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セカンドデートはアンダルシアで~2023年初夏

アンダルシアの夏が本気を出している。
その証拠に、42度などという数字が6月下旬に出てしまった。


2022年夏、初デート振り返り

あれは昨年夏のこと。
noteで仲良くして頂いている方とお会いした。
のりまきさんポン子さんだ。

どきどきファーストデートの顛末については、以下にまとめてある。

そんな運命のファーストデートの相手のお1人、のりまきさんがこの度アンダルシアにいらっしゃることになった。

のりまきさんといえば、「世界多分一周旅」の真っ最中。
アンダルシアにも行きますとお声がけ頂いていた通り、私の住んでいる町に来てくださることになった。

このnoteを書くにあたり、ファーストデートの記事を読み直した。当時私はnoteで目次設定ができなかった。もうすぐ1年経つ2023年の今もまだできていないことに気が付いた。このnoteもきっと目次設定はできない。目次にしようとした部分は、おそらくただの大見出しになっているだけだ。そんなこのnoteも温かい目でお読みください。

デート準備

前回は中二男子の心持ちで挑んだ初デートだったが、今回は2回目。私の方でも少しは心の余裕が持てるだろうか。少なくとも高二男子ぐらいには。

さて、アンダルシア田舎といえども結構広い。
私たちの住んでいる町を案内するのはもちろんだが、それだけだとすぐに終わってしまいそうだ。どこを案内しようか。

「てんやわんやさんたちの日常生活が見てみたいです」

そんな優しいメッセージを頂き、ますます恐縮する。

3日間ぐらい来てくださるという。
セカンドデートで3日間。
どきどきの数値がかなりのものになりそうだ。

夫に話したら、手帳に予定を書き込んでいる。
今回も、誘われているいない関係なく自分からの参加型らしい。
アンダルシアの地図を眺めて、どの山がいいかと考えている。

お天気次第ではあるが、次のようなプランが出来上がった。
・1日目夜:ご挨拶
・2日日:アンダルシア田舎ご案内
・3日日:どこかの山を散策

アンダルシアの山


セカンドデート始まる


1日目、私は夜9時まで仕事だった。
のりまきさんは夕方までに到着されると聞いていたので、
仕事が終わった後にご挨拶させて頂くことになった。

これに先立ち、フランスから小さな荷物が届いていた。

仕事終わりに待ち合わせ場所に夫と向かう。
お預かりしていた荷物も持って行こう。


「あ、あれです!青い洋服の方です!」

夫が手を振っている。

私にはまだはっきり見えないが、どうも青色っぽい服の人がこちらに向かって両手を振っているのがわかる。あれが、のりまきさんか!


1年前に初めてお会いしたのりまきさんが私の住むアンダルシア田舎にいらっしゃる。その状況に感動し、いまや高二男子の私はちゃっかりとハグをしてしまった。
まず驚いたのは、カミノ・デ・サンティアゴを数日前に終えられたばかりとは思えないさわやかさ。カミノ・デ・サンティアゴは、やはりそれほどまでに特別なものなのだろうか。いや、きっと、のりまきさんご自身の魅力が爆発しているのだろう。目はきらきらと輝き、実に生き生きとしていらっしゃる。青いワンピースがとてもよくお似合いだ。
それにひきかえ、コンビニに行くようなよくわからない恰好と、日本にもうすぐ帰るからと散髪を我慢しているために伸び切った髪をひっ詰めただけの私は、早くも後悔していた。もう少しお洒落をしてくるんだった。本物の高二男子だったら、こういうところにはもっと気をつけているはずだから。


私がそんなことを考えている間、夫は早くものりまきさん相手に冗談を浴びせている。2回目なので大分慣れているのだろうが、それにしてもこの人は一体どうしたものだろうか。

この日はご挨拶だけとさせて頂き、翌日からの本格的なデートに備えることにした。

アンダルシア日和


アンダルシア田舎ご案内


朝は自宅前の広場で朝食となった。

顔なじみのバルにご案内する。
椅子に座ろうと思ったら、ピソの下の階に住んでいるペピがご主人とコーヒーを飲んでいるのが見えた。
おはようと言うと、こっちにやってきてくれた。

「のりまきさんです」

「ペピです」

「ペピ」と聞いた瞬間、私のnoteを読んでくださっているのりまきさんはにやりとした。

スペインを楽しんで行ってね!とペピが言う。
今日もロングスカートが決まっている。

さて、朝ご飯。
のりまきさんはオレンジジュースをご所望だ。

「オレンジジュース、搾りたてはありますか?」

もちろんよ!とお姉さんがウインクをしてくれる。
いつものパンと生ハムも頼んだ。

このお店では、パンを頼むとシンプルな白いお皿で出てくる。
この日は、いかにもアンダルシアでしょ?とでも言いたそうなお皿にパンがのって出てきた。
もしかすると、お店の方でも海外からのお客さんにちょっといいところを見せようとしてくれたのだろうか。ありがとう、お姉さん。

まわりを見渡すと、隣の部屋のパコの娘さん家族が近くのテーブルにいた。
早くもご近所さん大集合の朝ご飯だった。

今日は土曜日。
土曜日のアンダルシア田舎は、午前中しか機能しない。
スーパーは午後も開いているが、市場やワイナリーやロバは午前中で閉まってしまう。

「暑くなるから、朝ご飯を早めに食べて、市場やロバのところに案内しないとですよね!」

そんなことを言っていた夫が一番しゃべっている。
午前中に全部をまわるのはとても無理だ。

散歩をしながら、地元の教会や以前住んでいた場所をご案内する。

途中、ワイナリーにも寄った。
いつ行っても寡黙なおじさんは、今日も寡黙だったが、のりまきさんにいくつか試飲をさせてくれた。おいしい、おいしいとのりまきさんが何度もおっしゃっていたので、おじさんもハッピー、私たちもよかったなあと思った。

ワイナリーを出た後は、市場へと急いだ。
ペペのところにご案内したかったが、実は最近ペペのお店に行っていないため、少し気まずい。なぜ行っていなかったのかというと、ペペが退職した後は弟さんが1人でお店を切り盛りしており、そのせいか、野菜を購入するまでに1時間以上かかることが珍しくないからだ。5人ぐらいしか待っていないのだが、1時間以上かかる。そのため、よほど時間があるときにしか行けなくなっていた。

神田明神のお守りを見て頂くため、のりまきさんにはお一人でペペのスタンドに行ってもらうことにした。ちょっとしたミッションだ。

「私、日本から来ました。何これ?」

と言ってもらうことにした。


後から聞いたところによると、のりまきさんは弟さんに何かを話し、弟さんものりまきさんに何かを話し、ほかのお客さんも何かを話したようだった。

お守りは無事だった。
弟さんも元気でよかった!

野菜と果物を購入した後は、豚肉を買いに行く。
顔なじみのお肉屋さんは、私がこないだ失敗した料理のことを覚えていた。
君やっぱりあの作り方ではあかんぞ、とダメ出しをしている。

今日は何を作るんやと言うので、Carrillada(カリジャダ:豚の頬肉のワイン煮込み)だというと、よしよし、いいぞ!と言わんばかりにうなずいている。
スパイス入れたりいらんことするなよ、何も入れずに肉から出る出汁を信じることやぞと繰り返し教えてくれるお肉屋さんに、今日料理をするのは夫なのだがと思いながらも笑顔でうなずいておいた。

その後、ロバのところに行きたかったのだが、朝から飛ばしすぎだ。
もうお昼近くになる。
本来であればスーパーにもお連れするところだったが、我が家でひとまず休憩することにした。

お茶とともに、しばしくつろいでいただく。

基本的に夫がキッチンにいるときは、私は立ち入り禁止となる。
そのため、のりまきさんと私はリビングでスナックをつまみながら話をした。いつの間にか話題はお互いの子どもの頃のこと、学生時代のこと、家族のことに移り、恋愛のこと、ポン子さんの魅力、ポン子さんのおもしろさも含めて、とにかくたくさんの話をした。おばあちゃん子の私たちは、おばあちゃんのすごさについても語り合った。

昼食は、屋上で食べることにした。
以前、ペピと取り合いをした洗濯物干しロープの近くでテーブルを囲む。

「天才!」

カリジャダを食べたのりまきさんが叫ぶ。

私も一口食べて、おいしい!と声が出た。
ガスパチョもお酢とオリーブオイルがちょうどいいバランスだ。
パンもワインも進む(私は麦茶)。

デザートに抹茶アイスクリーム(これも夫作だった)を食べ、お腹もいっぱいになった。

何度もおいしいと言ってもらって、夫は大層嬉しかったと思う。
翌日、一枚の紙きれをのりまきさんに渡していたから。

シェフのクッキンクサービス料:五百万円
「クッキンク」になっているところが夫らしい。


夕方、車で町を一周する。

「思ったより大きい町ですね」

最初こそそうおっしゃっていたのりまきさんだったが、車でまわり始めるとこの町の正体に気付いてくださったようだった。

「あれ?これさっき出てきたところ。あれ?、ここさっきも通った。ああ、ここがこうなっているのか。確かに町の中心はあそこだけか」

初日にして、町の地図を頭に入れてくださったようだ。

だめもとで、ロバも見に行った。
しかし、やはり午後はいらっしゃらない!

せめて広場を一周しようと思ったら、敷地の反対側にある建物の中にロバが数頭いるのが見えた。

皆さん!
午後はここにいらっしゃるんですか!!

柵の中はほとんど見えないが、のりまきさんがご満足そうだったのでよかった。次回はにんじん投げに挑戦していただきたい。

そんなこんなで、アンダルシア田舎での一日があっという間に過ぎて行った。

山へ!

翌日、白い村が見たいというのりまきさんのご希望と、スモモが欲しいいう夫の希望を叶えるべく、山に向かうことにした。相変わらず荷物が多い私たちを見て、のりまきさんが笑う。

道中、のりまきさんが後部座席からいろいろな話をしてくださった。
学生時代の話、ポン子さんのびっくりするような話、ポン子さんの世界デビューの話、のりまきさんのお友達の話など、それはそれはたくさん。それはとっても嬉しいことだなあと思った。

山道に入る。
夫はトイレに行きたい。
私は山道が苦手だ。
一度車を降りて、皆で景色を楽しむことにした。

既に暑い
岩山を見ると、エルサレムを思い出す。
しかし、アンダルシア田舎は緑がもっと多いからやっぱり違う。


もうすぐ目当ての村に着くだろうかと思っていたら、交通整理の男性が立っているのが見えた。

「今日はどこまで?」

「この先の村に行く予定です」

まだのぼる


この村を訪ねた


「だめだよ。今日は牛が来るから道が規制されてる」

「牛?」

「そうそう、牛追いだよ」

理解が追い付かない。
牛追い祭といえば、パンプローナだ。

おじさんの話は本当だった!

にわかには信じがたかったが、これ以上は進めないとおじさんがいうので予定を急遽変更した。

車を近くに停めて、歩きだす。

今度は私がトイレに行きたくなった。
炎天の空、通りはとても静かだ。
日曜日だからだろうか。
人が歩いていない。

そのとき、村の人たちがやってきた。

バルはどこでしょうかと聞く私に、彼らはえーっとと困ったような顔をする。

聞けば、今から牛追いがあるという。
牛追いの間はお店も閉まる。
それより、危ないから気を付けたほうがい。
巨大な牛がやってくるからね。

まだ頭が追い付かない。

もう少し歩くと、ちょっとした人だかりが見えた。

この柵の中に入ると危険だと言われた。


これは、『水曜どうでしょう』みたいな展開になるのだろうか。

夫は赤い帽子をかぶっていたため、村の人たちが大笑いしている。

「そんな赤いものをかぶっていたら、牛に追いかけてくれと言っているようなものじゃないか!」

慌てて帽子をとる夫。

柵の外で牛を待つ。
二階によじのぼっている人たちの姿も見える。
あ、牛が来たか!?
牛の登場

牛が来た。

牛がいる。


牛をけしかける人たち。
あえて赤を着ている人もいる。

確かに牛を見た。

思ったより長い間、牛は止まっていた。
牛もどう反応していいかわからなかったようだ。

正確には、牛を追いかける村人たちを見たと言った方がいいだろうか。
このようにして、何頭かの牛がやってくるようだった。

20分ぐらいその場にいただろうか。
スペインも村ごとにいろいろな祭やイベントがある。そのひとつを偶然見られたことは幸運だった。


さあ、問題はこの天気だ。
とにかく暑い。そしてお腹が空いてきた。

坂道をのぼる


この丸さがいい


夫が撮った一枚。
ここにヘリコプターが降りるらしい。

カミノ・デ・サンティアゴで鍛えていらっしゃるのりまきさんは大丈夫そうだが、夫と私、特に私の方はこの急な暑さと山の高度に体がついていかない。そして、この上り坂だ。

ようやく車のところまで戻ってきた。

適当なところに座り、ボカディージョタイムとなった。
朝起きて、生ハムのボカディージョを作っておいたのだ。いつも食料を持って行きすぎる私たちだが、バルも何も開いていない今日のような日には持ってきてよかったなあと思う。

私はすっかり電池が切れている。
しばらく無になったため、2人に心配をかけてしまった。

そうこうしているうちに、雨が降ってきた。
山の天気は変わりやすいとはこのことだ。

スモモは無理そうだ。
慌てて車に戻る。

羊の皆さん待ち。
本日はどちらへお出かけでしょうか。
これはまた美しい!

車を少し走らせると、別の村に着いた。

私も昔来たことがあるらしいが、覚えていない。
山という山が全部同じに見えていたせいかもしれない。

バルに入り、一息つく。
のりまきさんはポン子さんに葉書を書いている。
私たちも一言ずつ書かせて頂いた。
今日もステップを踏んでいらっしゃるだろうか、ポン子さんは。

ほうれん草と牛テールのコロッケ


のりまきさんはワイン入りのジャムを購入していた。

山の上の村
また少し雲が出てきた
時計塔にのぼれるのは毎日1時間だけ?
またひと雨来そうだ


最近、旅行のnoteをたくさんアップしていたが、普段は徒歩圏内で生活している。のりまきさんが来てくださったおかげで、外出するいいきっかけになった。ありがたいことだ。

アンダルシアも広い


お城。今度はあそこまで行きたい。

坂道を下ると、八百屋さんがあった。
トマトが安い。

おしゃれな空間


下から見る白い村。
天気のせいで、ちょっとおどろおどろしい感じがする。


白い村を楽しんだ私たちは、あたり一面に咲き誇るひまわりを愛でながら家路へ。

帰ります
ひまわりが見えてきた
夏はすぐそこに


わー!

ピソに戻ると、階段のところにペピのごみ袋が置いてあった。
これでもう、のりまきさんには私がnoteで書いている生活を全て見て頂いたにも等しい。

ケーキを買って帰ったので、お茶と一緒にいただく。
夫が作った味噌の試食も始まる。
ケーキに味噌に煎茶。
よくわからない組み合わせだが、食べる人が笑顔ならいい。

「ありがとう!」

「どうも、どうも」

のりまきさんと夫は、3日間ずっとこんな調子で話している。関西人のスピードについていけるのはすごいと思うが、そこへ変な返しまでしているのにはびっくりした。

お土産に、夫はのりまきさんに味噌を渡していた。今回のはあまり自信作ではないのだけど、という言葉とともに。

おいしい!と言ったのりまきさんに、It makes みそー(味噌) happyとかなんとか夫が言っている。

げらげらやっている2人のとなりで、ああよい週末だったなあと私は一人振り返っていた。

デートの終わりに

あっという間の3日間だった。

皆たくさん笑った。
私にとっては、これまでごく数人にしか話していない昔のできごとを話した時間でもあった。久しぶりに人に話すことで、ちょっとだけ楽になったような気もした。聞いてくださったのりまきさんには感謝する。
また、のりまきさんから見たこの町の印象を聞くことで、アンダルシア田舎での生活を振り返るきっかけを与えてもらった3日間でもあった。


セカンドデートは、のりまきさんの「運命やで」の言葉とともに終了した。


アンダルシアを出たのりまきさんからは、写真がときおり届く。
今日はどこどこで味噌汁を作った、今日も味噌をお湯でわって飲んでいるという報告とともに。夫はそれを聞いて、にこにこしている。


今度はどこで会えるだろうか?
次はポン子さんも一緒に。
日本かな、スペインかな、メキシコかな。
そのときを楽しみに、ステイ元気で過ごそう。

インドのお土産に頂いたチャイを飲みながら。









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