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冬時間と、ときには逃げるが勝ち

起きたら冬時間になっていた。

日本との時差が8時間になった。

いつもはまだ暗い空が1時間分明るくなっている。

この夏時間と冬時間
来年からどちらか一つになるようだ。

「あ、しまった1時間間違っちゃって」

「私も時計の針を戻すのを忘れちゃって」

なんて会話は
もうあまり聞かれなくなったかもしれないけれど
これから一つの時間になるのかと思うと
ちょっとさみしい気もする。

そんなことを思いながら
さて今日は日光浴をするついでに
せっかくだからシーツも干そうと屋上に上がったら
私たちの家の洗濯物干しロープのところに
下の階の人の洗濯物が
盛大に干してあった。

あ、私が間違えたかと
二度見したけど
やっぱりこれは私たちの家のロープだった。

よく見ると
その人の家のロープにも少しだけ洗濯物が干してある。
でも、そのロープは右半分が錆びていた。

もしかするとこれは
洗濯物を干しにきたけど
あれ、ロープ錆びてるわ
上の家の人のロープあいてるやん、使ってしまおう!
ということだろうか。

私たちの家のロープは5メートルほどのものが2本あるのだけど
それをフルに使って
シーツをはじめ
シャツやら靴下やら干してある。


洗濯物かごを持って
しばらく考える。


日光浴をしながら
出した結論は
よし、今日は逃げようというものだった。


昨日行ったスーパーで
チーズ売り場が戦場のようになっており
特にジャイアンみたいなセニョーラがすごかったのだ。

土曜の夜、スーパーは混む。
日曜はどこも開いていないからだ。

何だかものすごく怒っているジャイアンは
自分はさっきからここにいた、番号札取ったし!
私の方が絶対先に注文できる! 
というので
その勢いに驚き
後ろに並んでいたおじさんと私は
「では、どうぞお先に」と
譲ることになった。

セニョーラは私など相手にもしなかったが
その剣幕に威圧され
思わずひゃーと逃げたくなったぐらいだ。

そんなことを思い出し
今日はわざわざ下まで行きドアをノックして
スペイン人と議論をする日ではないと思ったのと
それに今日は午後から曇るかもしれないのだ。

よし、ときには逃げるが勝ちだ。

日曜日ぐらいは精神の安定を選ぼう。

日光浴を終えた私は
洗濯物かごを抱えて
静かに部屋に戻った。

何だかちょっとだけ
負けたような気もするけど
気のせいだと思う。

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