粧品メーカーとの打ち合わせ
私は化粧品メーカーAに対して、私なりの言葉でフォロワーが増えていない場合の原因を一通り説明をしました。
しかしながら、化粧品メーカーAの担当者は困惑したように言いました。
「今おっしゃっていただいたことは一応知識としては知っています。自分たちなりに改善もしてきました。それでも上手くいかないのです」
私は実際にアカウントを見せてもらいました。
プロフィールにはどのような情報を発信するかを、わかりやすく箇条書きで書いてあります。
フィードのデザインもしっかりと揃えられていて、統一性もあります。
狙いたいマーケットに向けてハッシュタグも付けられています。
しかしながら、コンテンツの内容があまりにも平凡で当たり前のことにしか触れておらず、お世辞にも多くの人が読みたいと思う情報になっていませんでした。
「コンテンツは誰が作成しているのですか?」
その問いに少し申し訳なさそうに担当者は答えました。
「コンテンツは美容ライターにお願いしています。ただ、どうしても薬機法の観点から会社に厳しく言われていて、内容に制限があるのです」
私は立て続けに質問をしていきます。
「ちなみに商品情報が一切出ていないみたいですが、商品については発信しないのですか?」
担当者は少し考えてから言いました。
「フォロワーが1万人いくまでは自分たちの商品は掲載せずに運用していこうと考えています。それまでは美容に関する情報を発信して、見込み客に一人でも多くリーチできるようにしたいです」
私はそれを聞いて、間をおかずに尋ねました。
「御社のインスタグラム運用の目的を教えてもらえますか?」
この質問には考える様子もなく、簡潔に答えました。
「売上を上げるためです」
私はここにまで聞いて、このメーカーがいくつもの間違いを犯していることに気がつきました。
ボタンを最初に掛け違えたばかりでなく、その後も何度かボタンを掛け違えることで、取り返しのつかない事態になってしまっていたのです。
本人は「フォロワーが増えない」ことがアカウント課題だとし、アカウントの目的は「売上」だと答えました。
また、フォロワーが増えないの原因について検討を行い、対策はしているとも話してくれました。
しかしながら、そもそもの考え方、戦略、施策内容全てが間違っています。
化粧品メーカーAのアカウントは何が良くなかったのか?
今回、化粧品メーカーAの例について取り上げましたが、実はこのような状態にあるアカウントは少なくありません。
つまり、化粧品メーカーAは特別な事例ではないということです。
化粧品メーカーAの失敗の原因を一言で言い表すのであれば、「短期的な数字獲得を考えるがあまり、逆に遠回りすぎる方法を選んでしまっている」ということでしょう。
順を追ってみていきましょう。
彼らは「売上を作る」が目標であるにもかからわず、フォロワー数を追いかけました。
ここがまず最初のボタンの掛け違いです。
実はフォロワー数と売上は、相関関係があまりありません。
むしろ口コミ数と売上の方がより密接に相関関係があることがわかっています。
(インスタグラム運用がどのように売上に繋がるかは別の章で話しますので、ここでは詳しく触れません。)
また、彼らは「フォロワーが1万人超えて、多くにリーチできるようになったら商品情報を発信する」と話をしています。
これも良くないボタンの掛け違いです。
例えば「キレイになるためのノウハウ」を発信して、1万人フォロワーを達成したとします。
・お白湯を飲めばキレイになれる
・洗顔は顔を擦らずにしよう
・肌に良い食べ物10選
などのようなノウハウ情報のようなイメージです。
このアカウントのフォロワーの1万人は「美容に役立つ有益な情報が手に入る」という点にメリットを感じてフォローをしてくれたわけです。
「お役立ち発信メディア」が商品を売り出すのは、人気インスタグラマーが商品を売り出すのとまるで訳が違います。
おそらく化粧品メーカーAはこの違いを理解できていません。
端的に言うと、「役立ち情報」を条件にして繋がったフォロワーに商品情報を発信しても反応が生まれない可能性が高いです。
「その人自身への興味」で繋がった人は、「その人」が販売する商品に対して興味を抱く可能性が高いです。
一方、「情報への興味」で繋がった人は、「情報を発信する人」にそもそも興味がありませんので、「情報を発信する人」が商品を販売しても興味はありません。
もちろん、販売する商品が何らかの技術革新や圧倒的コストパフォーマンスを実現していれば、フォロワーの反応を得られる可能性があります。
しかし、そのような状況を加味したとしても、1万人フォロワーに育ててから情報を発信するのは効率が悪すぎます。
1万人のアカウントで発信する投稿の平均リーチが5,000だとしましょう。
(よほどのアカウントでない限り、フォロワー全員にリーチすることはありません)
そうすると、1万人達成したアカウントで商品の情報を発信しても届くのは5,000人。
月4回商品情報の投稿したとしても、20,000人のリーチです。
しかも、半分は同じ人のリーチです。
SNS広告をすれば、1リーチ1円での運用は十分に可能です。
つまり、月50,000円広告をかければ1万人のアカウントで4回発信するよりも多くの人に商品情報をリーチすることが可能です。
しかも広告は自在にターゲティングを変えることが可能です。
1万人フォロワー獲得までに1年の時間をかけると仮定した場合、そこに至るまでのコストも加味しないといけません。
「売上を上げる」という目的達成を考えると、どちらの方が効率的かは明らかです。
また、「美容に関する情報を発信してフォロワーを増やす」という戦略もボタンの掛け違いです。
基本的にInstgaramのメディアでは「主観」と「価値観」をベースに作らないといけません。
主観とは、「私はこう思う!」という「自分の意見」です。
つまり商品を使ってみての率直な個人的感想などがそれに当たります。
価値観とは、「ある物事に対する個人的意見」です。
例えば、「化粧品は新しいものを使いまわした方が人生楽しい」という発信がそれに当たります。
この「主観」と「価値観」は個人が主体となるアカウントの方がデザインしやすいです。そのため、インスタグラムでは基本的に個人アカウントの方が比較的数字が伸びやすいです。
しかし、企業だからこそ強みを出せる方法もあります。
それは、「企業が独自に持つリソースを使う」という方法です。
例えば、NASA(@nasa)は自分たちで撮影した写真を用いて宇宙の壮大さを発信しています。NASAだからできる独自のコンテンツと言えるでしょう。
一方、化粧品メーカーAのアカウントは個人でも発信できるレベルの情報を、「主観」も「価値観」も抜いた状態で発信をしています。
企業だからこその強みもなければ、インスタグラムで何が求められているかの理解もありません。
残念ながら、これでは話にならないのです。
目的に対して取るべく戦術も間違っていれば、コンテンツの作り方もスタートラインに立っていない。
自覚していないだけで、このような段階の企業アカウントは山のようにあります。
化粧品メーカーAのアカウントを立て直す
さて、ここまで化粧品メーカーAのアカウントにおける課題について言及していきました。
ここからは、アカウントを具体的に立て直していきたいと思います。
今回の場合は、「そもそも何でインスタグラムをやるんだっけ?」という点を握る必要があります。
「理想の顧客にリーチして商品購入につなげる」
ということだけが目的であれば、広告をやれば良いわけです。
「なぜ、わざわざインスタグラムを運用するのか?」
この問いにチーム全体が納得する「答え」を考えておくことが重要です。
「売上をつくる」というのが最終目的あることはどの企業も同じです。
大事なことは「売上を作るために必要」かつ「インスタグラムでしかできないこと」の言語化です。
今回は顧客と直接対話していくことはできないため、私の方で実際の言語化を進めていきます。
化粧品メーカーAのインスタをやる目的を言語化して、施策に落とし込む
化粧品メーカーAの「何でインスタグラムをやるのか?」について、以下の目的を定義しました。
①「価値観」と「スタイル」を軸に新規顧客を集客
②「何」が「誰」にとって価値であるかを表現する
③理想の価値を伝える口コミを生み出す
それぞれ簡単に説明をしていきます。
①「価値観」と「スタイル」を軸に新規顧客を集客
インスタグラムの利用者は「自分の価値観やスタイルと合ったモノ・コトの出会い」を求めています。
「この人の感じ、なんだか私に合っているかも」
多くの人がハッシュタグや好きなアカウントを辿り、言語化しづらい感覚知を頼りに繋がりを作っていきます。
・グレージュのナチュラルな家具家電
・韓国コスメ
・モノを持たないライフスタイル
彼ら彼女らはこのような「インスタトレンド」を目印にして、自分のスタイルに合った新しい価値を探しています。
この「インスタトレンド」を捉えた「価値観」や「スタイル」を作っていくことができれば、人々のスマホの中にあなたの事業のサービスをレコメンドさせることができます。
改めての「価値観」と「スタイル」について簡単に触れておきます。
「価値観」は、「ある物事に対する個人的な考え方」です。
例えば、「メイク(=ある物事)はナチュラルな方が良い(=個人的な考え)」と発信することは価値観の発信になります。
「価値観の発信」は上手くいけば共感者の集客につながり、新規顧客の出逢いを生み出します。
どのような価値観発信が「より多くの共感者」の集客に繋がるかはトレンド、マーケット、クリエイティブなどいくつかの要素によって決まってきます。
次に「スタイル」です。
インスタグラムでいうスタイルは「フィード」です。
広告で商品を知った人、口コミで見た人、公式の発信を見た人が「ブランドに対する印象を決定づける場所」です。
「なんか好きかも」が生まれるかどうかの最終判断の要素となります。
当然、スタイルにもトレンドがあります。
多くの人が求めるニーズと合致させることできれば、多くの人に出会えるチャンスが生まれます。
フィードは企業が発信した商品写真やコンテンツが時間をかけて積み重なった「一貫性」そのものです。
理想とするスタイルを上手く表現できれば、高い信頼性を獲得できます。
ただ、スタイルは一朝一夕で作れるものではありません。
一見、フィードを全て設計して計画通りに作っていけばスタイルが作れそうな気もしますが、それができるのは顧客が好むスタイルを100%言語化できているブランドのみです。
新たな顧客と出会い、価値創造していく道半ばのブランドの場合はそう簡単にいきません。トライアンドエラーを重ねながら、地道にスタイルを作っていく必要があります。
スタイルを作る上で大事なのは「チームで理想の共通認識を持つこと」です。
「こんな感じのフィードが私たちのブランドの理想だよね」ということを話し合い、チームで合意を取っておくことはクリエイティブの判断レベルを上げるのに多いに役立ちます。
理想(=ビジョン)が鮮明であればあるほど、スタイルに合わないビジュアルやデザインを事前に排除することができるからです。
「これは投稿すべきでない」というこだわりのある批判をどれだけ行えるかが、スタイルのクオリティを左右するのは間違いありません。
② 「何」が「誰」にとって価値であるかを表現する
「価値」というのは人によって異なります。
ある人にとっては100万円でも欲しい商品が、ある人には無料(タダ)でも欲しくない商品になったりします。
「価値」とは固定されたものではなく、受け手によって流動的に変わるものです。
どれだけ魅力的に価値を表現できても、受け手を見失ってはせっかく作り上げた価値も台無しになってしまう可能性があります。
そのため、自分たちの商品は「誰」にとって「何」が価値になるかを、あらゆる角度から考えていくことが重要です。
また、価値は競合をはじめとする周囲の環境に大きく影響を受けることは抑えておかなければいけません。
例えば、地域で1件しかないコーヒーショップがあったとします。
1杯200円で淹れたての美味しいコーヒーが飲めると評判になり、駅に近いこともあってテイクアウトの売上が好調でした。
通勤途中や帰宅途中の方に「安くて美味しいコーヒー」という価値をしっかりと提供している状況です。
ただ、嬉しくないことに「セブンイレブン」が近くに出店してきました。
セブンイレブンは1杯110円で非常に美味しいコーヒーを出します。
「安くて美味しいから」という理由でコーヒーショップを選んでいた人は、もはやコーヒーショップの出すテイクアウトのコーヒーに価値を感じなくなったのです。
いままでは「安くて美味しいコーヒーが、通勤途中のサラリーマンにとって価値である」という状況でした。
しかし、セブンイレブンが目の前にできた今、その価値は雲散霧消してしまいました。
このように競合の存在一つで価値がコロっと変わってしまうことがあります。
このような状況において、「誰に何が価値であるか?」を見直すことは効果的です。
今回は「通勤途中の人(=誰)に安くて美味しいコーヒー(=何)を提供する」という価値を、「平日家にいる主婦(=誰)に日常の中の非日常空間(=何)を提供する」という価値に変更することに決めました。
テイクアウトが主だったため、あまり使われていなかった店内を軽くリノベーションしてオシャレな空間に演出。
また、平日に店内で注文すると2杯目が無料になるサービスと10杯飲めば1杯無料になるコーヒーチケットを始めました。
このように「誰に何を価値とするか?」を周囲の環境に合わせてデザインしていくことことは新たな顧客との出会いに繋がります。
今回はわかりやすいようにコーヒーショップを例にして話しましたが、インスタグラムにおいても考え方は同じです。
しかしながら、インターネット上は競合の存在も見えにくく、お客さんの流れも可視化されなければ、表現の方法も難しいです。
それでも、「誰に何が価値であるか?」を軸において考え続ければ必ず光が見えてくる瞬間があるはずです。
その瞬間を見逃さずに集中して臨んでいきましょう。
③理想の価値を伝える口コミを生み出す
現代のビジネスシーンにおいて、口コミが重要であることはもはや説明不要でしょう。
「口コミ」は広告で意識的に作ることはできません。
口コミ施策は、インスタグラム運用だからこそできる非常に重要な施策だと言えるでしょう。
通常、インスタグラムで口コミが生まれるまでには以下のステップを必要とします。
【口コミが生まれるまでのステップ】
1. 商品を認知してもらう
2. 商品に興味を持ってもらう
3. 商品を実際に購入してもらう
4. 商品に満足してもらう
5. 商品情報を人に伝えたいと思ってもらう
6. 商品情報をアカウントで発信する
それぞれのステップを超えるために企業はあれやこれやの方法を考えて試行錯誤します。
しかしながら、実際は上記のステップでは足りません。
企業が欲しいのは「ただの口コミ」ではなく、多くの人にリーチして新しいニーズを喚起する「良質な口コミ」だからです。
良質な口コミを生み出すとなると、一気に必要なステップが増えます。
【良質な口コミが生まれるまでのステップ】
1. 商品を認知してもらう
2. 商品に興味を持ってもらう
3. 商品を実際に購入してもらう
4. 商品に満足してもらう
5. 商品情報を人に伝えたいと思ってもらう
6. 商品情報をアカウントで発信する
7. アカウントが公開アカウントである
8. 商品価値を魅力的に伝えるクリエイティブである
9. 投稿が多くの人にリーチする
10. リーチした人が商品に価値を感じる顧客層である
いかがでしょう?
このように実際に書き出してみると、良質な口コミを生み出すハードルが非常に高く感じます。
しかしながら、やるべきことを「しっかり」とやれば口コミは意識的に増やすことが可能です。
多くの企業は、「自分たちの商品はこのような人にニーズがあるはずだ」という仮説を立てて、広告を配信したりプロモーションを行います。
これらの施策はステップでいうと、1〜3をクリアするための手段とも言えるでしょう。
1. 商品を認知してもらう
2. 商品に興味を持ってもらう
3. 商品を実際に購入してもらう
しかしながら、このステップは最もお金がかかる部分です。
ここのステップを乗り越えるためにこそ口コミが欲しいのに、このステップを超えないと口コミを生み出せない。
そのような悩みに頭を抱えている企業は少なくないと思います。
そんな時に役に立つのが「ギフティング」です。
ギフティングとは、「口コミをしてほしい理想の顧客」に対価としてのお金をもらわず、先に商品を提供することで口コミを生み出すという施策です。
「この商品の良さを伝えたい」という思いを抱いてもらうことで良質な口コミを生み出し、商品の認知を拡大させることが目的です。
「商品を無料で上げる代わりに、商品の口コミを投稿してもらう」
このように書いてしまえば簡単ですが、ギフティングは非常に奥が深いです。
いまやアカウントによる商品紹介は日常茶飯事。
SNSで口コミ投稿を見るフォロワーの目も肥えてきています。
いかに口コミであっても「商品に価値を感じない人」の投稿はほとんど効果はありません。
熱がこもっていない投稿は目の肥えたフォロワーから一瞬で見抜かれてしまうからです。
それだけであればまだ良いですが、下手なギフティングは場合によってはマイナスな結果になることも。
実際に「ギフティングによってできてしまった口コミがブランドの理想とかけ離れているので、どうにかして消せないだろうか」という相談を受けたこともあります。
口コミ投稿はアーカイブで残り続けるので、特にインスタグラムにおいて「口コミの見た目」は重要な要素です。
ブランドとして体現したい口コミになってるか?
商品の価値を伝えてくれる口コミになってるか?
こちらからの働きかけで生み出す口コミだからこそ、理念と設計が重要な要素になってきます。
また「自分のコンセプトと合わない商品は投稿しない」というクリエイターは増えています。
特にフォロワーの多い一流クリエイターになればなるほど、その傾向は顕著になります。
だからこそ、自分たちのブランドは誰のためのものなのかをわかりやすく発信していくことが重要です。
理想の顧客の共感を作れれば、きっと良質な口コミは生まれてくるはずです。
パーパスベースドインスタグラムで組み立てを行う
では、ここからは実際にパーパスベースドインスタグラムで組み立てを行っていきます。
今回、化粧品メーカーAのパーパスは「かわいいを卒業する」とします。
化粧品メーカーAは「大人っぽいメイク」というのをブランドテーマに抱えています。
そこで、「メイクで大人っぽくなれば、今よりも素敵な女性になれる」という価値観を発信し、共感者に向けて情報を発信することに決めました。
価値観の発信は色んなやり方があり、正解はありません。
アカウントの状況や顧客との関係性を鑑みながら、方法を決める必要があります。
化粧品メーカーAはフォロワーがまだまだ少ないです。
価値観をどれだけおしゃれに発信したところで誰も見てくれません。
そのため、「コンテンツ」に価値観を織り交ぜる必要がありそうです。
コンテンツとは「商品に興味がない人でもついつい見ちゃう」というものです。
上手くいけば、新たなフォロワーとの出会いに繋がる可能性もあります。
今回は「リール」でコンテンツを作ります。
内容としては以下のようなイメージです。
①「大人っぽい」に憧れる20代の女性が登場
②化粧品メーカーAの商品でメイクアップ
③大人っぽくなってもらって、BeforeとAfterで比較
④音楽や効果で「After」にフューチャーして大人っぽさを肯定
上記のステップを60秒でまとめることで、一つのコンテンツにします。
この内容であれば、登場するクリエイターを変えることで継続してコンテンツを作り続けることが可能です。
取材対象者はハッシュタグ、公式アカウントのフォロワー、いいねをしてくれた人などから探して声をかけます。
承諾してもらったクリエイターには動画を納品してもらい、こちらで投稿よう素材として編集をします。
また、編集した動画をクリエイターの発信用の動画としてお返しすることで、クリエイターのコンテンツとしても2次利用してもらいます。
企業がいくら「この商品は価値がある」と叫んでも誰も聞いてくれない時代です。
公式アカウントだけではなく、必ず口コミ施策の設計を考えていかなければいけません。
このように公式アカウントだけでなく口コミ含めて「メイクで大人っぽくなれば、今よりも素敵な女性になれる」という価値観を発信をしていくことで、このブランドが誰のためのものかを表現していきます。
以上が「価値観の発信」です。
価値観の発信で大事なことは、「誰にも伝わらないポエム」にならないことです。
十分に共感者がいるアカウントであれば、「私たちはこのような考えである」と伝えるだけで反応が生まれます。
しかし、そのような関係性を築けていないアカウントは、コンテンツや口コミに価値観を組み込むことが必要です。
(少なくないアカウントがこのフェーズだと思います)
次に「スタイル」を作っていきます。
化粧品メーカーAは、「大人っぽくなりたい人が欲しいと思うブランド」を目指しています。
そのため、フィードでは「憧れる大人っぽさ」をぱっと見で伝わるようにしていく必要があります。
当然のことながら、商品画像だけではそれが伝わりません。(商品が誰のためのものであるかの共通認識が多くの人の頭の中にある場合は、商品情報だけで伝わる場合もあります)
いくつか方法論がありますが、今回は「理想とする顧客にアカウントに登場してもらう」という方法をとります。
つまり化粧品メーカーAの商品を使って「かわいいを卒業できた女性」にフィードへ登場してもらうということです。
理想のイメージはこのような感じです。
このように「理想オブ理想」の方(ほとんどはモデル)を撮影することができれば表現力は確実に上がります。
しかし、当然コストもかかります。
もしもコストがかけられるならこのレベルの素材が理想ですが、今回はそのようなコストはかけられません。
そのため、「価値観の発信」てお伝えしたリールコンテンツの「カバー写真」で、できる限り表現することに決めました。
限られた予算内で最もコスパの良い方法を見出すことは、インスタグラムの運営において必要不可欠なクリエイティブです。
以上がパーパスベースドインスタグラムで再設計した化粧品メーカーAの戦略です。
簡単に始められて、誰もがやっているがゆえにインスタグラムの戦略は大雑把に考えられがちです。
しかしながら、押さえるべき点を押さえていけば必ず自分たちのブランドに合った戦略が見つかるはずです。
サポートいただけましたら、活動費として使わせていただきます。